こちら次元間 チャンネルわん・にゃん放送局 報道特集 あの世界の秘密 第12回放送
「7時になりました。こんばんは。7時のニュースの時間ですが、今日は報道特集の第12回目を、放送時間を延長してお送り致します。
キャスターはこの頃局に居るよりもぽつんと研修所で禁魚摂食の生活していることが多いまねき猫です。
研修所のお土産には、局に帰ってくる日を夢見て、一日ひと握りづづ集めた星砂を小瓶詰めたものをスタッフの皆さんに配らせていただきました。
心機一転、この特報のレギュラーとして頑張らせていただきます。
視聴者の皆さんよろしくお願いします。」
それでは、前回の放送以降の調査の進展についてDデレクターに報告してもらいます。それではよろしくお願いしますにゃ。んっ。」
フリップ by Pプロデューサー : Dデレクターは禁魚生活に耐え切れず、第2研修所を脱走。海の彼方に消えて行方不明の模様。今日はRデレクターが代理でおね。
テロップ by 報道部部長 : このにゃんこ(Dデレクターの写真)を見かけた方は当局までご一報ください。
お礼にお味噌の詰め合わせをA社長のポケットマネーで差し上げます。
「失礼しました、本日はRデレクターが代理で務めさせて頂きます。
Rデレクター、よろしくお願いいたしますにゃ。」
「はい。よろしくお願いします、クマ。」
「慣れなくて大変かもしれませんが、まずは前回放送以降の調査の進展について報告をお願いしますにゃ。」
「今回は星間連合政府と国立星間科学大学の調査依頼の件について報告しますクマ。」
「政府と国立大学からの調査依頼ですか。何か大掛かりな小難しい依頼の予感がします。
一放送局で賄える内容であればいいのですがにゃ。」
「初めは当該大学より出されました調査依頼なのですが、調査の途中でどうしても政府の許可が必要な案件が出てきまして、それで政府が大学と共同研究という形を取って、当局に再依頼というのが調査依頼の経緯ですクマ。」
「政府に許可ですか。名無し星に居るという魔物を調べるため魔物を捕獲するとか、現地の軍人を捕まえて、こちらの宇宙でも魔法が使えるか調査するとか、名無し星から何か持ち出すような案件ですかにゃ。」
「そんな生物を持ち込むなんてことではありません。
新発見の宇宙から生物をこちらに持ち込むためには星間連合代議員議会で承認が必要になりますし、生物保護の市民団体にもその旨の打診をするなどしなければなりません。
そうなりますと一次元間放送局が手に負える案件ではなくなりますクマ。」
フリップ by Pプロデューサー : Rデレクター、かの市民団体の話はあまり突っ込まないでくれるか。
明日の朝、局の正面玄関に抗議のフリップをかかげたおばちゃんたちが殺到して、役員以下、全ての部長級の局員が正座させられて反省文を20枚書かせられるから。
まねき猫アナも話を先に進めてよ。
テロップ by 報道部部長 : 先ほどある団体の皆様が圧力団体であるかのような発言があったことをお詫びします。
ごめんなさいするから明日の朝は局に押しかけないで、お願いしますよ。
「まずはどのような調査依頼だったのか聞いた方が早そうですね。
Rデレクターその辺の話を進めていただけますかにゃ。」
「事の発端は国立星間科学大学の自然科学学類物理化学学部の付属研究所の一つである宇宙熱量計測研究所からの依頼でしたクマ。」
「宇宙熱量計測研究所ですか。計測研究ですから何かを測って、ああっ、宇宙の熱量ですか・・・・・・、で、にゃ。」
「ええと、まねき猫アナも何のことだがわからないと思いますので、本日は解説者として調査依頼を出されました国立星間科学大学自然科学学類物理化学学部付属宇宙熱量計測研究所他次元宇宙熱量測定研究グループ名無し星担当特命班のT教授にお越しいただきました。
よろしくお願いいたします。可能でしたら素人でも理解できるようなかみ砕いた解説をお願いいたしますクマ。」
「Tです。よろしくお願いいたします。
現在、人気No.1番組に我々の調査を引き受けていただいただけでなく、その調査内容を紹介する機会をいただきありがとうございます。
如何せん、地味な研究ですので年々予算が削られて、自前ではなかなか次元間移動調査船を確保するのが難しくてですね。
今回のように我々の調査にご支援いただいたことに感謝致します。」
「いえいえ、こちらも調査依頼内容を精査させていただいたところ、名無し星をより深く理解するために必要な研究と判断させていただき、それに便乗した形で調査を引き受けさせていただいただけですので、お気になさらないようにお願いします。クマ」
フリップ by 報道局長 : 早く調査内容を出せという抗議が電話とメール、SNSに上がって来たぞ。何とかしろ。
あと、Rデレクターが調査依頼者の所属先を良く覚えたなぁという好意的なSNSも多数UPされているぞ。自信を持って進めろ。
「それでは調査依頼の詳細を報告してくださいにゃ。」
「T教授からはまずは、名無し星がある太陽系の概要について調べてくれないかということでした。
また、名無し星は他の次元の宇宙にあるとということで、その宇宙の大きさ等についてもわかったら教えてほしいとのことでしたクマ。」
「T教授、それを知ることが宇宙の熱量研究とどういう関係があるのでしようかにゃ。」
「確かにまねき猫さんがおっしゃるように我々が何を研究したいのかを初めにお話ししないとただ宇宙旅行をしてくれという調査依頼としか理解されないかもしれませんね。」
「これまでのお話だと何をご研究されたいのかがちょっと見えてきませんにゃ。」
「わかりました、まずはそこからお話いたします。
実は私もこの特番の大ファンでして第1回目の放送から大変興味深く拝見しております。
第何回目かの放送で名無し星では魔法が使えて、普段の生活から軍事関係まで幅広く魔法が利用されているとのことでした。
特に軍事利用となれば莫大なエネルギーの消費と言いますか、炎系の魔法であればあるエネルギーが熱に変換されますので、当然熱量の変換が起こると思います。
魔法とはどのようなエネルギーを消費するのか、そして、どのように変換されて、例えば熱を生み出し、お湯を沸かすのか。
つまり、どのように熱量が変化していくのか、我々の研究分野に携わる物からすれば非常に興味があるわけです。」
「そうしますとT教授の研究班は魔法という現象をエネルギーの変換から理解したいというわけですね、にゃん。」
「そういこうとです。
以前のご解説されていました星間異文化科学研究所のF教授も魔法を使うか薪を使うかの違いがあるが、それによって生み出された熱エネルギーによってお湯が沸くという現象は同じであると言っておられたのを覚えておられますか。」
「はい、確か、魔法を使うのは文化的に遅れているかどうとか今はなきとある政府機関のいちゃもんについて科学的に解説をいただいたように記憶していますにゃ。」
「そうでした。F教授は魔法と言うものを科学文化という側面からご説明されておりましたが、我々の興味はエネルギーの変換という点から魔法について研究をしてみたいと思っているのです。」
「そうしますとT教授の研究の最終目的はやっぱりあれでしょうか。ロマンチストですね、にゃん。」
フリップ by A社長 : 先週社長に復帰したぞ、べらんめぇ。
ところでどの辺がロマンなんだ?
「あはははっ、申し訳ないです。年甲斐もなく少年のような夢を持ってしまいました。」
「我々の宇宙、つまりここ星間連合首都でも魔法を使ってみたいということですよね。にゃん。」
「本当にお恥ずかしい、その通りです。
名無し星で魔法が使われるときにどのようなエネルギーをどのようにして熱エネルギーに変換するのかを知りたいのです。
別の言い方をしますと魔力とはどのようなエネルギーで、それをどのような手法で熱エネルギーに変換するのか、この2点を解明すればこのスタジオでも魔法が使えるということになりますね。」
テロップ by A社長 : まじか、壮大なロマンだぜ、にゃん。
テロップ by Pプロデューサー : 本当に可能なのか。是非知りたい。
テロップ by 報道部部長 : 俺のコメントが流れちま・・
「スタジオです。ちょっとお待ちください。
ええぇと、フリップが出ました。
フリップ by Z会長 : 放送時間は延長だぁ、ニュースなんてやってらんねぇ。魔法の方が大事だぁぁぁぁぁ。
ええとと、フリップの指示通り放送時間が終了しましたが、さらに放送時間を延長して、特報を続けさせていただきます。」
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。