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25話目 シュウの謀略 甲斐性なしぃ~ズ 結成編

村長を筆頭に城壁都市に転移するための風見鶏のところまでやって来た。

人類領と繋ぐ特一風見鶏とは別な場所に設置されていた。


そこは入って来たと門とは反対側の村の門の脇のところで、立派な風見鶏が設置されていた。

風見鶏の脇には戦士と思わしきエルフの男女が立っていた。


「彼らは風見鶏の風車を回す役目と転移の出入りを監視している者たちです。

どこの町の風見鶏にもこうして監視と風見鶏を回す役目の人員を24時間体制で常駐させておくのが決まりです。」


「村長、特一風見鶏とは別の場所なんですね。」


「そうですね。

これは昔の名残で、以前は都市と言っても良いぐらい繁栄していたのですが、村に直接人類が転移してこれないような形を取っています。


特一風見鶏のある建物は転移場所と同時に転移してきた者、転移していく者の確認を兼ねていました。

悪人が転移して来る可能性もありましたので、関所のようなものですな。」


「この通常の風見鶏も以前は町の真ん中にあったのではないですか。」


「私の若いころは確かにそうでした。


どんどん町が寂れて行って、ついには特一風見鶏を守る我が一族だけが住む村になってしまいました。

でも、人類との行き来ができるようになれば少しづつでも以前の賑わいがまた戻ってくるのではないかと期待しているのですよ。


さっ、どんどん出発が遅くなってしまうのでそろそろ転移した方が良いのでは。」


「父が城塞都市で待って居ると、先ほど昼食をとる前に連絡があったのを忘れていました。」

「王太子様がお待ちなのですか。昼食前から。

もう、1時間をはるかに超えていますよ。


さっ、すぐに出発してください。ソシオ様。

パキト、アイナ、アイナ、シュウ殿たちをよろしくお願いしますよ。」


「シュウ君、行ってらっしゃい。

駄女神さんがいまだに見つからないのとカロリーナさんの肉食女子無双全開なのがものすごく不安だけど、村長とだけはちゃんと話し合って、何とか死神さんが了承してくれるような下交渉をするよ。」


「カメさん、一人だけ置いて行くようなことになって、すいません。

やっぱり、かなり危険でも越後屋さんの卒試を待って、彼女をサポート役として連れてくればよかったですね。」


「シュウ君、これ以上、交渉以外の負担を増やすマネは勘弁してくれよ。

交渉と駄女神さんの面倒、カロリーナさんの無双をやり過ごさなければならないんだ、すでに胃に3個の穴が開きそうだよ。


この上、越後屋さんの守銭奴暴走を止める役を負わされたら確実に胃が溶けてなくなっているね。


これでいいんだよ、これ以上いじらなくていいんだよ。わかってくれよ。」


カメさんが目から本気の汗をかく前に俺は村長の方を向いて話しかけた。


「胃に3個ぐらい穴が開くぐらいはデホなので、交渉の方をお願いしますね。」

「「・・・・・・・」」


「交渉の方は私に任せておけ。お互いが納得いくようなものにして見せよう。

駄女神さんと二人でな。


でも、その後はカメ、覚悟しておけ。

おっと、カメだけじゃないな、エルフの若者も駄女神さんの無双狩りがあるんだっけ。

まぁ、そっちはどうでもいいな。


とにかく、とっとと交渉を終わらせて、カメ、二人で秘密の旅行にでも行こうか。

もちろん大人の階段を上るチケット付きだぞ。」


「・・・・・・帰りたい。痛タタタタタッ。胃に穴が増えた。ハイヒールプリーズ。」


「それっ。

とりあえず治ったでしょ。


二人っきりの密会旅行かぁ。いいなぁ。

シュウ、今度行こうね。もちろん、大人の階段昇降チケット付きよ。」


「いいなぁ、お姉ちゃん私と芦高さんも連れてって。

夜は我慢して別の部屋で寝てあげるからね。」


「ソニアちゃん、部屋は隣はダメよ。

離れた部屋にしてくれればいいわ。」

「それでいいから、楽しみだね。密会旅行。」


「・・・・・・。痛タタタタタッ。胃に穴が開いた。

エリナかソニア、ハイパーヒールプリーズ。」


「精力剤を混ぜるわね。」


「エリナはいい、ソニアでお願い。」

「チンチクリンズの呪縛を混ぜるわね。そうすれば大人の階段は登れないわ。」

「幼児化しそうな危険な魔法は混ぜちゃだめよ,ソニアちゃん。

密会旅行の意味がなくなるわ。」

「俺はただのヒールがほしいんだぁぁぁぁ。」


「痴話げんかはマドリンの宿に着いてからゆっくりとしてください。

さっ、本当に行きますね。それ。」


風見殿の滑車が勢い良く回りだす。


おなじみの虹色のカーテンが俺たちを包む。

淡い光が強くなり、周りが白くなり、隣のエリナさえも俺の前から見えなくなった。


やがて、光のモヤが薄れ徐々にエリナとソニアの顔がはっきりとしてきた。


エリナちゃん、転移する前に"チェッ"と悪体ついたままの顔です。

ソニア、呪縛を混ぜたらどうなるのという期待の眼差しで俺を見るのは止めてください。

タイさん、虹色のカーテンに感動してないで、この二人を何とか止めてください。


「あっ、やっと来たな。すっごい待ったんだが。村で何かあったか。ソシオ。」


「あっ、父さん。遅くなってごめんね。

いろいろありすぎて、ここにシュウ君たちを連れて戻ってくる3時間ぐらいの間に胃に穴が4つほど空いたんだけど。」


「特製ハイヒールなら掛けてあげるね。

チンチクリンズの呪縛を混ぜたスペシャルだよ。」

「「もう、それは止めれぇぇぇぇぇ。」」

「チェッ。」


「あははははっ、なんとなくわかったよ。向こうの村の様子が。」

「いえ、父さんはまだ半分、いや、1/4ぐらいしか向こうの騒動をわかっていません。」


「もっと凄いのがあったか、魔族が人類領からシュウ君たちを追いかけてきたとか。」

「魔族の方がまだいいです。魔族があの方々の代わりだったらどれだけ、カメさんが幸福になれたか。」


「確かカメさんというのはシュウ君の仲間で、今回は外交の下交渉をするメンバーだったかと思うが。」

「そうです。

我々が村からここに転移する時点で、ストレスで胃が溶けてなくなりそうだと言っていました。」


「胃が、溶ける? ストレスで? 」

「はい。私ももう一時間ほど向うに居たら胃の1/3は溶けていたでしょう。」


「シュウ良かったな。仲間がいて。」


雷ちゃんどうしたの


「この風の巫女もカメも確実に甲斐性なしだ。」

「ということは、あれじゃな。」

「あれって何だ、おばば。」


「皆の者、ようく聞くのだぞ。あれというのは。」

"あれっていうのは何? おばちゃんさん。"

"それっていうのもあるかな? おねえちゃん。"


お約束のフレーズだぁぁぁ。

碌なことがないから、耳塞いで聞き逃そう。


「シュウ、念話の時点で無駄なのじゃ。

それではよ~く聞くのだぞ。あれっていうのはだな。"


止めろぉぉぉぉ、止めさせてぇぇぇぇ、神様ぁあぁぁ。


「甲斐性なしぃ~ズの結成ということじゃ。」

「甲斐性なしぃ~ズ?

3人だから甲斐性なしトリオでいいんじゃねぇか。」


「かび臭い雷ちゃんはわかっておらぬな。」

「かび臭くないぞ、もう、多分。甲斐性なしが移ったから。」

「その意味するところは良くわからんのじゃが。まぁいい。

更によ~く聞くのじゃぞ。」


今日はダブルできたよ。Wアタックだぁぁぁぁぁ。

人類とエルフ族の破滅の日だぁぁぁ。


「どうもこれまでの傾向を解析すると、シュウの甲斐性なしは周りの男共に伝染するようなのじゃ。」

「おばば、言っていることは凄く納得できるが、甲斐性なしトリオがダメなのと何の関係があるんだ。」


「だから、雷ちゃんは考え無しと言われるのよ。姉として恥ずかしいわ。

あっ、違うわね、ご主人様の甲斐性なしが女子変換されて考え無しとして伝染したんだわ。いやだわ、こっちに来ないでくださいまし。ご主人様。」


「ということでじゃ。

これからシュウの周りに集まってくる男共は皆甲斐性なしになるのじゃ。


3人では済まなくなるので"トリオ"ではなく"~ズ"にしておかんとその都度呼び名を変えなければならんのじゃ。

めんどいとは思わぬか。」


「確かにその通りだぜ。おばば。今回は俺が悪かった。

ここでちっと反省して来る。


しかし、シュウの志が甲斐性なしを世界に伝染させることだったとはな~ぁ。

愛人兼美人秘書でも知らなかったぜ。

シュウ、大事なことはちゃんと伝えておいてくれよな。


そうか、シュウの志が甲斐性なしを・・・・・」


納得すんじゃねぇぇぇぇ。駄リングがぁぁぁ。


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。


この物語は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。

時間的には本編と同じ時の流れになっていますので、別伝としてお伝えすることにしました。


シュウが風の大精霊と会合した後の本編の進行に大きく影響してくる別伝ですので、本編ともどもよろしくお願い致します。


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