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4話目 戦いの後

元の空間に戻ってくると、エリナより連絡があった。すごく、慌てている。


" シュウ、シュウ、返事して。

どうしちゃったの、なんで返事をくれないの。

シュウ、シュウ・・・・"


" あっ、エリナ。俺だよ。どうしたの? "


" ああああああっ。シュウ、漸く繋がった。

いくら話しかけても返事がないから、てっきり。ぐすん。

良かった。ぐすん。"


おばちゃんの空間にいたから、繋がらなかったのかな。


" そちらはどう。間に合った? "


" 間に合ったわ。館長と協力して、魔族を倒したの、みんな無事よ。"


" 良かったよ。こちらも何とか片付いたよ。魔族は今。。。。"


あっ、おばちゃんの次元空間に閉じ込めたなんて言えないよな。

それと、死にそうな目に会ったなんて、まして、エリナと離れたからなんて言ったらどんだけエリナが自分を責めるかわからないや。

ここは大人の対応として、残った魔族が意外に強く,お互いに倒しきれずに向こうが引いたことにしよう。

そうしよう。


" 残りの魔族はどうしたの? "


" 逃げられた。

向こうの指揮官がめっぽう強くて、なかなか仕留められなかった。

魔族もこちらの援軍が来ることを警戒して、睨み合いになったところで向こうが引いて逃げて行ったよ。

とりあえず危険は去ったので、追うことはしなかったよ。"


" そうね。向こうが引いてくれて良かったわ。

シュウ、ケガはない? "


" 怪我はないよ。エリナは大丈夫? "


" 私は大丈夫。急いで戻るね。

顔を直接見ないと安心できないわ。

さっきは念話が通じなくて、ぐすん、心配したんだから。

気が狂いそうだったのよ。"


" ごめんね。魔族がなんか隠ぺいの魔法でも使ったのかもね。"


しばらくすると、エリナがこちらに戻ってきた。

ものすごい勢いで。

あれは低空飛翔にスピードアップをのせ、さらに後ろから烈風で押しているな。

その割に音がしない。音が置いて行かれるほどのスビードなのか。

そんなわけはありませんでした、ただ音が出ていないだけの様です。


「シュウウウウウウウウウウウ。」


やっぱり音が置いて行かれているような。気がする。


「大好キィィィィィィィィィィィィィィィ。」


「ドカーーーーーンッ」


飛んできた勢いのままエリナに抱き付かれた。

当然、俺とエリナはそのままゴロゴロ草原を転がり、23m転がって、漸く止まった。

転がるとき、エリナをとっさにかばったため、俺は擦り傷、切り傷で血だらけだ。ゾンビ?


「シュウ、魔族との戦闘で怪我をしなかったなんて嘘じゃない。

こんなに血だらけになって。何で嘘を付いたの。


早く治療をしなければね。

今度からは怪我をしたらすぐに言うのよ。ダーリン。

それハイヒール。」


「・・・・・・・」 おばちゃん

「・・・・・・・」 うるさい指輪

「・・・・・・・」 メイド指輪

「・・・・・・・」 鞘氏


「ごめん、今度から気を付けるね。」 俺


もういいよ。エリナが無事なら。

エリナって、かなり天然さんだったんだ。


「 完璧に尻に敷かれておる。ペチャっと。」 おばちゃん

「 天然だもんな。しゃあないな。説明するとひと悶着ありそうだし。」 うるさい指輪

「 お優しいのですね、シュウ様、羨ましいですわ。」 メイド指輪

「 もうちょっと、ガツンと言われた方がいいのではないでしょうか。」 鞘氏


正解は、うるさいさんだな、俺的に。


エリナの天然さを満喫していると、武人の皆が戻ってきた。


「よかった、無事のようですね、二人とも。

すべての敵をあなた方に押し付けた形になり申し訳ありません。

ところで、魔族はどうしました。」と先生


「4体は取り逃がしました。さすが敵の大隊長は手ごわかったです。

6体は倒しました。後で魔石を回収に行かせてください。

あと、別動隊が居たようで、こちらはエリナと館長にお願いしました。」


「私は館長と途中で合流し、別動隊の魔族2体に追い付きました。

まだ、クズミチたちを襲う前でした。

そのまま戦闘になり、倒すことができました。」


「館長はどうしました。ここにはいないようですが。」


「あっ、シュウのことが気掛かりで、ここに戻ることばかり考えて・・・・、置いてきちゃいました。

うううっ。ごめんなさい。」


「おーーー一いっ。みんな無事かーーーーっ。」


館長が遠くから叫ぶ。どうやら館長も元気なようだ。


「無事でーす。」と先生。


「ひでぇじゃねぇか。

漏れてきた魔物を片付けようと潜んでいたら、突然エリナが俺の襟首をつかんで、連れ去り、別の魔族2小隊のド真ん中に俺を放り込んだんだ。


遠くから、転写魔法をかけられて、魔族と戦わされて、魔族と魔物を倒したと思ったら、俺を置いてあっと言う間もなく飛んで行って見えなくなってしまったエリナ君は鬼でしょ。

その後、走ってここまで帰ってきたんだ。

転写魔法は使ったけどな。」


館長は持って行き場のない怒りで悶えていた。


「まぁ、無事だし、魔族を2体も倒したんだから殊勲賞じゃないですか。館長。」


先生になだめられていた。


「ところで、我々の方も潜んで攻撃の機会をうかがっていたのですが、シュウと魔族の戦闘を見てたら、途中で黒い霧のようなものに包まれました。

しばらくして、霧が晴れたら、シュウだけがぼーっと立っていたのですが。

あの霧は何だったんですかね。」


「あれは敵の大隊指揮官が闇魔法使いで、闇属性フィールドで俺を囲っていたんです。

その中で、俺は何とか自分の転写属性フィールドを維持しながら、魔族と戦っていました。

お互いに決定的な攻撃をすることができずに、時間切れと考えた魔族の指揮官が引いて、どこかに行ってしまったんです。」


俺はとっさに嘘をついた。

捉えた魔族について、初めは先生に相談することも考えたが、おばちゃんのことも詳しく話さなければならなくなるので、今のところ話すのは保留にしようと思った。

しばらくおばちゃんに魔族を飼育しておいてもらおう。

エサ代は大丈夫かな。


「魔力をあの空間に漂わせておば、腹は減らんと言うとったぞ、あの魔族。

あそこにいれば特に任務もないので、久しぶりにくつろいでいる言っとった。


拘束が長いようなら畑や家づくりも始めたいので、土地と森をくれだと。

妾の空間で何をしておるのやら。面白いやつよのう。

後は拷問は嫌だから、聞きたいことには素直に答えるとも言っておったぞ。」


魔族をペットにしゃったよ、おばちゃん。

クオリティー高すぎ。


「皆無事で本当に良かった。荷物も被害を受けていないようですね。

ただ、馬がないと移動できないので、救援隊が来るまで待ちますか。


そういえば、魔石の回収をしていませんでしたね。

昼食の担当以外はシュウたちの魔石探しを手伝いますか。

館長が倒した分は基地に行く途中で回収しましょうか。」


魔石を探し、何とか全部回収することができた。

オーガ70体分は俺が命令違反をした迷惑料と魔石の捜索費用として先生に押し付けた。

もとは倒した俺たちのものであるが、俺たちのものをどう使おうと勝手だと言って、遠慮する先生にもらってもらったのだ。

俺たちは魔族の魔石を6個もらったので、それで十分すぎる。


昼を食べ終わって、のんびりしていると。


「おーーいっ。無事かーーっ。」というマリアンナさんの叫び声。


エリナは手を振りながら、


「無事よーーーーっ。そっちはーーーーーっ。」


マリアンナさんの後に、軍人が続いてやってきた。

軍は一個大隊ほどを率いてきたようだ。

隊長が早速、館長に今回の顛末を聞いていた。


「被害の状況と魔族について教えてください。」


「マリアンナ、基地に先行した者たちはどうだ? 」


「基地に向かった者たちは怪我などはありません。

無事に基地に着きました。

また、非武人と10代の武人は基地に残っています。」


「残って戦った者にも怪我人はいないが、シュウがなぜか血みどろになったようだ。

戦果はここでは魔族6体と魔物70体、別動隊として魔族2体と魔物10体を倒した。


逃げた魔族は大隊長クラス1体と中隊長か小隊長クラス3体だ。

敵別動隊以外の魔石は回収済みだ。」


「わかりました。

確かにここに来る途中で、新しい戦闘跡がありましたね。

あれが別動隊の戦闘ということですね。

もうじき、代わりの馬が来ますので、それを待って、基地に出発しましようか。」


「わかった。馬が来たらすぐに出立できるように準備しておこう。」


その後、遠征隊は馬車を連ねて、夕方には基地に到着した。


クズミチが基地の入り口で、顔をぐじゃぐじゃにして俺に抱きつ着こうとしたので、脇に跳んで逃げた。

再開はうれしいが、鼻水を付けられるのはちょっとね。


次回は報道特集です。シュウたちが基地に入ったので、軍についての概要を報告してもらいます。


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