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2話目 アルバイト料はすべて結婚資金に、でもお小遣いは無しね

淡い光に包まれ、意識が少し遠のいたと思ったら、教会とは似ているが若干雰囲気の違う場所にいた。


足元には発動していない転移魔方陣があった。


ここが、教会本山なのだろうか。

でも転移した瞬間感じた、暖かい包むような感覚は何だったんだろう。


横を見てみると満面の笑顔を浮かべたエリナがいた。


「ようこそ、教会本山に。

心から歓迎するわ。

これで、ずっと一緒に居られる。


飛び級した分は魔法研究生として一年間職校に残るわ。

一緒に卒業して、軍で活躍しましょうね。」


「エリナは気が早いよ。まだ、職校の入学試験すら終わってないのに。」


「シュウなら入試は大丈夫よ。

問題は入学した後の進級試験の筆記試験ね。

ビシバシ鍛えるわよ。


まずは"魔物とその特性について"の教科書を暗記するわよ。

一年目の必修なんだから。」


「あのー、入試対策が先かと。もう今更遅いかもだけど。」


「シュウや。諦めが肝心じゃ。

落ちてもあれ、んーんっ、誰じゃったか、シュウを婿にしても良いという武人。

もう名前を忘れたわ。」


「ボケ婆ちゃん。クリスティアじゃねえか。よく覚えておけ。」


「あーあっ。これだから、脳が筋肉でできている人は、はぁぁぁっ。


さっきお別れしたばかりでしょ、マリアンナさんでしょ。

あなたの方はずっと一緒に遠征に行っていはずですわ。」


「えっ、うそっ。そんな名前だったか。」


「なんじゃお前もボケ婆さんじゃ。おっほほほほほ。」


「うるせぇー。俺はたまたまだ。誰にでも勘違いはあるよなぁ。」


「たまにだったらいいのですが、あなた様の勘違いはいつものことですね。」鞘氏


「あなたは勘違いという特殊鋼でできていますのね。

ご主人様にご迷惑がかかる前に溶かされておしまいなさい。」


「ひでぇじゃねぇか。

シュウこいつら俺をいじめるんだよーっ。」


おまえら、俺が入試に落ちることがそんなにうれしいか。


くそっー、もし落ちたら腹いせにお前ら全員絶対溶かしてやる。

幸い、赤魔法術士はここに一杯いるし、俺の無駄に多い魔力を使い切ってでも、溶かしてやるぞぉぉぉぉ。


せっかく初めて教会本山に来たのに、わくわくする前にゲンナリだ。

ニコニコしたこちらを見ている美少女様だけが俺の救いだ。

おおっ、女神よ。俺に祝福を。


俺はゲンナリ、エリナはニコニコして、転移魔方陣の施設から出てきた。


さすがは教会の本山だ。転移魔方陣の専用施設がある。

確か、100個ぐらいの転移魔方陣が本山には設置されているんだっけ。


「ふふふっ。驚いているわね。

魔方陣とは別に魔力溜めだけをしまってある施設も隣にあるの。

そうだ、いいこと教えてあげる。」


「魔法溜めへの魔力充填はここに住んでいる人の義務として、ある数が各人に割り当てられるの。

魔力は仕事や授業でも使うけど、使い切れなかった魔力は夜ここで魔法溜めに充填するとお小遣いがもらえるわ。」


「私はあまり余ることはないけど、授業のない休みの日の夜はここにきて、魔力充填をするの。

見習いの内はそれでお小遣いを自分で用意するの。

見習い聖戦士は魔力が多い人が多いので、結構稼いでいるとの噂よ。」


「シュウはべら棒な魔力だから、地道に毎日充填すれば大富豪ね。


それを結婚資金と新居の購入に充てましようね、ね、ね。ダーリン。」


「それはいいけど、どうせ無駄遣いしないし。ところで1基いくらもらえるの?」


「200バートよ。」


「200バート!!」


家一軒を4000万バートとして、1基200バートだから、20万回。今は魔力が上がって、300基は充填できるから、一日の余りを200基として、1000日。

2年半で職校を卒業するとして、365日×2.5で約900日。ちょっと足りないが、軍に行った後も魔力を充填し続ければこれから3年半でいける。


いけるぞエリナ、魔力充填のアルバイトで結婚資金と新築の新居購入。


ま、待てよ。新居には家具も必要だからもう半年。おおっ、4年でいける。アルバイトで結婚資金と新築と、家具。いけるぞーーーっ。


「盛り上がっているところ、申し訳ございません、シュウ殿。その計算だと4年間はお小遣いがございません。


お友達が休日に教会本山の門前町で美味しい今話題のレストランでランチを堪能しているとき、シュウ殿は職校の宿舎のキャンプ飯ちょっとだけ豪華版となりますが。」鞘氏


「さすがはエリナ、策士よのう。」


えっ、エリナがお友達と〇星レストランで食事の時、俺はキャンブ飯、キャンプ飯、キャン、、、、、、、。


「どうしたのシュウ、突然情けない顔になって。

そんな魔力の充填だけで結婚資金ですら二人で頑張っても無理よ。

余ったお小遣いを無駄使いしないようにしましょよと言う意味よ。

だいたいシュウは何基充填できるの今。」


「300基。」


「何それ、人間じゃないわ、神の使徒よ。

ちょっと待って頂戴。


・・・今の私は1週間で20基充填して、お小遣いは使ったとして半分だわね。私のアルバイトの分を2人のお小遣いに充てるとして、・・・


・・・結婚資金を200万バート、家一軒を4000万バート、家具や手続き不動産取得税などを400万バートとして・・・


・・・1基200バートだから、23万回。一日シュウが200基分魔力が余ったとして、1150日。

2年半で職校を卒業するとして、365日×2.5で約900日。ちょっと足りないけど、軍に行った後も魔力を充填し続ければこれから3年半でいける。・・・


いけるわ、シュウ。いけそうよ。

魔力充填のアルバイトで結婚資金と新築の新居購入、家具やカーテン、食器、カーペットまでそろえられるわ。


さぁ、旦那様、早速行きましょうね。アルバイトに。今日は何もないから、270基はいけるはずだわ。」


「いやだぁ~、俺だけキャンプ飯は嫌だぁぁぁぁぁぁ。」


夏の昼下がり、エリナに手を引っ張られ、挙句は引きずられたシュウの情けない悲鳴が教会本山に響いた。


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