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29話目 友情と信義の元に

シッポ村の門を通る。


目ざとく芦高さんを見つけた子供たちが芦高さんに駆け寄ってくる。


俺たちや大人のシッポさんたちはいない者としての扱いですか。

一瞥もくれることなく、芦高さんに駆け寄る。

「遊ぼうよ。」「滑り台したい。」「持ち上げてぶんぶんして。」


「ご主人様、ちょっと遊んでもいいかな。」

「いいよ。昼食が終わったら出発するよ。今日中にマドリンまでは行きたいんだ。」


「わかったんだな。

皆お昼までなら遊べるんだな。

午後はお仕事があるから、ダメなんだな。」


「じゃぁ、すぐ遊ぼうよ。

怖いおばちゃんが来るから、集会場の隣じゃなく、門の外で遊ぼ。」

「お前たち、門の中で遊びな。」ノアフさん


「門の外でなくて、ここで遊ぶんだな。ここなら門の中なんだな。」

「芦高さんが言うならここでいいよ。」「俺も。」「私も。」


「くくくっ、俺の言うことなんざぁ、聞きやしねぇな。

しょうがない、悪さをしたら村長の奥さんを呼んでくるからな。

門の外にはいくんじゃないぞ。」


「「「は~いっ。」」」


芦高さんは荷物を下ろして、代わりに子供たちを背中に乗せた。

一瞬で荷物台から滑り台に芦高さんの背中が変身した。

見た目は変わっていないけど。


「さっ、俺たちは集会場に入ろうぜ。」イザトラさん

「その前に、冬山用の装備を荷物をお返しします。」

「あっ、それはエルフ族からの支給品だから持って行ってくれ。」イザトラさん


「そう言うことならもらっておきますね。次に風の聖地に行くときにも必要でしょうから。」

「まずは、中に入ってあったまろうぜ。

野宿は疲れるぜ。体も冷えるしな。」


俺たちは芦高さんが背負ってきた荷物を手分けして、集会場の中に入れこんだ。

ここで、村から借りたもの、例えば鍋とかやかんとか、をより分け、返却することにした。

この村でもらったコートやブーツは持って帰って良いらしい。


集会場の中には村長や数人の大人シッポさんが待っていた。


「シュウ殿、お帰り。どうだった、風の聖地はあったかね。」シッポ村長

「はい、ありました。ここから3日ほど行った、山と山の間から突風が吹いているところがあって、その突風が作った道の途中に礼拝堂がありました。」


「あの突風が吹くところか。あんなところに礼拝堂があったは知らなかったな。

しかし、あの突風の中を突っ切るとは、どういう魔法を使ったんだい。」


「実は日に2度、突風が歩けるほどに緩む時間があったんです。」

「そうなのか、それも初耳だな。ずっと吹いているわけではなかったんだ。」


「野営の場所から街道を歩いていると丁度通り過ぎた後の時間に止むため、気が付かなかったんではないでしょうか。」

「そう言うことだったのか。まぁ、あの街道もめったに人が通らんしな。

そこには何があったんだ。」


「それは俺が説明するよ。

風の聖地とは風の魔法の申し子のエルフ族だけでなく、豹族にも大いに関係のある所だった。」イザトラさん

「俺たちにもか。」


「ああっ、あそこはには豹族の、いやそれだけでないな、エルフ族も魔族も、そして、人類も時間の早遅の違いはあれど、全ての種族はやがて滅亡することが風の大精霊様により予言された石碑があった。」


「すべての種族がいなくなるというのか。」


「そうだ。実際豹族は間もなく、人類は魔族との戦いで、そして、エルフ族も種族としての衰退がはじまっている始まっているとのことだる

つまり、その予言の半分は正しいということだ。」


「風の聖地とは風の大精霊様の予言を祀っていた場所だったのか。」


「そのようだった。」


それを聞いた村長を始めて、同席していたシッポ族の皆の耳がたれ、シッポはしおれて、絶望感が漂ってきた。


「やはり、我が種族は早々に滅亡するのか。」シッポ村長さん


「お嬢、絶望的な話ばかりでなく後半の予言もちゃんと話さないと、村長たちがシッポをまたに挟んでしまいそうだぞ。

俺たちは犬族じゃないのに、全く。」お手伝いその2さん


「わりぃ、わりぃ。

まずは風の聖地にある風の大精霊様の予言が全くの虚言でなく、現実に起こりつつあるものだということをわかってほしかったんだよ。」イザトラさん


その時、集会場の奥の扉が開き灰色のシッポさんが入って来た。


「もう父ちゃんは、お客人、違うね、もう友人だね。

友人が寒い中訪ねてきたのに暖かいものも出さずに。

あっ、酒精の入っているやつはダメだからね。まだ、朝の内だし。

さっ、シュウ君たちもこれをどうぞ。」


村長の奥さんが熱いお茶を出してくれた。

部屋は暖めてあったがやっぱり内から暖まるものはありがたい。


「それで、その予言の残りはどうしたんだい。」

村長の奥さんは村長より前の俺たちにの一番近い所に座った。

一番予言の内容を気にしてるのはこのシッポ母さんかもしれない。

そうだよな、種族の滅亡とはもう豹族の誰も母になれないということだもんな。

種族を守って来た母親たちが一番気にすることかもしれないな。


「前半は全種族の滅亡の予言だった。

後半はそれを救う方法について書いてあった。」お手伝いその3さん


「どうやってだい。どうやれば救えると書いてあったんだい。」耳と尻尾がピンと立ったシッポ母さん


「種族を滅亡から救う強者の出現を待てと。

その強者の出現のためにはみんなで風の大精霊様と風の女神様にお願いしろということだった。」その2さん


「じゃぁ、祈ればいいのかい強者の出現を風の大精霊様と風の女神様に。」


「そう言うことですね。

ただ、祈るのは風の聖地の礼拝堂が良いと思います。

その祈りの巡礼について我々エルフ族と人類の方で整備したいと思います。


豹族の方々には食料とか必要な物を風の聖地に運んでもらったり、巡礼がうまくいくような裏方の仕事をお願いできればと思っています。」ソシオさん


「そうか、風の大精霊様と風の女神様に祈ればいいのか。

そして、風の大精霊様に祈りに来た者たちを手助けをして、さらに祈るか。」シッポ村長さん


「あんた、祈っているだけでいいのかい。エルフ族はまだまだ滅亡の危機には遠いから祈ることが大事かもしれないけど、私たち豹族は祈って、その救済者を待っている間に滅んじまうかもしんないんだよ。


祈ることも大事だけど、時間のない私たちはそれだけではたんないように思うよ。どう思うの、あんた。」祈ればいいと安心した村長に切れ気味のシッポ母さん


「母ちゃん、俺たち今回の冒険に参加した者もそのことについて話し合ったぞ。

そして、祈ると同時に、今までのように自分たちで滅亡の危機を回避する方法を模索することにしたんだ。」


「イザトラ、具体的にはどうするつもりなんだ。」シッポおかんの迫力に耳とシッポがまた垂れてきた村長さん


「やはり東の魔族の占領地に居ると思う同族を解放したいんだ。

そのためにはまずは、東の占領地の様子を探ることからだ。」


「イザトラ、出発前にも話し合ったように、それは余りに現実味のない方法じゃないのか。」どんどん耳がたれてきたシッポ村長、すでにシッポは床にペタッとしている


「俺たちも一緒に潜入することになりました。その東の占領地に。」


「シュウ殿、先日は協力出来ないと言っていたようだったが。」


「以前ここでその話が出たときは、感情だけが先走りして、とても仲間として共に占領地に潜入できないと思いました。


しかし、風の聖地の予言を見て、そして、イザトラさんたち豹族の決意を聞きました。

その決意はとても冷静に考えた上で出された結論でした。


村長が我々を友人と言ってくれましたが、以前ここで話をしたときにはとても友人として協力できるものではありません。


しかし、その友人が今度は冷静に考えた上で、志を遂げたいと言っています。

それに協力するのは友として信義に値するものだと思っています。」


「そうだったのかい。友に大きな頼み事をしたんたんだねぇ。

イザトラ、友の友情に、信義にお前もちゃんと答えなければなんないんだよ。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。


この物語は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。

時間的には本編と同じ時の流れになっていますので、別伝としてお伝えすることにしました。


318部分からの本編の進行に大きく影響してくる別伝ですので、本編ともどもよろしくお願い致します。


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