こちら次元間 チャンネルわん・にゃん放送局 報道特集 あの世界の秘密 第2回放送延長
190323 設定に矛盾がありました。訂正します。
「9時になりました。こんばんは。9時のニュースの時間ですが、今日は緊急報道特集の第2回目を、放送時間を延長しても終わりませんでしたので、さらに延長してお送り致します。キャスターはいつものまねき猫です。
それでは、長い間お待たせして、大変申し訳ございませんでした、現地のK特派員さん聞こえますかにゃ。」
「はい。聞こえています。本日は、よろしくお願いしますわん。」
「早速ですが、調査結果の報告をお願いしますにゃ。」
「わかりました。まずは調査の経緯をお話しします。
放送の冒頭にありましたように、この地の軍に関する情報を入手するのに非常に苦労しました。
まず、詳しく知っている方が軍関係者に限定されること、軍関係者は教会本山というところと戦闘地域の2ヶ所に集中してお住まいになっているため、インタビューのための接触が困難であることですわん。
戦闘地域に侵入することは当局の職員の安全確保のため、社内コンプライアンスで禁止されています。
通常、戦闘地域での取材は、外部の戦場報道傭兵さんを雇用しますが、この地にそのような制度があるかを住民に尋ねましたが、首を傾げるだけでしたわん。
そこで、もう一つの軍の施設が集中している教会本山にて、取材に応じてもらえる方を探しましたが、先日、IAD特派員が軍の最重要要注意人物であるリー〇さんに突撃インタビューして返り討ちに会いました。
それ以降は教会本山の軍施設の警戒が厳しく、施設内に入ることができなくなりましたわん。
我々特派員は鼻を地に着けてさんざん嗅ぎ回り、先日、漸くある詳しい方にインタビューの了承を得ることができました。
その方との出会いは、私が途方に暮れ、教会本山の麓に広がる門前町をトボトボ歩いていた時のことでしたわん。
白いローブを羽織った8歳ぐらいの女の子が突然、私の前に現れ、道をふさいで次のように話しかけてきたのです。
「おっちゃん、そっちのポッケから、甘い良い香りをさせてんなぁ。痛い目に会いたくなかったら、それを全部置いてけよ。」
これを聞いた私は、あぁこの子はこの巨大な門前町のスラム。
大変失礼いたしました。非登録住民不法占拠地帯に住む、十分な食料を与えられていない子供かなと思いましたわん。」
「K特派員さん言葉に気を付けてください。
非登録住民不法占拠地帯を略語で放送しますと、明日の朝、当局に人権保護市民団体の皆様がお越しになり、ありがたいお説教を幹部職員全員が半日聞かされることになりますのでにゃ。」
「大変申し訳ございません。この通り土下座して謝罪し、先ほどの略語を取り消させていただきます。
続けさせていただきます。当時私のポケットには確かにゴディ〇のチョコレートがバラで5個ほど入っていました。
地域の住民、特に子供たちと仲良くなり、新たな情報を得るためですわん。
もともと子供に渡すためですから、その女の子にも渡そうと一つ取り出したところ、「全部出すんだよ。」と言って、私のポケットに手を突っ込んですべて持って行かれてしまいました。
私が呆気にとらわれていると、女の子は「俺は泥棒じゃねぇから代わりになんか手伝いをしてやる」というではありませんかわん。
私は試しに軍の編成について聞いてみるとすごく詳細に話してくれました。
後から裏を取ったところ、話はすべて真実でした。
本日は情報提供者に生出演してもらうはずだったのですか、よる9時を過ぎて起きているとお肌が荒れるからと言って帰られてしまいましたわん。
予備で事前に取材したビデオがありますので、そちらを見ていただきたいと思いますわん。」
「ついに取材に成功したのですね。お疲れ様です。
それでは取材ビデオを流しますねにゃ。」
女の子をオープンカフェのテラスに座ってもらい、K特派員が聞き役、L特派員がカメラを回している。
テーブルにはお菓子の山が置いてあった。インタビューはこのお菓子を食べながら行われた。
「この国の軍人さんにはどうやったらなれるのかなわん。」
「んっと、ここ教会本山に付属している職業訓練校、職校の魔法術士コースか聖戦士コースを卒業すると強制的に軍人登録される。
卒業生は自身の魔法属性により白、赤、青、緑、黄色の各魔法協会もしくは聖戦士は聖戦士協会に所属することになる。
一応黒魔法協会もあるがこれは黒魔法を研究するための機関で、ここに所属しているのは軍人ではなく研究者だけだ。
属性魔法による魔法協会への所属とは別に、強制的に各騎士団に所属しなければならない。この騎士団がこの国の軍組織である。
騎士団は10個の軍団よりなり、協会と同じで紛らわしいのであるが、第1、2軍団は白騎士団、第3、4は青、第5、6は黄色、第7、8は赤、第9、10は緑騎士団と呼ばれている。
戦闘地帯に右から第1軍団を配置し、番号の通り並べられ、一番左は第10軍団となる。各軍団ごとに担当地区を守り、攻める事になる。
職校時代に、属性魔法の偏りがないように気の合った者同士でチームを組んで訓練し学んでいくが、職校を卒業してもチームは解散せず、そのままのチームで各騎士団に所属することがほとんどである。
チームを組んでいない場合には卒業後に1人で騎士団に入団し、その後に騎士団内で欠員の出たチームに入ったりしている。
軍の編成は3チームで1個小隊、3個小隊で1個中隊、3個中隊で1個大隊、5個大隊で1個連隊、3個連隊で1個師団、4~5個師団で1個軍団となる。
各師団は固有の番号が割り当てられており、例えば第1軍団は5個師団からなるが、それぞれ、第1、11、21、31、41師団となる。
1チーム4名と考えると、軍団全体の戦闘員は約2700人ぐらいになり、ここに運営や諜報等の担当者を加えると1個軍団に約6000人ほどが所属していることになる。
各軍団は独立した運営がなされてるが、同じ色の騎士団同士は仲が良く、物資や人的な交流も頻繁に行われている。
以上が軍編成の概略だな。これくらいであればこの町に暮らすものであればだれでも知っているぞ。
わざわざここまで来てで聞かなくても、皆中学校で学ぶと思うが。俺はお菓子をもらえたので良かったぞ。」
「ありがとうございます。このような詳細は初めて聞きました。あなたは軍関係の方でしょうかわん? 」
「違うよ。白魔法協会で働いている。そこの総裁をしている。」
「えっ、7~8歳の子供が総裁ですかわん? 」
「女の本質は見た目じゃわからんぞ。お前はもう少し世間を勉強しろ。」
「はーっ。今日はインタビューに答えていただき、ありがとうごさいますわん。」
「おいしいお菓子をくれるなら、いつでも何でも答えてやるぞ。わはははははっ。」
「以上、インタビューを終わりますわん。」
プツン
「いかがだったでしようか。渾身の取材でしたわん。」
「今回も非常にわかりやすい情報をありがとうございます。続けて、取材をお願いしますにゃ。」
「わかりました。次はこの門前町の人々の暮らしや職校について取材を進めたいと思います。
以上、名無し星からの中継を終わりますわん。」
「特派員の皆さんありがとうございます。また、情報が集まり次第、報告をお願い致しますにゃ。」
「この報道特集は当局が全力で取材を継続しております。今日はこれで終了致します。次回の放送をお待ちくださいにゃ。」
プツン
次回から、本編に戻ります。