34話目 墓穴は瞬時に埋めます by エリナ
その後も俺たちは中心街にある店を見て回った。
エルフ領だから何か特別なものはないかと興味深々に見て回ったが、何かこれと言ったような、全く得体のしれない商品はあまりなかった。
むしろ、地域性、北方の港町に特有な商品が目立っていた。
特に、穀物、野菜、果物等の農産物にそれは顕著に表れていた。
あと、おっきなにゃんこさんたちには申し訳ないが、毛皮製品が多いのも面白かった。
防具屋で革の鎧を見たが、人類領で売っている物より、軽くて丈夫そうなので、買おうかどうか悩んでしまった。
ちょっと色が黒かったので、黒いおっきなにゃんこさんを思い出し、買うのをためらってしまったけどね。
ソニアのお目当てのお菓子類は、さすがに地域性が出ていて、見た目の華やかさよりしっかり腹にたまるようなものが多かった。
そのため、いろいろなお菓子を試したいソニアだったが、いくつも食べないうちにお腹が一杯になったようで、つまらなそうに皆の買い物の後を付いて来ていた。
タイさんも張り切って食材を探していたが、宿では料理が出るし、旅の間の食材はにゃんこさんたち豹族が用意してくれるので、食材を手に取ってはみても、結局、見るだけで買うようなことはなかった。試食は喜んでしていたけど。
その代わり、日持ちしそうなお茶や調味料などは少量づつ買いそろえていた。
エルフの風見鶏の守り人にお願いすれば特一風見鶏の村に使わない荷物を送っっておいてもらえるそうなので、保存の効くお茶や調味料などは人類領へのお土産に最適なのであろうか。
パキトさんは俺と武器や防具の物色。
アイナさんはタイさんとお茶や調味料の物色。
アラナさんはソニアとお菓子の物色をしていたが、既におなかが一杯で何となく皆に付いてくるだけ。
それぞれが街の買い物を楽しんでいた。
かの方がいらっしゃるまでは・・・・・・・。
「ちょっと、シュウ。なんで若妻の私を置いて、女の子を引き連れて買い物を楽しんでいるかなぁ。信じられないわ。」
かの方が激おこです。
「だって、エリナは妄想界に魂を引きずり込まれて、俺たちの話を全然聞いてくれなかったじゃないか。」
「妄想界から引き戻してくれるのが旦那様の務めでしょ。」
「あっ、それ無理、絶対無理だから。
エリナの妄想界の扉を俺たちが空けるなんて。
下手をしたら引きずり込まれて一生復活できないから。」
「うえ~んっ、旦那様が若妻を宿に置いて、妹と他の女の子と一緒に買い物している。うえ~んっ。この裏切者~ぉっ。」大声
「エリナちょっと、周りの皆がびっくりして、俺たちをガン見しているんだけど。ちょっと、やめてね。」
「うえ~んっ、旦那様が若妻を宿に閉じ込めて、たくさんの女を侍らせて、デレデレしてるぅぅぅぅ。うえ~んっ。この浮気者~ぉっ。」さらに大声
「エリナちょっと、周りの皆が引いているし、俺を見て汚物を見るように目をしかめているんですけど、やめれぇぇぇぇ。」
「うえ~んっ、旦那様が若妻を宿に・・・・モガモガモガ・・・・・」
「ごめん、俺が悪かったよ。
今からはエリナのためだけに買い物に付き合うから許してくれよ。」
「うえ~んっ、(チラッ) 旦那様が若妻を宿に・・・・モガモガモガ・・・・・」
「わかりました、わかりました。
もう許してくれるのなら、何でも買ってあげるから、もう許してください。」
「もちろんいわよ。私は別に怒ってなんていないわよ。
ただ、旦那様が如何に甲斐性があるかを周りのみんなに知ってもらいたかっただけ。
さぁ、行くわよ。
結婚指輪を買いに。
さっ、とっとと歩くの。
わかった、シュウ。」
「今ので、シュウに甲斐性があることが伝わったのか。」
「シュウがエリナの尻に敷かれてぺちゃんこになっている甲斐性なしだということは十二分に伝わったと思うのじゃが。」
「旦那様が奥様をどれだけ大事にしているかは伝わったと思いますわ。」
「えっ、今のどの辺が大事にしているというんだ。
大事にしているなら宿に置いてこねぇと思うぞ。背負って来るよな。」
「では、奥様が旦那様をいかに大事にしているが伝わったと思いますわ。」
「えっ、どこがじゃ。
妾には強引に結婚させられた挙句に尻に敷かれてもがいている人類一の甲斐性のない男、いや2番じゃな、一番はぶっちぎりで旧ランク8位のやつじゃ。
まあ、信じられないくらい甲斐性なしな事だけが伝わって来たのじゃ。」
「あっ、それは俺もにも伝わったぞ。
そうすると、きっと、明日にはエルフ領全域にうわさが伝わるな。
ソシオが言っていたもんな。
エルフおばちゃん風の井戸端会議情報網は王族でも知っている準公式の情報サイトみてぇだからな。」
「と言うことは、奥様は知らず知らずに旦那様の甲斐性のなさを全エルフ女子に宣伝してしまったということですわね。」
「ちょっと、それはかなり困った事になりはしないか、俺的に。」
「かび臭い雷ちゃん、なんぞまずいことでもあるのかのう。」
「だって、エルフ成人女子は甲斐性のない男が大好きなんだろ。
シュウの愛人候補が明日、宿の玄関に押し掛けてくるぞ。」
「と言うことは、明日は宿に押し掛けたエルフ女子を海岸に誘導して、ご主人様の愛人候補選抜試験を行うということですか。」
「そうだぞ、愛人でなくてもシュウの目指しているエルフメイド戦隊なんちゃらのオーディションは確実に行われるな。
そこに、エルフ女子としては希少種の巨乳が混じっていたら、確実にエルフメイド戦隊ご主人様お世話しま~すズの設立が決定だな。
エリナ、何をやってくれたんだ。墓穴を掘ったぞ。」
"えっ、私がエルフメイド戦隊なんちゃらの創設を手伝ってしまったというの・・・・・、
まずいわ、ここまでは苦労してシュウの周りからエルフ女子を排除してきたのに。"
"お姉ちゃん、なんということをしてくれてんの。まずいわよ。
明日のオーディションに、愛人部門とエルフメイド戦隊部門の他に妹枠部門ができたらどうしてくれんの。
私のだけの妹枠が溢れちゃうぅぅぅぅぅ"
えっ、明日はマドリンの海岸に出かけて、俺のためにエルフ女子選抜試験、愛人部門とエルフメイド戦隊部門、妹枠部門が行われるのか。
それはありがたいが、そんなにたくさん部門があるとゆっくり選抜できないな。
う~ん、そうだ。
優秀な美人秘書の雷ちゃん。
「んっ、どうしたシュウ。俺に仕事の指示か。
任せろ何でも完璧にこなして見せるぜ。」
エルフ女子全員の面接は無理なので、エルフメイド戦隊部門に絞って、且つ、面接候補は巨乳だけにしてくれるか。
「愛人部門を廃止してくれるなら、それぐらいは簡単だ。
すべて俺に任せておけ。
漸くここにきてエルフメイド戦隊なんちゃらの設立の目途が付いたな。
シュウ良かったなぁ。」
雷ちゃん、ありがとう。
俺、明日は頑張るよ。
きっと素晴らしいメンバーを集めてみせるよ。
"明日は玄関の門番を芦高さんにお願いしましょう。これで、殺到してきたエルフ女子を追っ払えるわ。
それと、シュウ、明日は外出禁止ね。
宿で一日中、私を抱きしめていることを申し渡すわ。"
"あっ、私も。私も一緒にね。"
そっ、そんなぁぁぁぁぁぁ。
「まぁ、俺はどっちでもいいけどな。」
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。