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14話目 魔族が人類領を攻める理由 久々のペット魔族さん 編

「ソニア、いい機会だから紹介するよ。

メイドさんが管理している空間に住んでもらっているペット魔族さんだ。」


「魔族をペットにしているの?」


「う~ん。

ペットとして飼ってるわけではなくて、そう言う風に呼んでいるだけかな。

あだ名みたいなもんだ。」


「そのペット魔族さんに先ほど戦闘で傷ついた魔族の兵士を預けたの? 」


「そういうことだ。

俺は敵対する者に対しては全力でぶつかる。

しかし、抵抗する意思も力もない者に対しては俺の持つ力を使うつもりがない。」


「でも、傷が癒えて、再び戦いを挑んでくることもあると思うんだけれど。」


「今のところ、命を助けた魔族をそのまま魔族軍に帰還させるつもりはないんだ。

メイドさんの空間に魔族のコミュニティを作って、そこで傷を癒し、そのまま新しいコミュニティで生きて行ってほしいと思っているんだ。」


「みんながみんな、そんな閉ざされた空間に満足して、生を全うしてくれるのかしら。」


「今まで助けた魔族はメイドさんの空間で生活することに納得しているようなんだ。

もちろん納得できない魔族は魔族軍に返すこともできないので、別の牢獄空間に入ってもらうことにしているんだ。」


「ぺット魔族さん。

これまで、牢獄に行った魔族はいませんよね。」


「はい、シュウ殿の言う通りです。

この空間であれば、命懸けの戦闘はありませんので結構落ち着いた生活ができます。


我々魔族の兵士は常に戦うことを強要されていましたが、ここでは戦いそのものがありません。

ここの皆は自分のやりたかったことをやっていますよ。


好き勝手にしててもいいとは言っても食料などの生産は手伝ってもらいますがね。


私なんか兵士に徴兵されるまでは農夫だったので、ここでは農業をやっています。

先日もトウモロコシを収穫して、余った分はジャガイモの種イモとシュウ殿に交換してもらいました。


結局、魔族軍にいる魔族で根っからの軍人などと言う存在は珍しいのかもしれません。

兵士として徴兵される前はそれぞれが生きるために別の生業を持っていたはずですし。

軍の中級幹部でした私でさえこのような状態ですからね。」


「じゃぁ、なんで人類とかエルフ族を魔族は攻めているのかしら。

一部の軍人の言いなりになって、自らの生業を捨ててまで、数百年も戦い続けるなんて意味が分かんないわ。」


「私も詳しいことは知らないのですが、種族が生き残るために人類を攻めて、人類領を占拠する必要があると聞いています。」

「誰がそんなことを言っているの。」

「皇帝を中心とした貴族たちですね。貴族は軍の高級幹部も兼ねていますから。」


「しかし、人類領を占拠して本当に魔族の種族として生き残りが可能なのでしょうか。」

「シュウ殿、確かに種としての生き残るためにどうして人類領を占拠する必要があるかの確かなことは一般の魔族には知らされていません。

しかし、我々平民階級の魔族でも実感していることが一つあります。」


「それは何でしょうか。」

「従軍し一定期間人類領に駐留した魔族が帰還して結婚し、子を生すと、その子の寿命が延びるということです。」

「つまり親魔族が人類領域で一定期間過ごすとその子の寿命が延びるというのですか。」


「はい、それとその子の魔力も強くなります。


わかり易いように寿命の方で話をしますね。


元々魔族の寿命は200~300年といわれています。

それが1000年前には100~200年とかなり短くなっていたようです。

その後、人類と戦い、人類領を占拠する様になると150~250年と伸びてきました。」


「もとにまでは戻らないということですか。」

「いえいえ、戻っています。」

「えっ、もともとの寿命より50年も短くなっていますが。」

「エリナさん、そこにはある前提があるのですよ。」

「前提ですか。」


「はい、人類領に従軍し、10年以上人類領で軍役を務めるた後に結婚し、子を生すとその子の寿命は200~300年。


両親のいずれかが10年以上人類領で軍役を務めるた場合は120~220年です。


両親ともその10年の従軍条件を満たさない場合は70~100年と1000年前よりも確実に短くなっています。


現在の魔族では、10年の人類領での従軍を終えない者同士が婚姻することは極めて困難です。


その様なわけで、どんなに身分の高い貴族でも必ず人類領に従軍します。皇帝家もです。」


「えっ、そんなことになっているんですか、魔族では。」

「人類ではそのようなことは起こっていませんか。」

「人の寿命はそこまで長くないので、特に短くなったという話は聞いていませんね。」


"しかし、ノームちゃんも、アクアちゃんもそんな話はしていなかった。"


知らなかったとか。


"あるいはこの事実を知ることも輪廻の会合に集いし者どもの試練なのかも知れないわね。"

"基本、輪廻の会合に必要な情報は自分の足で探せというのが大精霊の考え方みたいだしね。"


じゃ、この事実を俺たちが今日知ったということは輪廻の会合に一歩近づいたということになるのかな。


"多分そうだわ。"


エルフ族以上に魔族の種としての滅亡は近づいていたのか。

種として寿命が短くなるのはあり得るかもしれないが、それが人類領で従軍するだけで子の寿命が延びるのが不思議だな。


んっ、何か引っかかる。

白い魔石の意味は何だ。

魔族が生まれるために必要だという魔石。

その魔石は魔族が生まれるときに必要だという。

それに魔石には大小があり、大きい方がより好まれると言っていたな。


「ところで、白い魔石と魔族の寿命の関係は何かありますか。

より大きい方が好まれると聞きましたが。」


「うっ、それは。」

「何か隠してますね。」

「はぁぁぁ、仕方ありません。これは知られたくなかったのですが。」


「何でしょうか、話せるなら話してください。駄目ならそう言ってください。

駄目と言われても、特に尋問するつもりはありませんので。」


「説明としては全くウソをついているわけではないのですか。

お話したことを一部訂正します。

あまりに魔族の生態に偏った話になりますので、先ほどの話の方が受け入れやすいかなと思いましたのでそのように話しました。」


「できれば正確に話をしてほしいのですが。

後からもっと信じ難い話が出てきたときに混乱が大きくなりますので。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。


この物語は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。

時間的には本編と同じ時の流れになっていますので、別伝としてお伝えすることにしました。


シュウが風の大精霊と会合した後の本編の進行に大きく影響してくる別伝ですので、本編ともどもよろしくお願い致します。


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