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49話目 使徒と巫女

衝撃の言葉を残して、シルフィード様はスキップする様にウキウキしながら帰って行った。

実際は合ってはいないのだが、まぁ、なんとなくそんな雰囲気を感じたんだ。


そんな陽気さとは真逆に俺とエリナ、ソニアは。

「「「・・・・・・・・」」」

呆気にとられたということだ。


目の前でふてくされたように黙って酒をあおっている、さっきはちびちびだったのに、白と黒のおっきなにゃんこが神殿に入る資格がある者とは。

つまり、彼女らはいずれかの魔法属性の使徒あるいは巫女ということになるな。


「まさか、炎のアーティファクトということはねぇよな。」

「雷ちゃんは何訳の分からないことを真顔で言っていますの。アホですか。」


「ゴセンちゃん、アホと言う方がアホなんだぜ。知らなかったのか。幼稚園の先生が言ってたぞ。

ゴセンちゃんは幼稚園に行く前に質に、ぷぶふぷっ、入れられたんだなきっと。

難儀な人生を送って来たもんだせ。」


「なんだって、この駄リング。

あんたこそ、かび臭くて表に出して置けないからタンスの奥にしまわれていたんで、小学校に行っていないんでしょ。

アホさ加減が丸出しだわ。」


「うるさいですわ。そこの素人が作った出来損ないの腕輪とカビの胞子が浸透しきった指輪。少し静かにしなさい。」


「ゴセンちゃん、やばいよ。おばばが本気で怒っているぜ。口調が丁寧だ。」

「雷ちゃん、そのようですわね。おばばがおにばばになる前に静かにしましょうか。


「ゴセンちゃん、おばばがおにばばって、出会ったころよりも、ギャグのセンスが上がったな。」

「雷ちゃん、昨日初めて会ったばかりだわ。

私ってきっとキャグセンスに恵まれた腕輪なのね。」


ポンコツ度が釣り合って、似た者同士ということで、いつの間にこいつら仲良くなっている。

ギャグセンスに優れた腕輪なんて誰が欲しがるのか、小学校の教頭先生に100回は問い合わせたいところだな。


しかし、このおっきいニャンコたち何属性の使徒か巫女なんだ。


"えっと、まだ発見されていない使徒は水、土、炎だよね、お兄ちゃん。"

"巫女は二人づつとして、やっぱり水、土、炎だわ。シュウ。"


「ソニア様、先ほどから怪しくはございませんか。」


"怪しい、誰が?

ゴセンちゃんはやばいよ、ポンコツを通り越して残念な奴になっているよ。アーティファクトのくせに漫才師目指しているし。

まぁ、雷ちゃんはお兄ちゃんの自称愛人兼美人秘書だからまだセーフね。"


「あのう、失礼ですが風の使徒様。私、漫才師をなどは目指しておりませんわ。天性のギャグセンスを持っていることは否定致しませんが。

私の目指すところは埃臭さが取れた完璧な腕輪ですわ。」


うるさい他に埃臭いのも自覚があったんだ。

しかし、ゴセンちゃんの目標とすることが埃臭くなくなることなんて、なんてちっちゃい奴なんだ。


「ちっちゃい言うなぁ。雷ちゃんよりおっきいはぁ、物理的に。」


"ゴセンちゃんのことはもうあきらめるとして、シュウ、メイドさんが言う怪しいのって誰。"


昨日、会ったばっかりなのに残念とか諦めるとかゴセンちゃんヤバくない。質屋に戻されるぞ。

速くお前の使徒を見つけろよ。

ということは、おっきなにゃんこたちは土じゃねぇな。


あっ、そう言うことか。


いたいた、いつもの変な口調でなくなったやつが。

馬鹿に丁寧になったというか、緊張しているやつが。


"えっ、ということは水ということ。お兄ちゃん。"

"確かにいつもと違って緊張しているようだわ、おばちゃんさんが、ねぇそうでしょ、シュウ。"


おばちゃん、白状しな。


「ううっ、ばれちゃしょうがないのじゃ。そうじゃ、シュウの言う通りじゃ。

そこの白いのが水の使徒じゃ。そして、黒いのが水の巫女じゃ。多分間違いない。」


「おはば、良かったじゃない。あんなでっかいにゃんこでも使徒が見つかって。


私なんかまだ・・・・・。


でもいいの、きっと絶世のイケメンなんですわ、私の使徒は。

それにそっとはまる私。

きっと、劇的な出会いなんだわ。こんな、寒村の周囲とかじゃなく。

きっと、そう、王都の宮殿の中でよ。

私は男の人にはちょっと似合わない腕輪でも、イケメンがはめれば、きっと。あまりにも自然なおしゃれのアイテムになるの。

そして、きっと、誰もがうらやむのですわ。

きっと、もうすぐですわ。私の使徒、絶世のイケメンと出会いは。

きっと、そうなる運命ですの。」


「きっと、きっとと夢見過ぎだぜ。ゴセンちゃんは。

所詮漫才師体質なんだから、お前の使徒もギャグのような顔だよ。

ギャクキャラ男には埃臭い素人が作った出来損ないの腕輪がお似合いだぜ。」


「そんなことはないもん。私はイケメンの腕にはまって、あなたは3歩いたら忘れるようなどこにでもいる平凡顔のシュウの指にはまって、格差社会を体験するがいいわ。」


「まぁ、俺はシュウでいいよ。

夢見た挙句、ギャグキャラならまだしも、オーク顔の魔族かも知んねぇしな。」


「ちょっと、変なこと言わないでよ雷ちゃん。そんなこと言うと・・・・・・。

どうしよう。オークだったら。まだオーガの方が良いわ。

そうよ、私の使徒はきっとオーガ顔よ。

鬼のような力強い。」


ゴセンちゃん、絶世のイケメンからなぜオーガまで一気に格下げされて満足なんだ。


「所詮、ゴセンちゃんだからな。

5千バートだから、オークかオーガで釣り合いが取れんだろ。」

「だから、オークは出すな、オーガだってば。」


「ゴセンちゃんがやっすいやつだってことは理解しましたわ。

やっすいゴセンちゃんのことは放っといて、使徒と巫女であれば、全てを話さなければなりませんわね。」


そうなんだよな。

でも、今すべてを話すとおばちゃん担いで魔族の占領地に単騎特攻しかねんぞ。

まだ、その力の使い方もその使命も何にも覚醒していないのに。


"そうだよ。今は全部話すのはまずいよ、お兄ちゃん。

シルフィードちゃんも、だから風の神殿に連れて来いと言ったんじゃないの。


風の神殿であれば水の使徒と言えども、お兄ちゃんやお姉ちゃん、私やソシオさんの力がなければ転移してエルフ領に戻ってこれないし。"


"そうよね。ここでは話をしないで、風の神殿に連れ込んでから必要なことを話すということでいいんじゃない。

きっと暴れても何もできないし。


あっ、それとソシオさん、風の巫女にもまだ何も話をしていないわ。そっちはどうする。"


おっきいにゃんこと言う爆弾を抱えて風の神殿に入る、いや、風の大精霊に会うのだから風の神殿に入る前にはすべて知って於いてほしいと思う。

厄介事は減らしておこうよ。


彼ならば、巫女としての使命を理解してくれるんじゃないかな。

すでに独自にエルフ族の救済について取り組んでいるようだし。

早めに話して、ソシオさんが巫女として十分に力を発揮できるようにした方が良いと思う。


"それは誰が話すの、いつ話すのが良いと思う、お兄ちゃん。"


まずは、ソニアが話したらどうだろう。風の使徒を支えるのが風の巫女だというし。

ソニアの使命をきちんと話して、それをわかってもらって、助けてもらわなければならないから。


先日、ソシアさんのその思いを聞いたけど、ソニアの考えている使徒としての使命と大きな違いはなかったと思うよ。

ただ、ソシオさんの思いは今のところエルフ族のことに偏っているので、それを全種族の救済として、もう少し大きく考えてほしいというところじゃないかな。


"私とソニアちゃんはその場にいなかったんだけど、どんな話をしたの。"


ソシオさんもエルフ族が種としての衰退を感じているそうなんだ。

しかし、エルフ大人たちはそれがわかっていても運命として悟ったような点があって、それはエルフ族の保守的な面と言っていたけど、運命に立ち向かおうとしていないということだった。


ソシオさんとしては運命を変えたい、その力が欲しい、その力の源を子供たちに求めたいということだった。

運命に立ち向かう力を着けるために学校を、抗う方法を見つけるために研究機関を立ち上げたいとのことだった。


"その力の一つとして、風の巫女の力を使ってほしいわね。

そして、エルフ族だけでなく、人類も獣人族も、そして、魔族も救う方法を探してほしいというのが、お兄ちゃんの願いよね、きっと。


私の使命はお兄ちゃんを手伝って、お兄ちゃんの志を一緒に遂げること。

私、ソシオさんと話してみるわ。"


"私たちも一緒に話の中に入るので頑張ってね。ソニアちゃん。"


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。

10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。


この物語は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。

時間的には本編と同じ時の流れになっていますので、別伝としてお伝えすることにしました。


シュウが風の大精霊と会合した後の本編の進行に大きく影響してくる別伝ですので、本編ともどもよろしくお願い致します。


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