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9話目 教会本山の転移魔方陣施設はトラウマです

次の日に、目覚めてみると体が少し重い。

緊張しているせいか。


今日か明日には魔族との戦闘が予想される。

1個師団、もしくはそれ以上の軍団との命のやり取りをしなければならないはずだ。


これまでの戦闘では命の炎を引き続き燃やすことができたが、今回はわからない。

相手は俺たち旅団が近くにいるにも関わらず、敢えて戦闘を選んだ魔族軍だ。

その自信は何か秘策があるのかもしれない。

例えば、何か人類が経験したことのないような攻撃手段を持っているとか。


そういうのがなくても戦闘に入れば確実に生き残る保証はどこにもない。


楽しい時間は終わったのだ。

これからは、生き残りをかけた戦いだ。

それでも何としてでも生き残りたい。

風の大精霊にもまだ会っていないし、俺の志も遂げていない。


そのような緊張感が俺の眠りを浅いものにしたのかもしれない。


俺たちは朝食後に基地の社の前に集合した。

今日も黒い物体を引きずった死神さんが登場。

そして、第23基地へ移動する前に訓示が始まった。


「皆、おはよう。

悪いけど、第23基地に行って、第2軍団のボンクラ共に旅団の力を見せつけてきて頂戴な。


無事、我が旅団にケンカを売ってきた魔族軍を蹴散らしたら、その日を起点に、6週間の休暇と特別ボーナスを支給します。

だから頑張ってね。


私は私用で、申し訳ないけど、この黒い塊の生まれ故郷を征服に(多分、ご挨拶のことか?)行くことを以前から決めていたので、旅団には同行できないわ。


ごめんね。


こいつも一緒だから、第1小隊は今回みんなと一緒にはいけないわ。」


「私も第23基地に行きたい。誰か救い出して。」ボソ


黒い塊がしゃべった。


バゴッ


マジでグーで殴ったよ。


「食事も全部食べられないほと衰弱しているに戦闘は無理だわ、ダーリン。

ここはおとなしく故郷で静養しましょう。」


あの食事を全部食べろってか。俺は例の生き血で無理だ。

あっ、エリナちゃん、死神さんに同意して頷くのは止めて。

俺も例のブツを飲み干すまではエルフ領に転移させないとか言い出しそうだから。


「そういうわけで、今回の遠征は第2小隊と第3小隊+カメさん、タイさんコンビで戦ってもらうわ。

旅団の代表者は駄女神さんでお願い。」


「うっし、とっとと終わらせてエルフ男若衆狩りに行くぞうぅぅ。

てめぇら、10分で敵を殲滅しろよ。」


うぁぁぁ、最凶の人選だ。

エルフ男若衆狩りのためだったら、俺と芦高さんを魔族師団にまっぱで特攻させることをいとわないからな駄女神は。

まぁ、芦高さんは普段から服は着てないけどな。


「それじゃ、皆、お願いね。」

「おぉぉっ、まかせておけ。てめえはちゃんと向こうのご両親に挨拶しろよ。」

「大丈夫よ、私にはこれとあれが付いてるから。」


あれは旦那だとわかったが、これは大鎌だよな。

やっぱ、挨拶じゃなくて征服に行くんだな。


旦那、頑張れ、故郷の危機だ。

無駄だとは思うが、一応頑張れ。


そうだ、例のブツをすすって、力と度胸を付けるんだ。

そうしたら、10分ぐらいは故郷の延命がなるかもしれないぞ。


と、さんざん不安を煽るような出発前の訓示になってしまった。


俺たちは基地の普通の転移魔法陣で教会本山の転移魔法陣施設に一度転移した。


ここも久しぶりだな。

例のエリナが俺のために激怒した以来だから、1ヶ月以上前だな。

それ以上に寮の自分の部屋に帰っていないや。

まだ、部屋があるかなぁ。


「部屋はとっくになくなっているよ。

荷物は寮の管理人さんに倉庫で預かってもらっているよ。

僕が3月に正式に旅団に入団し、寮から基地の宿舎に荷物を移動するときに一緒に送ってもらえるように手配はしておくから。

荷物らしい荷物もないようだし、ついでだから気にしなくていいよ。」


えっ、カメさん、俺もう寮に帰れないの?


「私もそうよ。

私の寮の荷物はお母様が片付けて、必要なものだけを基地の宿舎に送ってもらったわ。

残りはすべてもう実家に送ったと言っていたわ。


次は基地の宿舎の新婚用3LDKに引越しする算段をしないとね、シュウ。」


ええっと、職校の単位を取り終わるまでは別部屋と真の大魔王様のお達しがありましたよね。


「お母様はどうとでもなるわ。

だから、いつでも新婚♡部屋に移れるわよ。

3月、いえ、1月にしましょう。

いいわよね、シュウ。」


え~と、その話は後日に、真の大魔王様の許可をもらった後にしましょう。

真の大魔王様の逆鱗に触れたら俺なんて一瞬で消し飛びますから、社会的に。


ただでさえ、土の神殿を除いて、教会本山に足を踏み入れるのに勇気を総動員する必要があるのに、これ以上人類からハブられるようならマジでエルフ領に引っ越しますぜ。


あっ、それ、良いかも。


たかが、教会本山に立ち寄るぐらいで、なんでビビらなきゃなんないんだ。

取り敢えず第23基地にとっとと行きましよう、そうしましょう。


俺、ビビリだからすぐ行きましよう。

子供に後ろ指をさされて、あの人記憶玉のお兄ちゃんだ、甲斐性なしがうつる、あっち行って、しっ、しっ、なんて言われたら立ち直れんぞ。


さっ、さっ、転移魔法陣の魔力溜めを一杯にしましたからとっととここを引き払いましょうよ。


えっ、誰も第23基地の座標を知らない・・・・・・。

駄女神、お前が今は指揮官だろ、何とかしろよ。

俺は一刻、一瞬でも早く、ここから逃げてぇんだよ。

早くわかるやつ連れて来いよ。一緒に第23基地に拉致しようぜ。


「シュウ、何を焦っておるのじゃ。見つかるときは見つかるし、見つからないときは見つからないもんで、少しは落ち着くのじゃ。」


でも、また後ろ指をさされたらどうしよう。


"大丈夫よ。芦高さんの腹の下に隠れていれば。

誰も気づかないわ。


それに今、ここの施設長を駄女神さんが呼びに行っているわ。

彼なら確実に座標を知っているでしょうからね。

それとも私が胸にシュウの頭を抱きかかえて、顔を隠してあげましょうか。"


あっ、それいいなぁ。それいいかもね


"それじゃさっそく。"


「施設長を連れてきたぜ。早く転移してくれ。

一刻でも、一瞬でも早く第23基地に行き、魔族をぶっ倒して、エルフ領にエルフ男若衆狩りに行こうぜ。」


"ちっ、もう少しでシュウを落とせたのに。"


「落とすどころか、完全に尻に敷いていると思うのじゃがな。」


一瞬、淡く光ったと思ったら、そこは見知らぬ社の転移魔法陣の上でした。


ふぅぅぅぅ、誰かに見つかる前に、転移できて良かったよ。


「あっ、今転移してきたのは、第108旅団のシュウ君だよ。」

「えっ、例の記憶玉のか。」


第23基地でも有名な俺でした。


そりゃそうか、第2軍団には第1081基地創設以来ずっとお世話になりっぱなしです。

親しい方もいますです。


「記憶玉なんてちっちゃいこと言ってんじゃないわよ。

彼は半世紀ぶりに人類領を回復した人よ。


あんたなんか、魔物3体倒すのがやっとじゃない。

彼の小隊は既に魔族を数個師団壊滅させているわよ。


この間なんて、第12師団が包囲された時も魔族3個師団をすべて壊滅させたんだからね。あなたも彼に助けられたでしょ。

魔族のブラックリストのランク1位に載っているわね、きっと。」


俺は魔族の間でも有名人か。

あと、殲滅したのは包囲していた魔族2個師団で、残りの1個師団は第1084基地にいたやつね。12魔将が率いてたやつ。

いちいち説明するといやらしい奴と思われそうなので黙って、頭を下げる程度にしておきますが。


「「おおっ、やっと来たな。また会えて、うれしいぞ。」」


突然熊が2匹、抱き着いてきた。

俺の熊の知り合いは1匹だぁぁぁぁ。


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。



10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を投稿する予定です。


この物語は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。

時間的には本編と同じ時の流れになっていますので、別伝としてお伝えすることにしました。

シュウが風の大精霊と会合した後の本編の進行に大きく影響してくる別伝ですので、本編ともどもよろしくお願い致します。


一応、本編を読でいなくてもひとつの物語としては成立しているようなしていないような。

この別伝を読んでいただき、面白いと思ったら本編もどうぞ的なものに仕上がればいいなぁと思ってたりしてます。


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