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9話目 これが風の聖地・・・・・・胡散臭すぎねぇ

白にゃんこさんと大事な話をしていて気が付かなかったが、突風の通り道である山と山との間の谷間を結構登って来ていた。

ふと山の方を見たら、右側の山の側面が大きく削られ、剥き出しの岩で覆われた大きなくぼみと言うか洞窟のようなものが見えて来た。


これが風の聖地のある場所と言うのは、くぼみの中に見えた立派な建物で明らかだった。


はっきり言おう、人類領にある教会本山の礼拝堂と職校の寮にそっくりな建物がそこに鎮座していた。

俺とエリナ、そしてソニアはお互いの顔を見合わせ、全員の顔が引きつっていることをちゃんと確認できたぞ。


「これが風の聖地か。

何か洗礼されたデザインだよね。

エルフ領ではこのような荘厳な建物は王都にしかないよ。

こんなに立派な建物が秘かにこの僻地に建てられていたなんて、普通だったら信じられないよね。


この地に生きる者の滅亡への警笛とその回避の願いを込めた風の大精霊様の予言の壁を守る施設として、この神秘さは素晴らしいものがあるね。」


「風の大精霊の予言があるのか。」白にゃんこちゃん


「あっ、それはさっき話した全種族の滅亡の危機についてやんわりと書いた壁を風の大精霊様にここに作ってもらったんだ。一昨日ぐらいに。

多分、この建物も昔からある風の神殿への転移魔法陣を収めた元々の建物じゃなく、今週風の大精霊様が俺たちの都合に合わせて作ってくれたものだと思う。」


「もとからあったものじゃないんだ。今作ったんだ。

その割にはところどころ積み上げた石が削れて年季が出ているよな。

手抜き工事だぞこりゃ。」


"俺がきっちり建立して、風をバンバン当てて強制的に石を削っておいたからな。どうだ、風化して何百年物の建物と見えるだろう、シュウ。

手抜き工事どころか手を掛け過ぎだと言ってほしいものだ。そこにいる豹族に後で説明しておいてくれるか。"


あっ、シルフ様ですか。建立、お疲れ様です。


"おおっ、気にしなくていいぞ。石さえあればこんなのはすぐできるからな。

ソニアは土魔法術士だったな。ソニアに石を出してもらえば、町なんて3日で作れそうだな。"


いいです。そんなに張り切らなくて。

これだけでも十分に胡散臭いです。


"シルフ兄さんの作った建物が胡散臭いとはどういうことなの。ちゃんと古い建物に見えるように工夫をしたわよ。

立てるよりも古く見せる方が大変だったんだから。"


"シルフィードちゃん。わかっていると思うけど、これって。"


「しかし、この建物って、人類領にある最も有名な教会の礼拝堂と私たちが通っていた軍人の養成学校の寮と全く同じデザインなのよね。」


「「えっ。」」


「特に礼拝堂は人類にとってはあまりにもよく知られている建物なんで、それがこんな辺鄙なところにうり二つのものあると、胡散臭いというか。」


「人類の誰かが立てたんじゃないかと思われるということか。大精霊ではなく。」


"風神ちゃんに人類領で最も有名な建物とシュウ君たちが暮らしていた建物を聞いて作ったのが失敗だったかしら。"


「でも逆にこれでいいかもね。予言の壁はどこに作ったのか、大精霊様に聞いてくれるかなソニアさん。」


"予言の壁は礼拝堂の礼拝室の最も奥の普段は司祭が祈りをささげる場所に設置しておいたぞ。"


「礼拝堂も最も奥の、一番神聖な場所。多くの人が祈りをささげる場所にあるってさ。」


「じゃぁ、たまたまエルフ領を旅していた人類の冒険家(たまたま土魔法術士で著名な建築家)が。たまたまここ風の聖地を訪れ、たまたま風の大精霊の予言の壁を発見して、それを守るために人類領で有名な建物を模して作った。

これらのことをなしたのが人類だったため、風の聖地の伝承が人類側にしか残されていなかったと。

言い訳するのはどう、シュウ君。」


「ソシオさん、筋は通っていますが、たまたまが多すぎるとやはり胡散臭くて、ためが多いと言い訳がましく聞こえます。

総合的にかなり香ばしいくて、きな臭いにおいがプンプンしますね。」


「やっぱりだめかぁ。」


"じゃぁ、今日シュウ君たちが戻った後にこっそり作り替えとくか。

しかし、いきなりオリジナルのデザインで建築し直すのは無理だな。

ソニア、何か参考になる建物のイメージはないかい。"


「風の大精霊さまが、今晩建物を作り替えとくので、新たなデザインを募集しているよ。」


「やっぱり人類領の建物がいいと思うよ。

エルフ領の建物だと巡礼に来たエルフの信者に疑われてしまうよ。

シュウ君、そこそこ大きくてあまり知られていない教会はないの。」


「そこそこ大きくて、あまり有名じゃない。

故郷ルーエンの教会は小さすぎるし。」


「シュウ、ソンバトの教会とその宿泊施設はどうかしら。

修行で結構な日数滞在していたから、雷ちゃんは外観はもちろん、内部まで良く知っていると思うし。

メイドさんも私と一緒だったんである程度知っていると思うので、内部の様子を含めた建物のイメージをシルフ様に伝えやすいと思うけど。」


「ソンバトの教会がいいかもね、そこそこ大きくて、食堂も100人ぐらいは座れたと思うし。

地方都市だから人類全体から見れば有名じゃないし。

風の聖地のデザインはソンバトの教会と宿泊施設にしようか。


雷ちゃんとメイドさん、ソンバトの教会と宿泊施設のイメージをシルフ様に伝えてくれないか。」


「おぉ、いいぞ。愛人兼美人秘書の俺に任せておけ。」

「承りましたわ。」

「妾のために日当たりの良い場所を確保しておいてほしいのじゃ。

サンルームでもいいのじゃ。」


「シュウ君。

風の大精霊様と念話しているのは何となくわかったけど、メイドさんとか雷ちゃんとはだれなの。

風の大精霊様の眷属とか。」


「あっ、それも大精霊様とお会いした時に話してもらった方がいいかもしれません。

初めから話を聞かないとなんでぇぇぇ。となると思いますので。」


「そうか。彼らもシュウ君たちの志を共にする者たちなのかな。

せっかく全部話を聞ける機会をもらったんだ。

順序だてた説明を聞いてみたいな。

焦って、聞きたい情報だけを聞くときっとまた目が曇ってくるしな。


もう不必要に焦るのは止めだ。

待つときは待つ。

出るときは疾風のごとき出る。

それが豹の狩りだ。


いろいろ知りたいことはあるが大精霊様との面会を待つよ。もうすぐなんだろ。」


「そうです。もうすぐ会えますね。」


「シュウ君、皆、そこにつ立てるともうすぐ突風が吹くわよ。

芦高ちゃん以外は待機組と別れてところまで一瞬で飛ばされるわよ。

早く風の聖地(早くも建て替え予定)に入って。」


「うぁぁぁぁ、まずい、飛ばされるうぅぅぅぅぅ。」


早いな、さすが豹だ。一人だけ風の聖地(似非教会本山礼拝堂)へ走り去ったぞ。


「俺たちも飛ばされる前に風の聖地(ソンバト教会風に改装前)に急ごうよ。」



活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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