4話目 風の聖地(仮)の設立意義
まぁ、風の聖地(仮)の宿泊施設の運営を誰がやるかを決めるのは後でいいんでねぇ。
風の聖地(仮)の責任者は駄女神さんで、考えたくは絶対にないが仮に宿泊施設の責任者が越後屋さんだとすると、間違いなくタコ部屋本段ベッド宿泊施設だな。
誰も泊まらんな。
突風で足止めされた不幸なお客さんがしょうがなく使うだけだな。
一方、宿泊施設の責任者がタイさんだと、王室御用達ホテルになるな。
こりゃぁ、確実に風の聖地(仮)に住み着くエルフが出てくるな。
"少なくともエルフ男は逃げた出すと思うけど。"
エリナ、どうして。
"責任者が駄女神さんじゃぁねぇ。確実に夜襲われるわよ。
そのうわさが広がって、ツアーは日帰りが主流らなると思うわ。"
「じゃぁ、宿泊はエルフ女子だけか。
シュウ、良かったな。これでエルフメイド戦隊以下略の選抜がしやすくなるな。」
「エルフ戦隊なんちゃらのことは私はまだよくわかんないけど、エルフ男をできるだけ多く泊めるためにその駄女神とやらがエルフ女子をみんな追い出すと思うわ。」
「じゃぁ、残るのはジジ・ババ・子供エルフだけじゃな。」
"突風が止まる間隙を突っ切ってくる必要があるので、足の遅いジジ・ババ・子供エルフはツアーに来ないんじゃないかと思うよ僕は。"
"ちょっと、ソシオちゃん。ということは豪華賢覧以下略ホテルは必要ないってことかしら。"
「おばちゃん、まあ、そうなるな。
豪華な宿泊施設でなくてもいいってことだ。
突風の間隙に乗り遅れたエルフが仕方なく泊まるだけなんて、第1083基地名物のタコ部屋本棚ベット宿泊施設で十分だよな。」
"ということは宿泊施設の責任者は越後屋さんで決まりなの。"
エリナ、そうなるよね。
泊まったエルフに人類領の怪しいお土産をぼったくり値段で売りつけそうだけど、一晩だけだから我慢してもらうしかないよ。
"でも、怪しくても人類領のお土産だろ。
ここエルフ領では絶対手に入らないから人気が出たりしてね。
僕は欲しいな。"
"ソシオさん、止めた方が良いわよ。梅干しを人類領の秘薬とか言って売りつけそうだもの。梅干しって知ってる? "
"何それ。梅って何。"
梅がなかったかぁ。
"人類、教会本山の近郊の農家に行けば一杯手に入るわ。それを1000倍ぐらいで売り出しそう。"
まぁ、体にいいっていうし。ご飯は進むし。
決して悪いお土産ではないと思うけど。
"おみやげって、そんなものでしょ。
エルフ領では熊の木彫りとか割と観光地においてあるよ。
つい、何でか買っちゃうんだよねぇ。"
"ソシオさん、人類領の観光地にもよくあるわよそれ。
結構買っていくみたいなの。私はいらないけど。
熊はもう、熊元師匠でこりごりだわ。"
"じゃぁ、風の聖地(仮)の宿泊施設のお土産はその梅干しと言うものと熊の・・・・・、豹の木彫りでどう。"
"シルフィード様、それはいいですねぇ。
宿泊施設の食料や必要な物は豹族に運んでもらったり、食事の用意なども豹族に手伝ってもらわなければならなくなるかもしれません。
豹の木彫りで、豹族というか獣人族のことを、滅亡の危機にある獣人族のことをエルフ族に広く知ってもらうことができるかもしれません。
知ってもらえば滅亡を回避するための考えがいろいろ出てくることも期待できますね。"
"ソシオちゃん、昨日、シュウ君たちから聞いたんでしょ。彼らの志を。
滅亡の危機に瀕しているのは獣人族だけではありません。
そして遠からずエルフ族も魔族も、人類もこのままではいなくなってしまうかもしれません。
それを救う手立てをみんなで考えていくことは大事なことです。
力なき者たちの力を集めることができるかが、今回の輪廻の会合の措置を成功させるか否かの分かれ道だと思います。
力なき者たちに種族の滅亡を感じてもらうためにもエルフ族には豹族の現状を広く知ってもらった方が良いのではないでしょうか。"
"シルフィード様わかりました。風の聖地(仮)への巡礼を通して、各種族が衰退や滅亡の危機にあることを少しづつ知ってもらえるようにしていきます。"
"あなた方エルフ族は情報の扱いにたけているけど、保守的で情報を知ったからと言ってなかなか行動に移せない。
しかし、今回のことをより多くのエルフが知ることで危機感を強し、立ち上がるものが出てくると思います。
情報を知った者たちすべてが立ち上がることはないと思いますが、ソシオちゃんのような考えを持つ者が一人でも多く立ち上がってほしいと思います。"
「なんだが漸く風の聖地(仮)の役割が決まって来たようですわ。
初めは駄女神とかいうやつの隔離施設か留置所のようなところかと思っていたんだけれど、重要な施設になりそうですわ。
そんな重要な施設の責任者がその駄女神でいいのかしら。」
ゴセンちゃんはまだ会ったことがないんだよね。
駄女神さんはエルフ男若衆の件がなければ、優秀な指揮官で高い戦闘能力を持っているんだ。
エルフ男が聖地(仮)巡礼に来れば、必要以上に張り切って施設の維持と運営をやってくれるんじゃないかな。
その上で、出入りする俺たちが各種族の危機を宣伝していくというのはどうかな。
"じゃぁ、初めから風の聖地(仮)の壁に各種族の滅亡の危機を予言として彫り込んでおくのはどう。
それを静めるのがこの風の聖地(仮)の設立の目的のようなことにしておくとか。"
ソシオさん、それの考えはいいですねぇ。
「でも、誰の予言にするんだ。父ちゃんとおばちゃんが言ったことにすんのか。」
"伝説の風の大精霊の神殿とその予言。
如何にも聖地にふさわしいですわ。
その線で行きましょう。
さっそく、シルフ兄様に予言の壁を作ってもらわなきゃ。"
せっかくの風の聖地(仮)が駄女神さんの留置所で終わらなくてよかったよ。
"そうすると風の聖地(仮)の管理はその存在を古文書で知って、確認しに来た人類がやっても変じゃないよね。
風の聖地(仮)なのに管理が駄女神さんと越後屋さんの人類がやるってところにちょっと違和感を感じていたんだ。"
「人類だけにその聖地の伝承が残っていたということにするのじゃな。」
"そうですね。実際、人類は魔族との戦で徐々に領土が狭まり、種族としては衰退してきていると聞いています。
その時に新たな力を得るために風の聖地(仮)を探していた。
何があるかはわからなかったけれど、来てみれば各種族の衰退と滅亡が予言されていた。
この予言を静めるために風の大精霊が風の聖地(仮)を建立した。
滅亡の危機を実感している人類が、ここを復活の聖地として崇めたいとしている。
当然人類だけでなく風の申し子と言われるエルフ族もここに巡礼して、各種族の滅亡回避を祈ってほしい。
というような、話でしょうか。"
そうして、祈るだけでなくエルフ族の滅亡回避に行動を起こしたい者を集めていく。ということですね。
"そうでね。これですべて整理できたんじゃないかな。"
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。
この物語は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。
死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。
時間的には本編と同じ時の流れになっていますので、別伝としてお伝えすることにしました。
シュウが風の大精霊と会合した後の本編の進行に大きく影響してくる別伝ですので、本編ともどもよろしくお願い致します。