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12話目 天然平目ちゃん増殖す

白い石柱の間をシルフィード様がソニアと手を繋いで歩き始めて、数歩進んだとこちらを振り返った。


「エリナちゃん、どうですか、風の神殿は素敵なところでしょう。」

「はい、素晴らしい景色ですね。休暇が余ったら、ぜひここに新婚旅行にまた来たいと思います。

人類領にはないような素敵なところです。」


「ありがとう、気に入ってくれて。是非、新婚旅行に来てね。

その間、ソニアちゃんは私と兄様があなた方二人のいる場所とは反対側の見えないところで、一杯お話をしていましょうね。

一杯、可愛がって、甘やかしてあげていますからね。」


う~んっ。ソニアがシルフィード様を甘やかしているようにしか見えないぞきっと。


「シュウ君、余計なことは考えないの。

ソニアちゃんは私の可愛い可愛い使徒、いえ、娘なんですからね。」


うっ、全部ばれているのか。


「まぁ、俺を指にはめてる時点でそうなるわな。あきらめろシュウ。


あっ、ちょっとはずして放り投げようとすんなよ。カモメに飲み込まれたら、永遠の別れになっちまうぜ。

もっと手のかからない愛人と絶世の美人秘書を大事にしろよな。」


永遠に分かれるために絶対熔かしてやる。


「なんか痴話げんかが始まりましたわよ。甲斐性なし全開の旦那が愛人と別れる別れないで大騒ぎになっていますわ。

甲斐性なしなのに見栄を張って愛人なんかを囲うからですわよね、お姉さま。」


「いつものことだからほっとけばいいのよ。それよりも新婚旅行の計画を立てなきゃ。

初日はテントでああして、こうしてと。

次の日もテントでそうして、こうしてと。

三日目はもう、シュウのエッチ、そんなに毎日、でへへへへへ。」


「お姉さまどうしたのですか。」

「こうなった、エリナを止められるのは世界最凶生物だけなのじゃ。

まぁ、そのうち戻ってくると思うので放っておくのが一番なのじゃな。」


「言っときますけど、私たちの神殿の地にその最凶生物はいませんからね。」


それじゃ、別の意味でここは天国だなエリナにとって。

住み着きそうだ。


「ここが気に入ってくれたのなら住んでもらってもいいのよ。エリナちゃん。

家はソニアちゃんが立ててあげて。

私とソニアちゃんは二人の邪魔にならないところにお家を立てましょうか。」


「こんな神聖な風の神殿に、お姉ちゃんはまだしも甲斐性なしのお家なんて立てて大丈夫でしょうか。

すぐ身上をつぶしてしまいそうなんですが。

まぁ、そうなって離婚したら責任をもって私がお兄ちゃんの面倒を見るから良いけどね。」


「ソニアちゃんは、私と同じようにやさしくて兄思いなのね。」


「ちょっと前までは人の愛情なんて薄っぺらいものだと思っていたの。

でも、お兄ちゃんとお姉ちゃんに出会って互いに思いやる心を知り、そして、お母様とお父様の愛情を知って、私は変わったの。

人を愛したり、大事にできるようになったと思うの。


それまではどこか人生を悟ったような冷めて思いがあったけど、人を大事にする思いはものすごく熱いものがあると知ったわ。

だから、甲斐性のない大事なお兄ちゃんが不幸になりそうなときは私が家族の愛情をもって手助けしてあげるの。」


「そして、その愛情が家族から、将来の旦那へ向かうんだろうな。」


「何を言っているんですか、イザトラさんは。

俺の妹は誰にも嫁がせん。

嫁にほしいなら俺を倒してからにしろ。」


「シュウ君、その熱い思いはエリナちゃんにぶつけなさい。

そうれば、ムフフフフ、赤ちゃんオオカミが。ムフフフフ。

私はおむつを替えてあげなきゃ。」


「お母様、赤ちゃんオオカミのおむつ替えは私の仕事でございます。

ああっ、指輪がどうやってというとお約束の突っ込みはお腹いっぱいですので。

男の子だったら、そこにいる風の巫女を操り、女の子だったらソニア様と一緒にやりますわ。」


「私の出番は・・・・。」

「おむつの洗濯物を乾かす仕事は残しておきますので。」

「風の大精霊の仕事がおむつの乾燥だなんて・・・・・・、それは兄様に押し付けようっと。」


「私がどうかしたか、洗濯物の乾燥は得意だぞ。

いつもやらされているからな。」


明るい緑色のゆったりとしたローブを羽織った大柄な男の人がいつの間にか俺たちの前に立っていた。


顔は青年と言った感じで、その作りはエルフ族を超えた完璧なイケメンだった。

あんまりイケメン過ぎて俺の表現力ではその点を伝えられそうにない。皆ごめん、特に駄女神さん。


俺のことだったら、3歩いたら忘れるどこにでもいる平凡な奴だと言えばわかり易いだろう。


「父ちゃん、久しぶりだな。

寂しくて泣いていなかったか。

なにせここを出てからかなり立っているからな。」


「おおっ、雷神か。

今は雷ちゃんと言われているんだったな。

元気でやっているか、愛人とはいえシュウの指に収まっているな。

もう絶対離れてはならんぞ。


お前の役割は中心にいる者の手助けだ。

そして、万が一、まぁそれはいいか。

シュウ君だったらそんなものに頼る必要はないだろうしな。」


「初めましてシルフ様、シュウです。」

「でへへへへ、エリナです。ここに新婚旅行に来て、でへへへへする予定です。」


「えっと、エリナちゃんは現実と妄想の狭間に吸い込まれた残念な美少女状態ということでいいのかシュウ君。」


「それで構わないと思います。

世界最凶生物がいないここでは当分、その虹色というか。黄昏というか狭間の世界から戻ってこないと思いますので、放ってほおっといてください。

どうしてもだめなら、最終兵器、ギュッとキッスがあのます。」


「おおっ、それが噂の、瞬時にエリナちゃんを現実に引き戻すという。

さっそく、やってみてはくれんか。」

「最終兵器ですので、皆の前では・・・・・・」


「ここでできれば甲斐性なしなんて言われ続けておらんわなぁ。

そこを察してほしいものじゃ。風の大精霊シルフ様。」

「そうか、そうだよなぁ。甲斐性なしだもんなぁ。」

「・・・・・・・・」俺


「初めまして、イザトラです。心の修行のつもりで皆には付いて来ています。よろしくお願いします、大精霊様。」

「私はエルフ族のソシオです。よろしくお願いします。僕もシュウ君たちの手伝いをするために付いて来ています。よろしくお願いします。」


「おおっ、良く来たな皆。

ゆっくりしてくれと言いたいところだが、まずはみんなに大事な話をしなければなるまい。

なっ、シルフィードよ。」

「もちろんです、兄様。そのためにわざわざここに来てもらったのですから。」


「早速だが、風の聖地の出来栄えはどうだった?」

「えっ、そこですが、大事なことって。」


「シュウ君、君たちにとって、それが一番大事なことじゃないのか。

駄女神君をどう扱うかが最大の懸念事項だと思ったが。

それ以上に大事なことがあろうとは思わなかった。

だから、2日間徹夜で整備したのに、今日も作り直しで徹夜する予定なのに。」


「兄様、勘違いも甚だしいです。

確かにこのところの話題の中心は風の聖地について、それをどう運営するかについてでした。

しかし、シュウ君たちの最大の目的はそんなところにありません。」


「さすが、シルフィード様だ見かけは美幼女だけど、ノーム様やアクア様と違ってしっかりしていらっしゃる。」

「そんなに褒めても何も出ないわよ。でも、洗濯したおむつの乾燥は任せなさい。

シュウ君たちがここに来た一番の目的は、兄様、よ~く聞いてくださいね。」


うぁぁぁぁ、おばちゃんの例のフレーズだぁぁぁ、まさか、シルフィード様も・・・・


「シュウ君たちがここに来た最大の目的は、なんと、新婚旅行の下調べです。」

「その通りです。それがエルフ領で旅をしている最大の目的なんです。」いつの間にか復活したエリナ


「・・・・・・天然平目ちゃんが分裂した・・・・・」俺

「「「・・・・・・・」」」残りの方々


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。


この物語は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。

時間的には本編と同じ時の流れになっていますので、別伝としてお伝えすることにしました。


シュウが風の大精霊と会合した後の本編の進行に大きく影響してくる別伝ですので、本編ともどもよろしくお願い致します。


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