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16話目 最凶の方だったか

「これでここにわざわざ来てもらった一番大事なことは伝えたわけだな。」


初めは風の聖地の出来栄えが一番大事なことだと言っていましたよね、シルフ様。

あっ、また目を泳がせているよ。


「おっほん。

シュウ君たち、占領地に向かう者たちには告げておかねばならないことがある。」


何かどんどんいろいろな情報をばらまき始めたな。

自分たちの足で情報を集めて、確かめろって言ってたと思うけど。

これじゃ、確かめに行くだけになってしまうな。


「シュウ君、まあ、いいじゃないか。サービスだよ、サービス。

私はわね、気前がいいんだよ。

例の風の聖地もちゃんと完成させただろ。すぐ壊す運命だけどね。

ちょっと寂しい気がするけど。なんか目から汗が出で来るような気がするよ。

でも、言われた通り今日の夜に作り直すよ。頑張らせていただきます。」


目がソニアの方を向いているんですが。

そんなにソニアにアピールしたいですか。

だったら、お菓子だな。


「えっ、そうなの。情報じゃなくて。

お菓子なんだ。」


「さっ、ソニアちゃん、約束通りにお茶にしましょうか。皆さんもいかがですか。」


お約束のようにどっからかテーブルとイス、ティーセット、そしてお菓子を出してきた。

ちなみにお菓子は手作りのケーキ、見かけと臭いから判断するとチーズケーキのようだ。


そのレシピ、どっから持ってきた。


「あら、私は風の大精霊ですよ。そんなお菓子のレシピぐらいいくらでも。おほほほほっ。

どこで情報を仕入れた知ったかと言うのは内緒よ。

お・と・な・の事情なのよ。」


「シルフィードちゃん、このチーズケーキはどこで買えるの。」

「ソニアちゃん、これはあなたのために私が昨日作ったの。」


「すごいね。まるでマドリンのあのお店のケーキのようにおいしそうだわ。

お姉ちゃん、あのお店のケーキはおいしかったよね。」

「そういわれてみれば、すっごく似てるわね。瓜二つね。

チーズケーキの見かけと言うものは、どれも多少は似ているけどね。

でも、この生クリームが乗っているところと、その乗せ方までそっくりね。」


目が泳いでます。シルフィード様。

こっちも目が泳いでいます。シルフ様。


「はっは~ん。と言うことはだ。

父ちゃんがソニアをずっと付け回して、ソニアが気に入ったお菓子をリサーチ。

その結果をもとにおばちゃんがそのお菓子のレシピをこそっとぬ・・・、おっほん、学びに店の調理場の天井に張り付く。

実際に作ってみて、失敗したら、また、店の天井に張り付くを繰り返しただろ。」


ソニアだけでなかったか、ケーキのレシピまでも付け回していたか。


「まぁ、いいんじゃないか。

親が子供のために何かしてやりたいのは当たり前だ。まぁ、やっていることが結果的に危ない人なだけで、その気持ちに嘘はないと思うぞ。」一番上のお姉ちゃん枠に収まりそうな白にゃんこちゃん


「そうだね。ス●ーカー行為は後でじっくり反省してもらうとして、まずは風の大精霊様のお気持ちをいただきましよう。」

「やっぱり、うめぇな、あの店のケーキに結構似ているな。見かけも味も。

町に出た折には食べているからな。間違いない。」お酒だけでなく甘いものも大好きな白にゃんこちゃん


「おいしいわねぇ、ソニアちゃん。お店に出してもいいぐらいだわ。」

「シルフィードちゃん。ありがとう。

何か一生懸命に作った手作りの味が、私にはお店で食べたものよりもおいしく感じるわ。」


「俺もこの景色の中で食べるお茶とおいしいケーキ。

あの店では味わえない+αのうまさがあって、いつもお世話になっている店には悪いが、ここで食べるシルフィード様のケーキは本当にうまいな。」


「イザトラさん、いつもお世話になっているって言うことは、町に行くときはいつも立ち寄るんですか、そのお菓子屋さんに。」


「そうだぞ。ほぼ毎回立ち寄っていると言いうか、それが目的の一つと言うか。」

「さすが、白にゃんこちゃんも女性と言うことですわね。甘いものには目がないというか。」


「シルフィード様、お菓子を食べに行っているわけではなく、酒精度の高いお酒を卸しに行っているんだよ。

なんでも、別のお菓子に使用するとかで。

まぁ、そのついでに当然、一つ二つと言うのはお約束だよな。」


「羨ましいお仕事ですわね。」


ぐ~っ。


そんな女子会の和やかな空気をどんよりと切り裂く、俺の腹の虫。

そろそろ昼だよな。いや昼が過ぎたよな。


「シルフ様、俺たち男には何か用意されていないのですか。

まさか、ソニアたちだけになんて言いませんよね。」


「何をいうか、ソニアちゃんの兄貴枠と親戚のお兄ちゃん枠の2人にもちゃんと吟味した料理を用意しているぞ。」

「吟味した料理ですか。俺たちまで気を使っていただきありがとうございます。」


「おおっ、そうだぞ。ちゃんと風神から情報をもらったぞ。」

「メイドさんからの情報かぁ。これは期待できるな。何かなぁ。

ソシオさんは何だと思いますか。」

「シュウ君の情報だとすると、きっと、人類領のおいしいものじゃないかな。」


「俺はそれは止めとけって、父ちゃんを説得したんだけどな。

シュウ、わりぃ。

でも女子会を黙らすほどの腹の虫ならば、きっと、絶品料理に思えるぞ。

まぁ、そうだといいね。」ボソ


俺はシルフ様の料理への期待が妄想のごとく膨れ上がったため、そんな雷ちゃんのつぶやきを聞いていなかった。

聞いておけばよかった。今更遅いけどな。


シルフ様もお約束で、テーブルを出してきた。何か長いね。


かまどと寸胴なべ。スープですね。汁物は必須です。具は何かな。


木箱の中に大量のコッペパン。普通のやつだ、何かは挿むか塗るかだな。


おっ、ざる。そして、大量の生野菜。緑色の中の茶色いのが見えるのはごぼうかなぁ。


そして隣には果物、そうバナナが山済み。積み過ぎていますよ。ぶつかって黒くなっちゃっていますよ。


最後にはデザートのヨーグルトがガラスのミルクポットに入っていますね。

バナナと一緒に食べるんでしょうか。


てか、全部、例の方々じゃないですか。


「シュウ君、これは人類で良く食べられている物なのかい。

僕たちエルフ族の朝食と似ているんだけれども。」

「まぁ、そうですね。このメニューからするとただの朝食ではありませんね。」


「えっ、これが普通じゃないの。」

「普通であればいいんですか。」

「食べてみないとわからないということかな。

シュウ君の言う普通じゃないこれらの朝食って何。」


「人類軍名物キャンプ飯。しかも、最前線ベースキャンプのキャンプ飯。

常に魔族軍との衝突が懸念されるため、食材と調理時間の拘束から生まれたという人類最凶の飯です。」


「なんかうれしそうじゃないな。風神からは前回のエルフ領の旅ではシュウ君があまりにこの料理から離れた生活だったため、涙を流して恋しがったと聞いたのにねぇ。

そんなに恋しい食事なんだろ。

それに合わせる食材を用意するのが大変だったよ。わっはっはっはっ。」


「そんなに高級な食材を使っているんですか。」何も知らない平和なソシオさん


「なかなか手に入らないというか、すぐには用意できない食材がいくつかな。」シュウ君がきっと喜んでくれると信じているシルフ様、味見してから出せよな


そして、速攻で皿に盛られてしまった。

長いテーブルの端っこに俺とソシオさんがキャンプ飯を前に座らされた。


「さぁ、食べてみてくれ。

シュウ君の懐かしの最愛の最前線キャンプ飯と同じだと良いんだが。」


やっぱり、最凶の方だったかぁぁぁぁぁぁ。


「こういうのが好物なんだ。シュウ君は。」ボソ

目が細いです。横目でにらまないで。


ちなみに普通のキャンプ飯と最凶さんの違いは次の通りである。


基地の食堂の窯で焼く焼きたてパン

→ (最凶さん)パンを食えるだけありがたいだろ。2週間前は焼きたてだったパン様。

たまに歯が欠けることがあるのはお約束。


解凍生肉と野菜を3時間掛けてじっくりと煮込んだスープ

→ (最凶さん)荷物の削減のため干し肉を使用し、よく戻さないまま野菜と10分煮込んだスープ。敵がいつ来るかわからないから料理時間は手短にね。


転移魔法陣で毎日届く新鮮生野菜のサラダ、手作りドレッシング付き

→ (最凶さん)人力とか馬車で運ぶため滅多に届かない生野菜がしんなりして、芯のところが茶色くなったレタスがメインのサラダ。

酢と揚げ物の残り油を混ぜたものをとりあえずは掛けとけ。


取り立ての果物がそのまま出されるデザート、ヨーグルト付き

→ (最凶さん)とりあえずバナナが残ってたろ。黒くなってもバナナはバナナだ。それは発酵臭じゃない、芳醇な香りと言うんだ。


搾りたてのミルク

→ (最凶さん)自然発酵したんだ、やったぜヨーグルトだ。今日はヨーグルトが付いて来た。たまにしかでないごちそうだぁぁぁぁぁ。



活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

10/31ですべての話を公開しました。


シルフィード様の最後の爆弾情報はこの別伝と繋がってきます。

今後は別伝の話も織り交ぜて行くことになります。

是非、別伝の方もお読みいただけたらと思います。


この別伝は死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。

時間的には本編と同じ時の流れになっています。


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