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3話目 聖戦士争奪戦の狼煙が上がった

エリナにアルバイトを紹介され、魔力溜め270基に充填した。

俺はまだ入試に合格したわけではないので、教会本山で使えるような口座は持っていない。

今日のアルバイト料はエリナの口座に入れておいてくれるそうだ。


「ついに財布までエリナに握られてしまったのう。

これでジ、エンドと言うやつじゃな。


気ままな独身時代さようなら。

人生の墓場へようこそじゃ。

若いのにかわいそうなことじゃ。」


もう、反論する気力もない。

その上、魔力溜を管理している職員のお姉さんまで。


「すごい魔力の量ですね。

試験に合格したら、毎日充填しに来てくださいね。


魔力溜は転移魔方陣はもちろん、夜の明かりなどのここのいろいろな機能を維持するために使われます。

しかし、不足気味で。うううっ。ぐすん。


でも、シュウ君のおかげで、しばらくは安心です。


万が一、ないと思いますが、例えば試験の当日に腹痛と頭痛、虫歯が同時に痛み、試験に集中できなくて、ほんとに万が一に入試に失敗したら、ここでアルバイトとして働きながら一年間浪人するという手もあります。


もう、試験勉強が面倒なら、私のお婿さんになってここで一生魔力充填で幸せに暮らすということも可能です。

私、家事と胸の大きさには自信があります。


もう入試をやめて、お婿さんに来ませんか? 今すぐ。

辛い受験さようなら。

幸せな魔力溜めライフいらっしゃい。」


ああっ、エリナが牙を剥いてる、かわいい八重歯だなぁ。


「さぁ、アルバイトは終わりよ。帰るわよ。シュウ。


良いこと、よく聞きなさい。一人で魔力充填をしに来てはだめよ。

絶対に禁止。

わかった、返事は。」


「イエス、マム」


「よろしい。」


「尻に敷かれていると言いより、こりゃ、洗脳されているんじゃねぇか。」

「いえ、奥様は旦那様を魔女から救う女神さまですわ。うっとり。」


俺は余りに予想外の展開にふらふらになりながら魔力溜の施設から脱出した。


これが大隊長のモーリツさんが言っていた、俺を取り巻くことになる大人の思惑なのか。

まぁっ、あのお姉さんはそこまでえげつないことを考えてはいないと思うけど。


「シュウ、モーリツさんに忠告されたんでしょ。

あんなおばさんの誘惑と胸の大きさに負けてはだめよ。」


エリナ様、本気でお姉さんに腹を立ててますね。

お姉さんもそこまで本気で俺を誘っていると思わないけど。


「甘いですわ。ご主人様。

女は皆、魔女ですわ。

奥様だけがあなたの女神さまですよ。」


「じゃ、てめぇも魔女なのかよ。」

「うるさい指輪は、お黙り。」


魔力アルバイトは前途多難だなぁ。

お金を稼ぐって大変。いろいろな意味で。


「シュウ、試験は明後日からよ。

それまでは職校のゲストハウスで滞在してもらう予定なの。


今年の聖戦士職校の受験者は5名らしいわ。

皆さんもう、到着されているわ。


シュウも行きましょうか。

ここら辺をうろうろしていると先ほどのオバサンみたいな人がわんさか沸いて煩いわよ。」


「えっ、どういうこと」


「ゲストハウスに行けば私の言った意味が分かるわ。」


「でも、見つからないようにそっと裏道から近づかないと。大変なことになるわ。」


なになに、ゲストハウスが襲撃されるってこと?

俺はいまいちエリナの言っている状況が理解できていなかった。この時までは。


そして、知らなかったことを今では心底後悔している。


エリナの案内で隠れるように俺たちはゲストハウスに向かう。

そこで見た光景は。


デモ隊がゲストハウスを襲撃している。


「エリナ、大変だよ。ゲストハウスが襲撃されているよ。」


「しっ、シュウ、声を下げて。

見つかるとあれ以上のことがシュウに襲い掛かるわよ。」


「えっ。俺が襲われるの。何で? 」


「ここならまだ、敵に見つからないわね。

魔族以上に危険な相手よ、やつらは。」


おばちゃんのペット魔族は今、こんにゃく作りに挑戦しているそうだ。

もうすぐおでんパーティに招待してくれるそうな。


まぁ、そんな魔族もいるので、それよりは確かにここから見えるデモ隊は魔族より危険そうだ。


「シュウ、単独で倒せる魔物は、魔族は。」


「一人でだとオーク1体がやっと。魔族は無理だな。」


「私は約束通り、攻撃魔法と防御魔法の両方に秀でた雷系の魔法を漸く習得できたの。

それと合わせてこれまでの風、水、氷を駆使しても、魔族2チームを撃破するのがやっと。

小隊は手に余るわ。


ところが、私とあなたのチームではどうかしら。


一緒に遠征隊として行った時点では1個大隊と遣り合えたわ。

今では私のレベルアップ分だけでも3個大隊、そして、あなたのレベルアップも含めると2個連隊と渡り合うことも可能だと思うの。」


「えっ、エリナそんなにパワーアップしたの。すごい。」


「何を言っているの、槍や剣だけで一人でオークとやり合えるあなたの方がどれだけレベルアップしたのか、自覚しなさいね。旦那さま。


とにかく、聖戦士と一緒に戦うということは、お互いが個々の戦力として弱小でも二人だととんでもない戦力アップなの。


そして、戦果を求めるものには膨大な戦果を、生き残りを求める者には絶対的な安全を与えてくれるのが聖戦士よ。


覚えているかしら、私たちが初めて会ったときに私はシュウに尋ねたわよね。自分の価値がわかっているのかと。


その時は戦果の大きさを説明したと思うけども、今日は逆だわ、その希少性を考えてみて。

魔法術士は50人に一人、聖戦士は5000人に一人。


要するに私たち同期の魔法術士100人に一人だけが聖戦士の恩恵、もう祝福レベルね、それを甘受できるのは。


もう上の学年の聖戦士は相手がほぼ決まっているでしょうから、今年度の5人の見習い聖戦士を狙っている見習い魔法術士は3学年合わせてざっと1500人となるわ。


シュウは私の旦那様だからチームを組むのは不可能だとして、今回、一人の見習い聖戦士に対して、約400人の見習い魔法術士が狙っているわね。


それに、卒業した魔法術士も狙っていると思うから、実際は一人の見習い聖戦士を狙っているがどれだけいるかは想像がつかないわ。」


「まとめると、モテ期、キターーーーーッ、でよろしいでしょうか。或いは入れ食い状態というやつで。」


「ほほほーっ。シュウも入れ食いってやつをやってみたいのかなぁーーーーーーーーっ。」


エリナ様、美少女の微笑みが、天使の笑顔が・・・・・・・、般若になったです。

それに氷のフィールドが発現しています。

その上、ナイフの柄を握って、プルプルお顔を震わせるのは止めましょうよ。


怖い、怖いです。


いつもの俺を優しく包むような女神様、カムバーーーーーーック。


「さぁーおっしゃい。入れ食いを選ぶか、私と一緒に新築の新居を購入するためにアルバイトに精を出すか。ほら、ほら。」



「もちろん、アルバイトに精を出すであります、マム。」


「私以外のメス豚はとんかつにしても良いというのだな。シュウ!! 」


「イエス、マム。」


「やっぱり、私の旦那様だわ。


私以外の女の子はメス豚だなんて。いや~ん。


こんなに愛されていたなんて、恥ずかしいわ。えへへへっ。」


「すごい、すごすぎるのじゃ。わずか13歳にしてこの、この、この・・・・・魔性の女は何じゃ。」


「魔族が可愛すぎる、魔族をペットにしている婆ちゃんの方が聖女に見えるぜ。」


「奥様命の私でもさすがに、・・・・・・・好き。

私も旦那様の様に攻められて見たいですわ。ぽっ。」


「女性の方は少なからず魔性と申しますが、エリナ様は・・・・・、魔族も真っ青でございますな。」


「おでんにするにははんぺんが必要だな。ないなら、トン汁にしようかな。トンカツにする肉を少し分けてください。」


でも、どうやってあのデモ隊を抜けて、ゲストハウスに入るの????


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