19話目 鬼がしゃぶしゃぶ♡
あと少しで、突風が止む5時だ。冬の空はもう明るい青い色から茜色にすっかり模様替えしてしまった。
まだまだ、この俗世とくらべて時間の過ぎるのがゆっくりとした空間にしがみついて、惰眠を貪りたい。
しかし、俺たちを待って居るタイさんやパキトさん兄妹、おっきいにゃんこちゃんたちのことを考えると早く戻って、風の聖地のことを報告しなければと思う。
ダレ切った体を起こして、次への道へ進みますか。
でもその前にと、
「最後にこれからの予定を確認したいと思うんだけどいいかなぁ。」
「良いわよ。」
「私は何をすればいいの。」
「まずは風の聖地突風待機施設、と言っても今はただのキャンプ地だけどね。
そこに戻って、残留組に風の聖地があって、そこには風の大精霊の予言の石碑とそれを守るように女神像が安置されていたとみんなに伝えよう。
そして、明日は皆で一緒に風の聖地をもう一度訪ねることを伝える。」
「その間に私が風の聖地と宿泊施設を改装しておくのだな。
土木工事は任せろ。
細かい庭の整備とかは手を抜くので、水の使徒がお前の巫女と一緒に明日は手入れをするがいいぞ。
土いじりをする必要があるんだろ。」
「そして、明日の適当な時間に、タイさん、水の巫女が風の大精霊と面会するということでしょうか。」
「面会する大精霊はシルフィード様にお願いできますか。
こちら側の同席者は俺とイザトラさんが勤めます。
エレナとソニアは新生風の聖地をみんなと探検してくれるか。俺たちが面会しているのを誤魔化すのを兼ねて。」
「どうして私じゃないんだね。」
「徹夜明けですよね。」
「さすがに3日続けての徹夜では辛いか。
わかった、面会役はシルフィードに任せるよ。」
「兄様、わかりました。」
「面会の後は豹族の村、そしてマドリンまで戻って、特一風見鶏の村に行きましょう。
そうして、カメさんと可能であれば、駄女神さんを回収して、人類領の第1083基地に戻って、全てを死神さんに報告します。」
「その間に僕は王都に戻って、特一風見鶏の村と風の聖地突風待機施設を結ぶ転移魔方陣を設置する手続きをしておくんだね。
加えて、エリナさんたちがエルフの王族に関する調査をするための下準備をしておくよ。」
「いえ、風の巫女であるソシオさんは俺たちと一緒に人類領に行って、死神さんの他にノーム様、アクア様にも会っていただきたいと思います。
シルフィード様には人類領域戻るときに一緒に行っていただき、久々に、二人と会っていただくのはどうでしょう。」
「もともと行くつもりだったから、ご一緒してもいいわね。」
「この面会には水の使徒と巫女も同席してほしいと思います。アクア様にはぜひ会っておいてほしいと思います。」
「俺も人類領に行っていいのか。」
「もちろんです。」
「僕は是非行ってみたいけど、こちらの転移魔方陣の手続きはどうしよう。」
「それは風の聖地巡礼計画と共に、カロリーナさんを説得して、代理で進めてもらえるようにお願いしてもらえませんか。
ソシオさんは人類領に将来移住するための下見に誘われたからと言って。
俺たちはその間に駄女神さんを探します。」
「カローリーナさんがそれで納得するかな。
それだったら自分を行かせろ、人類領でイケメンを漁らせろと暴れ出しそうだぞ。」
「一応、それには最後の手段としての秘策がありますので安心してください。
できれば使いたくないので、できるだけソシオさんが責任を持って説得してくれますか。
できれば使いたくないです。必ず説得してくださいね。」
「そんな危ない手なのか、まさか、風神様が持つというペット魔族さん監獄への半日だけ強制収監するとか。」
「そのような生ぬるい手ではないので、必ず説得してください。」
「わかったよ。そこは僕の器量の見せ場だね。
風の巫女としての使命の一つとして、説得に当たらせてもらうよ。
ところで、カロリーナさんと言えば、人類とエルフ族の交渉がどうなったかも気になるな。
カロリーナさんからは交渉の成果を確認して、僕からは風の聖地と巡礼計画のこと、王族の寿命の調査の準備をお願いする方向で話をするよ。
彼女には輪廻の会合については話さない方が良いよね。」
「はい、その話を知らなくても準備には支障はないと思います。
そうして、人類領に戻って、まずは死神さんに話をします。
次は資格を持つメンバーで、アクア様とノーム様にお会いします。
この時はシルフィード様にも一緒に行っていただくので、3大精霊と輪廻の会合に集いし者どもの初めての話し合いになります。
その後に、旅団のメンバーにすべてを話して、一般の人々の協力を仰ぎたいと思います。」
「シュウ、じゃぁ、越後屋さんやリンカさんたちにも話すのね。」
「そのつもりだよ。
生徒会チームもオマケはチームもすでに卒業が決まって、旅団のメンバーとして活動できると思う。
彼らの力は、今後、俺たちの志を実現するためには必要なものだと思っているんだ。」
「そうよね。そうやって、必要な力を集めていくことも中心にいる者と光の公女の役割よね。」
「そうだよ。エリナも王都での調査や風の聖地の運営に当たっては、そんな人たちを集めて行ってくれるか。」
「わかったわ。
私たちの志の実現のために必要な力とは何かを見極めるとともに、その力を持つ者たちを集めていくわ。」
「そして、光の公女として覚醒し、俺を支えて行ってくれるか。」
「もちろんよ。それが妻、そして、光の公女の役割だもの。」
「光の公女(仮)と一緒になって働く者は、エリナ、ソニア、ソシオさん、駄女神さん、生徒会チームに当面はお願いしたいと思う。」
「もちろん、良いわよ」
「お姉ちゃんのために、私、頑張る。」
「僕もこちらの班だったら一杯働けそうだ。人類領にも行けるし。」
「俺と一緒に魔族の占領地を目指すのは、俺とイザトラさんにノアフさん、死神さんに黒い塊、オマケはチーム。
ただし、ボルガは職校生なので今回は連れていけないな。」
「そっちで仕事をするのは全然かまわない、むしろ望むところなんだが、こちらのメンバーに黒い塊ってのがいるのがすっげぇ、気になるんだけどな。
生き物なのか、まさか、悪魔とか。死神さんのお友達の魔王様とか。」
「魔王様の出番は今回はありません。」
「今回はということは人類領に居るのか魔王様が。」
「はい、結構身近に。
いつでもご紹介できますが、絶対にくれぐれも死神さんとは混ぜないでください。
きっと、輪廻の会合の措置の成否にかかわらず、人類の世界が崩壊します、確実に。」
「シュウ、またお母様を魔王扱いにして、そんなこと言うとイザトラさんが誤解するでしょ。」
「エリンさんて、魔王様のご息女であられ奉りでございましたか。」
「だから、お母様は人よ。ちゃんとした人類。二つ名が魔王と言われているの。」
「人類の最高権力者ということでしょうか。ブル」
「「間違いなくその通り。死神さんとは絶対混ぜるな危険。」」
「もう知らない。怒
シュウとソニアちゃんは後でお母様に叱られても知らないんだからね。」
「誰も言わなくちゃわかんなくねぇ。」
「私は報告するわよ。怒」
「家族を地獄の一丁目にネギを背負わせて放り込むつもりなのかぁ、エリナちゃん。」
「そうだよ、鬼がだし昆布をいれたお鍋にお湯を沸かして待って居るじゃないの。」
「シュウとソニアちゃんは鬼にしゃぶしゃぶされなさい。冬だし丁度いいでしょ。ぷんぷん怒」
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。
この物語は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。
死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。
時間的には本編と同じ時の流れになっていますので、別伝としてお伝えすることにしました。
シュウが風の大精霊と会合した後の本編の進行に大きく影響してくる別伝ですので、本編ともどもよろしくお願い致します。