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こちら次元間 チャンネルわん・にゃん放送局 報道特集 あの世界の秘密 第11回放送 延長3回目

11時30時になりました。こんばんは。今日は報道特集の第11回目を、放送時間を再々延長しても終わりませんでしたので、そのまま続けて特報をお送り致します。

キャスターは代理の狛犬です。

現地のNさん、先ほどの続きをお願い致しますにゃ。」


「Nです。それでは先ほどの続きをお送りいたします。


リンダさん、まずは龍さんのところに行ってみませんか。

余りにお邪魔そうなら、引き返すということで。

芋煮のお代わりをもらうことをきっかけにして、料理について聞いてみるのはどうでしょうか。にゃ」


「おお、確かに猫耳のと言う通りだな。話をしてみないと始まんないな。

ここに居るとシュリの毒舌の餌食になりそうだもんな。」


「シュリは今日ボルガ君が職校の演習で一緒に来れなかったから、ちょっと機嫌が悪いようなの。」ボソ

「ああそういうことだったのか。道理でここに来てから毒を吐きまくっていると思ったぜ。」ボソ


「ちょっと前まではあんなに感情をはっきり出せる子じゃなかったのにね」ボソ

「恋が変えたか、子供から女に。」ボソ


「そういう意味じゃリンダはまだ子供ね。その辺の機敏を今まで気が付かなかったなんて。」ボソ

「くくくくっ、言い返せねぇ。リンカまで毒を吐き始めた。」ボソ


「私のは毒じゃないわよ~ぉ。

辛~い、忠告。

リンダ、このままだと本当に駄女神2号になりそうなんだもの。」ボソ


「もういい、猫耳行くぞ。

甘~い壁をぶち破って、料理のコツを聞きに行くぞ。」

「行ってみましょう。にゃ」


「龍一さん、用意した芋煮ももうなくなりそうですね。」

「そうだな、みんな良く食べたからな。

あの学生の女の子はいったい何杯食べたんだろうな。

一鍋差し出した方が早かったんじゃないか。」


「育ち盛りなのでしょう。龍一さんはちゃんと食べましたか。」

「我は味見と称して、結構食べたぞ。

ビオラさんこそ、皆に食べさせるのに忙しくて、自分では食べてないんじゃないのか。」


「私は芋煮を用意する段階で結構試食をしましたので。

自分で味見をしてみないとそのまま皆さんにお出ししてもいいのかわかりませんので。」


「それでこの芋煮の味はどうだった。我はうまいと思ったが。

ただ、米酒が飲みたかったが、料理を配布するのに忙しくて、飲む暇がなかったわ。はははっ。」


「うふふふっ、皆さんもうお腹がいっぱいの様ですね。

芋煮のお代わり攻勢も止まりましたもの。

じゃ、私の鍋からあなたの分を取り分けてあげますね。


あら、最後の一杯だわ。

ほんとみんなよく食べたわね。はいどうぞ。」


「じぁ、ビオラさんの分は我が我の担当の鍋から。


んっ、汁とネギしか残ってないな。

にゃんこたちがネギを嫌っているからネギだけが残ってしまったわ。ははははっ。


ということで、ビオラさんが取り分けた分はあなたが食べたらいい。

我はネギで米酒を楽しむとしよう。」


「いけませんわ。火の番で魔力をたくさん使ったのでしょ。

だから最後の一杯はあなたが食べてください。

私はそうしてほしいの、私のためにも。私の幸せのためにも。」


「我が最後の一杯を食べることがあなたを幸せにするのですか。

ちょっと良くわからないのだが。

お腹を一杯にした方が自分のためになるのではないのか。」


「うふふふっ、龍一さんはわかっておりませんね。」


「んっ、何をだ。

最後の芋煮を我が食べてしまうことで、ビオラさんが幸せになることは確かに良くわからんが。」


「龍一さんは真っ直ぐ前を見ていますものね。

でもね、ちょっとは恋す女の気持ちにも目を向けていただけないかしら。」


「恋する女性の気持ちか。」

「そうです。

恋する女は自分が作った料理を恋する方に食べてもらい、おいしいと言ってもらうことが幸せなのです。」


「料理を食べてもらうことが幸せなのか。食べるんじゃなくて。」


「そうですよ、好きな人に自分の手で作った料理をおいしそうに食べてもらうのが幸せなのです。


それは恋する女は自分が好きな人が食べたときのおいしいという表情を思い浮かべて料理をするためです。

一杯おいしいと言ってもらえるように心を、愛情をこめて料理をするのですよ。


そうして、食べてもらって、おいしい表情とおいしいとの一言で、恋する女はその喜びだけでお腹がいっぱいになるんですよ。」


「喜びでお腹が膨れるのか。我にはまだわからんな。申し訳ないが。」


「良いのですよ。わかってもらおうとしてお話をしているわけではないのです。

ただ、私の口が勝手に、私の心を解き放っているだけなのですから。」


「口が勝手に話をしているのか、話したくなくとも。ますますわからんな。」


「良いのですよ。わからなくても、もちろんわかってもらった方が良いですが。

でもわかってしまうと、あなたの素直な心がかすんでしまう。そう、霞んでしまいます。


私はあなたの言葉はすべて真実で、決して飾りのないことを知っています。

うれしさも、哀しさも、怒りも、寂しさもあなたがその瞬間感じている素直な気持ちが口から出てきていることを知っています。


だから、最後の一杯を私に譲ってくれようとしてのはあなたの飾らない、本当のやさしさ。私にしてくれたやさしさ。

本当はそれが愛情だとすればうれしいのですが。」


「そうか、我は本当にビオラさんがお腹が空いていないかを心配していたんだがな。

ただ、我が食べた方がうれしいのなら我はそれをいただこう。


我も食べてうまいかよりもビオラさんがうれしい気持ちになってくれる方がうれしい。

我が食べるかあなたが食べるか、我にとってはビオラさんがうれしくなる方を選びたいのだ。


なんかおかしいな。

ちょっとおかしいぞ。


今までの我はずっと我がやりたいか、やりたくないか、気持ちが良いか、悪いかで我はその気持ちのままで動いてきた。


でも不思議だ、あなたと出会ってからは、我がしたいかではなく、あなたがどうしたらうれしくなるかをいつも考えている。


あなたが喜ぶからできるだけ魔力溜めに魔力を注ぐ、あなたが喜ぶからそれでもらったお金であなたと出かける、あなたが喜ぶから一緒に料理をしている。


そして今度は、その料理を食べてほしいという。

でもな、われもあなたに食べてほしいのだ。我が作った料理をあなたに喜んでほしいのだ。」


「そして、私が料理を食べたらどうしますか。」


「きっと、幸せな気持ちになるのだろうな。料理をしてよかったと。この人を幸せにできたと。

あっ、そう言うことか。ビオラさんの心がちょっとだけわかったような気がする。」


「うふふふ、私の気持ちがちょっちだけでもわかってもらえてうれしいわ。

この料理を食べてもらうよりうれしいわ。」


「今度は料理を食べるよりもうれしいことが出てきてしまったな。

う~んっ、また、悩みが増えたな。

まぁ、よいわ。

それより、この芋煮を半分こにして、我の鍋のネギをそこに入れて、一緒に食べようか。そうすればお互いに幸せになれるということだ。」


「うふふふっ、その通りですね。

私も同じものを二人で一緒に食べるのが一番幸せです。」


「やっぱり食べるのが幸せなのか。また混乱してきた。

この芋煮と米酒を食しながら、その意味をゆっくりと考えるとしようか。」


「ゆっくりと、考えてくださいね。"龍一さんと私が幸せになる方法"をね。」


「無理だ~ぁ、あの二人の間に割り込んで行って、話をするなんざぁ、俺にはできねぇぇぇぇ。」

「無理だ~ぁ、あの二人の間に割り込んで行って、料理の手ほどきを受けろなんて、リンダに言えないわぁぁぁぁぁ。」

「無理だ~ぁ、あの二人の間に割り込んで行って、付き合っているんですかなんて、インタビューできねぇにゃぁぁぁぁぁぁ。」

「・・・・・・、無理、二人だけイチャイチャしているなんて許せないから呪いをかけても、効かない・・・・・・」

「無理だ~ぁ、ヒック、あの二人の間に割り込んで行って、ヒック、どうしたら素敵な雄にゃんこを捕まえられるか、ヒック、聞くなんて、ヒック、zuuuuu・・・」

「無理だ~ぁ、あの二人の間に割り込んで行って、鍋とお玉を返してください何て僕には言えねぇぇぇぇぇ、こん」

「無理だ~ぁ、あの二人の間に割り込んで行って、もう時間も遅いので芋煮会はお開きにしますなんて、俺には言えねぇぇぇぇ、わおぉぉぉぉぉん。」


「これ以上番組が進行しませんので、本日はお開きにしたいと思います。

この後、龍一さんとビオラさんの恋に進展がございましたら、この特報の最優先事項として報告させていただきます。それではさようなら。にゃ」プツン


「Nさん、特派員の皆さん、いつもお疲れ様です。

この報道特集は当局が全力で取材を継続しております。今日はこれで終了致します。

次回の放送をお待ちください。わん」プツン


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。


この物語は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。

時間的には本編と同じ時の流れになっていますので、別伝としてお伝えすることにしました。


シュウが風の大精霊と会合した後の本編の進行に大きく影響してくる別伝ですので、本編ともどもよろしくお願い致します。



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