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45話目 この旅の目的はなんなの

「それでは関係する皆がそろっているので、明日からの予定の話をしますね。」


「よっ、お兄ちゃん、かっこいいよ。」

「やっぱりソニアちゃんもそう思う。」

「うん。」

そこの美幼女様と若奥様、人が話している時に茶化さないように。


「まずは俺たちの旅の目的です。

人類側にあったエルフ族に関する古文書をたまたま見ていて、その中にエルフ領には風の聖地と言うものがあるという記述がありました。


そこはどういうところかわかりませんが、そこへの行き方というか、どの方向にあるのかがわかる特殊な魔法も一緒に記載されていましたので、それを頼りに風の聖地を探したいと思います。


この目的は俺とエリナ、ソニアの個人的な興味に基づいているので、それに付き合ってくれる皆、援助してくれる皆にはまずはお礼を言いたいと思います。


もしも見つからなくても別に構わないと思っています。

皆さんと楽しく旅をすることが今回の冒険のもう一つの目的です。」


「風の聖地には何があるんだ。古文書にはどう書いてあった。」イザトラさん

「その辺は何も書いていませんでした。ただ、そういう場所があるということと、行き方だけが載っていました。」


「それだけでこんなに遠くまで、未知とも言っていいエルフ領まで来たのかい。」村長


「そうなんです。

俺たちは軍人です。直近の戦いの後に芦高さんが奇妙な転移魔法陣を発見しました。


その戦いの後に長期の休暇をもらったので、その休暇を利用して発見した転移魔法陣がどこに繋がっているか確かめることにしました。

風見鶏型の転移魔法陣なんて初めて見たんですが、まぁ、風見鶏なんでもしかしたら風の申し子、見失われたエルフの暮らす国へ転移するかもとはある程度の予測はしていたんですがね。


実際に転移してみるとやはりエルフ領でした。

それならば、生きている人間で誰も行ったことのないエルフ領を旅してみたかったんです。

エルフ領のことは全く知らなかったものですから、旅の目的地をたまたま古文書で見た風の聖地と定めました。」


「そこに何があるかはエルフ族も近くに住んでいる我々豹族もわからないのだから、まぁ、確かに実際に行ってみるしかないな。」


「シュウ君、風の神殿へ入るための転移魔法陣が設置してある社を改装したわ。」


突然、現れたシルフィード様。声だけだけどね。


「社には常時風魔法の遮蔽を掛けてあるの。これで今の説明と矛盾がないわね。


あとは本当のことを誰と誰に話して、社にある転移魔法陣で風の神殿に連れてくるかね。

本当の事情を知らない者たちにはこの社を美と慈愛と子宝と風の女神の神殿として理解してもらったらいいわ。


次の問題は、同駄女神さんをこの社の巫女としてどう仕立て上げるかだわね。


う~ん、駄女神さんの彫刻でもいくつか飾っておきましょうか。

それをシュウが指さして" 駄女神さんがいる。ここは駄女神さんの神殿だったのか 。"と言ったもん勝ちで、既成事実を作っちゃうのはどうかしら。


んっ、それがいいわね。

早速、兄に彫刻作成をお願いしようかしら。

あっ、大丈夫よ。駄女神さんの背格好は風神ちゃんの情報で飽きるほど確認してあるからね。


それじゃ、風の神殿で待っているわね。

特にソニアちゃん。

バイバイ。」


嵐のようなシルフィード様の独り言だった。

でも、これで現地に行って風の聖地をどうしようかと言う心配はなくなったな。

大精霊様の遮蔽魔法なんで、普通のエルフ族じゃ見破れないだろうしな。

これまで発見されなかった言い訳にはちょうどいいな。


「今、おばちゃんがいたような気がすんぞ。この頃登場が多いな。」

「それは風の神殿が近いからかもしれません。

それに、何よりもお母様はソニア様と直接お会いすることが待ちきれないのだと思いますわ。」

「zuu、zuuuu、zuuuuuu、今夜は豹族の男共をキャーキャー言わすのじゃ。待っておれ。zuu、zuuuu、zuuuuuu、」

「待ちきれなくって、今日会いに来るんじゃない。美と慈愛のなんちゃら社からここまで2~3日ぐらいの距離だと言ってたから、風の大精霊様ならすぐ来るんじゃないかしら。」


ゴセンちゃん、そんなフラグを立てるような発言は・・・・・


「そうねぇ、ゴセンちゃんの言う通り、今晩にでも行ってみましょうかしら。

あっ、別にお出迎えはなくても良いわよ。屋根からそっとソニアちゃんの様子を伺うだけだから。」


ストーカー大精霊が誕生する瞬間だな。


「こらっ、シュウ君、変な考えは風神ちゃんに筒抜けよ。

それより、黙っていると事情を知らない周りの方々が不審に思うわよ。

ソシオちゃんとその他のエルフちゃんたちは慣れちゃったからいいと思うけど。」


おっとそうだった、何を話していたんだっけ。シルフィード様が突然話しかけるから忘れちゃった。


「私のせいにしないの。

雷ちゃん、美人秘書の出番でしょ。」

「おっとそうか、仕事をしなくっちゃな。えっと、風の聖地を旅の目標と定めたところまで話したぞ。


次は、え~っと、風の聖地の方向をエリナに指さししてもらったらどうだ。

さっき確認したとか言って。実際は姉ちゃんが場所を把握してんだけどよ。」


さすが自称美人秘書、ごくたまに活躍するな。


「それほどでもあるぜ。」


改めてっと。

「その風の聖地のある方向ですが、先ほどエリナが探ってみました。エリナ。」


「ええと、こっちです。」


エリナはそっとソニアの指についている風神様が指し示す方向をなぞるように右手で指示した。


「そちらの方向は、南西ですな。

南西には道が伸びていますのでとりあえずはそのまま進んだらいい。


しばらく進んでからまた方向を確認するとして、だんだん山に入って行くから足元と寒さに気を付けてな。

私たちのように毛皮がない方々は防寒着を必ず着て行くんだよ。」


「はい、装備品としていただきましたので忘れずに着て出かけます。」


「それと出発は遅めの方がいい。日が十分に登ってからな。


そして、野営になるから、速めに野営の準備をすること。

そんなに大した山々じゃないからと言って、油断しないようにな。


炎属性はタイさんだけかな。

タイさんは魔力を無駄に消費せずに、急な天候変化に備えた方がいい。

みなの体を温める最後の砦なのだからな。」村長


「わかりましたわ。料理もできるだけ小枝を燃やすようにします。」


エリナが炎属性に目覚めたことはまだ秘密だからな。


「ちょっと、シュウ、なんで私の功績を大々的に広めないのよ。」まだ新人なので必死に業績をアピールするゴセンちゃん


「ソニアが風属性に目覚めたことも秘密にしてんだからな。順序から言えばそっちから話すべきだと思うぞ。」

「「zuu、zuuuu、zuuuuuu、妾なんて誰も目覚めさせておらんぞ。妾も寝ているがな。zuu、zuuuu、zuuuuuu、」


「寝ながら会話してるぜ。タヌキだな。

ちなみに俺もだれも目覚めさせていないぞ。

ちょっと肩身が狭いな。

まぁ、中心にいる者の愛人兼美人秘書が俺の仕事だから、そんなちっちゃいことを気にすることはねぇな。

と言うことで、ゴセン。ちっちゃいことでさわぎたてんじゃねぇ。」


「ぐううっ、ちっちゃいやつて言われてしまったわ。指輪より腕輪の方がおっきいのに。」


何かチンチクリンズの背比べのような話の流れになってしまったぞ。


「また黙っていると変に思われるぞ、シュウ。

ちっちゃいやつのことは気にしないで、話を進めろ。」


改めまして、

「出発は何時ごろがいいでしょうか。村長。」


「南西方向に行くのならば、今夜の野営地はあの岩場かな。

どう思う、ノアフ。」

「そうですね。ちょっと距離は稼げないが、冬山の初日なんでかなり余裕があった方がいいですね。

あの岩場であればテントも張りやすいかな。


初日はその岩場で野営しますか。」


「そこまで行くのならゆっくり歩いても5時間ほどで着くな。出発は9時半で良かろう。」


「では、明日の出発は9時半と言うことで皆お願いします。

それではこれで打ち合わせは終わりますね。」


「では、私から。

夕食に歓迎会を予定しています。それまではゆっくりとくつろいでください。

ああっ、大蜘蛛様は子供たちとまた遊んでもらえるということでしたな。」村長


「ソニアちゃんとタイさん、アイナちゃん、アラナちゃん。私たちは村長の奥さんとイザトラさんにお菓子と料理を教えてもらいましょう。」


「じゃ、残りはここで雑談をして過ごすか、芦高さんと子供たちの見守りをしますか。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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