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2話目 シュウの危機におばちゃん、立った

"シュウの予感が当たってしまったわ。別動隊がいたの。

魔族2体、オーガ10体よ。脱出した遠征隊を追っているわ。

遠征隊の一番後ろはマリアンナ。2人で乗っているし、出発がちょっと遅れたためかな。

ここから3km。敵から1km、3分で追いつかれそう。"


"くそう。基地まではまだまだあるな。グズミチ・・・・・。

エリナ、転写魔法はどのくらい持つ? "


"一番早く切れるアイスランスで30分ぐらいかしら。"


"よし、聞いてくれ。俺たちも二手に分かれよう。

俺はこのまま敵本体を足止めし、敵をでだけ削る。


エリナは途中で館長を拾って、館長と風魔法で敵別動隊を追い、殲滅してくれ。

館長は元聖戦士だから、エリナとの転写魔法の相性がどの程度がわからないが、魔族2体は倒せるだろう。

頼む、クズミチを救ってくれ。"


"わかったわ。シュウも無理をして魔族を倒そうとしないでね。

足止めしておいてくれれば別動隊を倒して、わたしが急いで帰ってくるわ。

そしたらまた支援するから、一緒に倒しましょう。絶対に無茶しないでね。"


"わかった。時間が惜しい。エリナ、クズミチを頼む。"


エリナは探索で見つけた館長の方に風魔法の低空飛翔にスピードアップを付けて。飛んで行った。


さて、俺は中間にいる敵3小隊をまずは削りますか。

おれの転写属性フィールドを強化し、敵の属性フィールドを侵食。

烈風でアイスアローを同時大量連射。これで敵のオーガを殲滅。

魔族には弾かれてしまったが、先ほどと同じように接近しながら大量のアイスランスを生成。

発射???


なんだ、急速に俺の転写属性フィールドが縮小していく。

そして、黒い煙のようなものが急速に俺の方に接近してきた。

俺は烈風でこの煙を吹き飛ばそうとしたが、それ以上に俺の転写属性フィールドの縮小が速い。


遂には俺がこの煙で囲まれてしまった。

なんだこの煙は?


あっ。転写魔法が消えている。

消えているというより、何か上書きされてしまったようだ。

なんだ、この魔法は。


「お若いと舐めていましたが、あなたはなかなかの戦術家ですね。

上級の聖戦士ですか?


でも、あなたの支援をしていた魔法術士が居なくなったのが運の尽きでしたね。

私が闇属性フィールドであなたのフィールドをすべて上書きしてしまいました。

その上、転写魔法を闇の上書き魔法ですべて消し去りました。」


「後はどうなるかわかりますよね。

闇のフィールドに覆われ、転写魔法をなくしたあなた。

あとは手持ちの剣と盾で戦わなければなりませんよ。


でもね、私のところまでたどり着ければの話ですよ、攻撃できるのは。

ふははははっ。いいですね、人間の絶望したその顔。

それが見たくて、戦いに参加しているのですよ。私は。」



くっそうーっ。闇属性魔法だと。

あの大隊指揮官か。

まずい、前にいる魔族が闇属性フィールドを消滅させ炎属性フィールドを展開している。

炎系の魔法を発動するつもりだ。

しかし、俺にはもう転写魔法がない。

炎魔法の直撃を避けることができない。


うかつだった。エリナごめん。約束を守れそうにないや。

もう一緒に居られないみたいだ。


俺は魔族がファイヤーアローを数十本、俺をいたぶるのを楽しむようにゆっくりと空中に生成していくのを他人事のように見ていた。


「はははっ。いいですね。その絶望に満ちた顔。

そして、己の死を悟った顔。愛するものと二度と会えないことを後悔する顔。

これを眺めるのが、魔族の娯楽というものですよ。

ゆっくりと逝ってもらいましょうか。


まずは足からかな。ファイヤーアローをあの人間の足に突き刺しなさい。」


くそーっ。なぶり殺すつもりか。


「エリナーーーーーー。」


「仕方のないやつよの。

シュウよ。妾をダンより預かるとき何と言われたのじゃ。

しっかりせい。」


「おばちゃんを、抜け。」


「おばちゃんじゃないわ。吹雪、つまり妾を抜けじゃ。」


「この状態でおばちゃんを抜いても、属性フィールドも支配されているし。

おばちゃんを前に掲げて、特攻、玉砕しろってか。」


「この色ボケ坊主めが、全く分かっておらんのう。」


「死に際に一人で漫才ですか。恐怖で気が狂いましたか。」


「シュウ早く抜け、そして、妾を構えよ。

後は妾が何とかしてやる。」

「シュウ殿、早く。お嬢様が何とかしてくれます。」


「わかった。」


俺は持っていた盾とロングソードを投げ捨て、背中の吹雪を抜き、前に構える。

そして、魔力を注げるだけ吹雪に注いだ。


「待たせたのう。魔族よ。

妾の声が聞こえるかえ。」


「なんか、女性の声がしますね。

あなたが抜いた大剣から異様な魔力を感じます。

いったい何者ものですか。」


「妾の声が聞こえるようじゃな。聞こえるということは、ふふふっ、魔族よ何か感じないかえ。」


「あっ。私の闇属性フィールドが、そして、部下の炎属性フィールドが消えて、いや、この空間自体が何かが違う。」


「漸く、気が付いたかえ。

ここはお前たちの存在していた空間ではない。

妾のディメンジョン・フィールドじゃ。」


「お前の次元空間だと。そんなばかな。」


「妾のフィールドに入ったからには、妾の意思がすべてを支配するのじゃ。

魔法も属性フィールドも物理攻撃もな。」


「そんな馬鹿な。いや、私の闇属性フィールドが、魔法が発動しない。

いったい貴様は・・・・。

喋る大剣、独自の次元空間、まさか、古の。

そんなはずはない。」


「なんや一人で悶え悩んでいるのも可哀そうよのう。

シュウにも本来の妾のことを話さねばならぬでのう。

しょうがないのう。妾のことを教えてやろうかのう。」


「いいから早くしろよ。ボケ婆はくどくてやってらんねぇぜ。」


「かび臭い奴は黙っておれ。」


「それでは、おほんっ。」


「妾は水の大精霊アクアの使徒、吹雪じゃ。

主命により、シュウを助けようぞ。」

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