15話目 光の公女の修業
「「「「「えぇぇぇぇぇぇっ。それマジっすか。」」」」」
「私は嘘は申しません。エッヘン。」ペったんこな胸を大きく前にせり出すシルフィード様
「魔族の占領地に月の女王がいるのですか。魔族に捕らわれているとか。」
「いえ、すべてをお話することはできませんが、これは話しても構わないでしょう。ねぇ兄さま。」
「んっ、あぁぁっ、いいんじゃないか。」
また、目が泳いでいる。さては話を聞かずにソニアを見ていたな。許せん。
「兄さまの許可が出たので、話しちゃいますねぇ。
月の女王は魔族の方です。」
「げっ、マジが。まさかの魔族のお方だったのか。
しかし、なんで月の女王が占領地にいるんだ。
たまたま、魔族の占領地で生まれて、それでそこでずっと暮らしているとかかなぁ。」
「そうよね。その上で、私よりも月の女王としてその力に目覚めていないとか。
だから、占領地に居続けられるのよ。
そうでなければ、他国を攻める魔族を、同族とだとしても許すはずがないと思うもの。」
「うふふふっ、どうかしらね。真実は自分の目で確かめていらっしゃい。
あなた方の考えも着かないような状況かもしれないわよ。」
「そうなんですか。」
「アクアちゃんとノームちゃんに諭してもらっているでしょ。
真実は自分たちの足を使って、自分の目と耳で確認しなさいって。」
「そうだぞう。大切な事柄は他人の言葉で判断するのではなく、自分で体験したことをもとに判断しないとな。
月の女王はシュウ君たちの大切な仲間だ。
魔族だからと言う色眼鏡を外して、仲間として接しないといかんぞ。
特に、シュウ君はお嫁さんの一人となるんだからな。」
「「「お嫁さんの一人。」」」
「どういうこと、シルフ様。
シュウには私と言う立派な嫁が付いています。
それ以上の嫁はいりません。
愛人としても結構です。怒怒怒」
「まずはそうケンカ腰にならずに話を聞きなさい。
輪廻の会合では中心になる者を両脇から直に支えるのが光の公女と月の女王だよ。
家族に近いものがないとどちらかに偏って、上手にシュウ君を支えることが出来まい。
エリナちゃんのように嫁になるかソニアちゃんのように妹になるかはわからんが、シュウ君の家族として付き合っていかねばならないことは心に留めておいてほしい。」
「その上で、輪廻の会合の措置後はどうするか。そのままの形で家族を続けるか、別々の道を歩むことになるかはそれは誰にも分らないわね。
それでも、シュウ君が中心にいる者でいる限りは、光の公女と月の女王の役割と関わり合いは、今、兄様が話した通りになるのは間違いないと思うわ。
それをどんなに拒絶してもだめ、いくらなくそうとしてもダメなの。
それが輪廻の会合の上で起こっていることであれば。」
「じゃあ、私が嫁で、月の女王は姉で行きましよう。
いいわねシュウ、よく覚えときなさいね。返事はっ。」
「イエス・マム。」
「そんなことよりもエリナちゃん、あなたは光の公女としての修業を積むのが先だわよ。(仮)が取れないとシュウ君の側に居ることもできなくなるわよ。」
「やだ、絶対にいっや。私はシュウの嫁として光の公女になります。」
「は~ぁ、まだ気が付いていないみたいね。光の公女の役割の大きさに。
一介の嫁に光の公女は務まりません。
光の公女としての修業を積まねば。」
「シルフィードちゃん、具体的に光の公女の修業で何。」
「何でもかんでも教えることはできないけど、これだけは言えるわね。」
「「どんな事をすればいいの。ヒントだけでもおね。」」
「シュウ君の志は理解していると思うけど、それを実現するために具体的にどういう様に活動していくかを示すことね。
その示した活動を手助けするのが使徒、つまりソニアちゃんの役目ね。
使徒は光の公女の思いを実現するための存在。
何を実現したいのかをちゃんと伝える必要があるわ。
ソニアちゃん、あなたの使徒としての使命は何。」
「中心にいる者のお兄ちゃんと光の公女のお姉ちゃんの志の実現を手伝うことです。」
「その通りですね。では使命に覚醒した今、具体的にどのような活動をしていますか。」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんの冒険に付いて行って情報を集めています。」
「どうやって情報を集めていますか。」
「・・・・・・・わかりません。お兄ちゃんの後を付いて行っているだけです。」
「光の公女としては、ソニアちゃんにどういう情報をどんな風に集めてきてほしいか指示できるようにならないとね。
繰り返しますが、中心にいる者の意図をくみ取ってその実現のために使徒を使ってください。
中心にいる者の後ろを付いて行き、そのお世話することだけが光の公女の役割ではありませんよ。」
「そうだなぁ、シルフィード、こんなのはどうかなぁ。」
「お兄様、何かいい修業の方法でも。」
「私は一度エリナちゃんだけで情報を集めた方がいいと思うぞ。
これから、シュウ君は占領地に行くという。月の女王にも会うだろう。
そして今までにない、魔族の高位の者しか知り得ない情報を得るものと思う。
その間に、エリナちゃんはソニアちゃんと一緒にエルフ領で情報収集をしてはどうかな。」
「エルフ領での情報ですか。」
「うむ。
何か大事な情報を収集しなければと、そのペット魔族さんとの話の中で思いついたけれど、まだやっていないことがあるんじゃないのかい。」
「ペット魔族さんとの話で・・・・・。
あの話で分かったことは、魔族の人類領に侵攻してきた理由だわね。」
「お姉ちゃん、その時にエルフの王族が人類領で暮らしたときの調査をどうのこうのと言っていなかったけ。」
「そう言えば、人類領で暮らした王族の寿命を調べてみようという計画があったわね。それかな。」
「それだったら今度、王都に行ったときに実際に調べてみようか。」ソシオさん
「そうねぇ、じゃ、私と風の使徒と巫女は、本当は嫌だけど、シュウたちと別れてエルフ領の実態を調査しましようか。」
「それともう一人の風の巫女の件、風の聖地とその巡礼の準備も私たちでやった方が良くない、お姉ちゃん。」
「そうねぇ、駄女神さんの飼い主のソニアちゃんが私たちと一緒にお仕事をするのならそうなるわよねぇ。
エルフ領での宿題を私たちが解決すれば、シュウたちは直ぐにでも占領地、悔しいけど月の女王との会合に向かえるわね。
月の女王とシュウを私とソニアちゃんのいないところで合わせるのは凄く嫌だけど、光の公女に覚醒しないで、シュウの志の足を引っ張ることになるのはもっといやだわ。
決めたわ、私はエルフ領での宿題をシュウの代わりに解決させてみる。」
「うふふふっ、それでこそ中心にいる者の側に居る妻、光の公女です。頑張ってね。」
「ありがとう、シルフィード様、シルフ様。」
「エリナ、一緒に居なくて大丈夫か。」
「シュウと一緒じゃ、これまでと一緒だわ。シュウのお世話係のような。
それでは光の公女に覚醒しない。
だから、今回の宿題事項は私が私を支えてくれる者と共に解決させて見せるわ。」
「そうか。俺もエリナに支えてもらっているだけではだめだよな。俺もエリナの支えがないところで力を試してみるよ。
と言うことは、俺は死神さんを率いて、ないな、引きずられて月の女王と話をしてきますか。」
「水の使徒としては、光の女王に付いて行った方がいいんだよな。エルフ領なら手伝えることも多いと思うし。」
「いや、せっかくの占領地に入る機会だ。水の使徒と巫女は俺に付いて来てくれるか。」
「いいのか。確かに行きてぇけど。
今日の話を聞くと俺は光の公女を手伝うべきかと思って。」
「イザトラさん、それはうれしいけど、長年の願いだったんでしょ。
もしかして、辛い現実を見ることになるかもしれないけど、占領地の方に行ってきて。
そして、シュウが月の女王とイチャイチャしそうになったら、あなたのアーティファクトのおばちゃんさんでぶったたいていいわよ。切っちゃだめよ。」
「まっかせておけ。思いっきり、ぶったたけばいいんだろ。
俺も水の魔法術士だ。死にそうになったら最低限死なない程度の治療はしておいてやる。
その後はエリナさちゃんに任せるよ。」
「「「女子の妙な団結力が怖い。」」」
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。
10/31ですべての話を公開しました。
シルフィード様の最後の爆弾情報はこの別伝と繋がってきます。
今後は別伝の話も織り交ぜて行くことになります。
是非、別伝の方もお読みいただけたらと思います。
この別伝は死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。
時間的には本編と同じ時の流れになっています。