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6話目 家族の愛情の味

エルフ領に再度向かう当たって、最大の難関と思っていた死神さんの了承があっさり得られた。


お土産が付いていたが。


そのことをカメさん、そしてタイさんに告げて、明日、8:30に社の通常の転移魔法陣の前に集合することにした。当然戦闘準備をしてだ。


さらに、駄女神さんにも同じことを話に行ったら、エルフ領に行くためだったら何でもすると俺の手を握り詰めて、強いまなざしで言われてしまった。


まぁ、戦うのはシュウ君でしょ。頑張ってねと言い放ちましたが。怒


あんたも第2小隊の隊長なんだから当然最前線でドンパチでしょと言ったら、そんなことは聞いていないとの開き直り。

私は付き添いの、保護者枠だと。


ちぇっ、わかったよ。

今晩の夕食はエルフの村長家にお邪魔しようと思っていて、俺たちとそれに紹介も兼ねてカメさんとタイさんだけで行こうっと。

駄女神さんはお留守番ねと言ったら、保護者なしでエルフ領に行ってはいけませんと開き直ったよ。


エルフ領で今日の夕食を取るのは明日からの戦闘への力を付けるためで、戦わない人はいらないよねと言ったら、何を言っているの指揮官が前線に立たずしてどうすると手のひらを返したよ。


保護者枠から指揮官枠への突然の変貌。


それじゃ、明日は8:30に社の前に集合と言ったら、その前に集まるところがあったでしょっと切り返しやがった。


しょうがなく、今日は人類側の料理も持ち込むので、その調理するために午後4時に旅団の宿舎の調理場に集合と言ったら、私に調理を任せていいの、マジで良いの、やれと言われればやるけどさぁ、と真顔で言われたので、そっと、午後5時15分前に社の前に集合と訂正した。


駄女神さんの壊滅的な料理センスを十分考慮した俺はナイス判断。


そんな伝言ゲームや明日の戦闘の準備をしていたらもう昼になってしまったぜ。


キャンプ飯を3人で食べて、当然、スッポンの生き血は拒絶したさ。

エリナちゃんそんなものどっから拾ってきたの。

死神さんも変なものを渡さないで、食べるのは俺なんですから。


「さぁ、今日の午後はどうしようか。準備は終わっちゃったしね。」

「お兄ちゃん、ノームちゃんのところに行こ。

エルフ領でのことをきちんと報告しないとね。」


「そっかぁ、忘れてたよ。

ちゃんと報告して、これまで家族として守ってくれたお礼を言わないとね。」

「そうね、今は私たちも家族になったけど、この190年間もずっと大事に守り育ててくれたのはノーム様とアクア様だものね。」


俺たちは食堂から社に話をしながら向かうことにした。


「大事な家族という割には、祝福の他に呪いが掛かっていたけどな。」

「うふふふっ、そうだよ。

でも、そのおかけで年を取らなくなったんだけど。


呪いの部分が解けたのでこれからは年を取っていくと思うの。

お兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒に。

大事な家族と一緒に年を重ねて、最後は、自然に帰っていく。


漸く、人としての輪廻を歩み始めたということね。」


「ソニアの場合もその歩みが輪廻の会合に続く道か。

ソニアはチンチクリンズと運命の会合を果たし、そしてまた、俺とエリナと運命の会合を果たした。


この縁を大事にして、輪廻の会合を果たそう。

そして、滅びに向かって進んでいる人類、エルフ族、そして魔族もみんな救いたいと俺は思う。」


「そうねぇ、ソニアちゃんがお父様とお母様の死を乗り越えて、力と使命に覚醒したように、私も精進して光の公女となり、そして、輪廻の会合を果たし、それを成功に導きたいと思うわ。」


「私も、新たな家族得て、そして新たに得た力によって使命を果たすため、二人の、お兄ちゃんとお姉ちゃんの力になりたいと思うの。」


「二人ともおぼえているかなぁ。今回のエルフ領の旅で村長から言われた、いや、贈られた言葉。」

「なんだっけ。いろいろあったから。」

「一期一会。」

「そういえば、そんなことを言われたような。」


「出会いを大事に、大事な人と出会う機会を失わないように。

懸命に今できることを今やらなければならないことをやる。


それを続けることで運命はまわり、運命の会合を果たす。

そうして、輪廻もまわり、輪廻の会合を果たす。

最後に、俺の、俺たちの志を達成させる。」


「志の達成。私たちの志は全種族の救済。

できるかわからないけれど、やらなければ滅びが待つだけ。

だから、滅びの宿命に対してあがき続ける。」


「今できることは、ノームちゃんにエルフ領での出来事を報告すること。

そうすることで、新たな道が開けるかもしれないわね。」


「じゃっ、秘密の祠を作動させて、ノーム様の神殿に行こう。

風の使徒に覚醒したソニアもきっと転移できるようになったと思うし。」


「じゃ行くわね。」


エリナの声と同時に淡い光に覆われ。光が去るとそこは見慣れた土の神殿だった。


そこには、ノーム様と、今日はアクア様がいて、いつもの口喧嘩をしていた。


「ノームちゃん、アクアちゃん、今度は何についてもめているの? 」


「聞いてほしいのじゃ、ソニアちゃん。


ソニアちゃんがエルフ領から戻って来たからきっと遊びに来ると思ってじゃな、例のケーキ屋さんのクッキーを買ってきてもらったのじゃ、こ・い・つに。」


「アクアちゃんにクッキーを・・・・、無謀なお願いをしたんだね。」


「だろっ、俺も言ったんだ。クッキーは止めろって。

どうなるかは火を見るよりも明らかだって言ったったんだ。

でも、どうしても買って来いとチンチクリン×2が言うもんだから仕方なく買って来たんだ。」


「しけっちゃってたんだろ。」


「そうなんだよ。だからやめろって言ったのによ。

それをこいつが役立たずみたいなことを言うから。

おれだって、ソニアちゃんには大好きなクッキーを食べてほしいけどよ。

俺が買ったらこうなるのはわかっているだろうが。

アホ、チンチクリン×2め。」


「儂だって、クッキーがしけっちゃったことについては何も言っていないのじゃ。

チンチクリンが勝手にふてくされて、こうなったのはすべて儂が悪いようなことをチンチクリンが言い始めるから、こうなったのじゃ。

だから、チンチクリンが全部悪いのじゃ。」


「また、そんなことで喧嘩してたの。もう、いい加減にしなさい。

私は今ここにいる時間があまりないの。4時には基地に戻らなければならないの。

ケンカの仲裁でここに居られる貴重な時間が無くなっちゃうじゃない。

もう、ケンカは止めてね。」

「でもじゃ。」「でもよぉ。」


「チンチクリン3姉妹の掟は何に。」

「「背の高い人の言うことを聞くです。」」


「私の背はノームちゃんとアクアちゃんより低い? 」

「「高いです。」」


「それではどうするんですか? 」

「「ケンカは御仕舞にします。」」


「よろしい。うふふふふっ。」

「ソニアちゃん、どうしたのじゃ。突然笑って。」

「背が高いからか? 」


「うふふふふっ、二人とも私のために、私の大好きのものを用意してくれようとしたんだって。

ありがとう。多少しけっていても私の新たな魔法、乾風で乾かせばおいしく食べられるはずでしょ。」


「乾いたとしても、味は戻らんと思うのじゃが。」

「戻らないでしょうね。」

「やっぱりな。ごめんな、ソニアちゃん。」


「違うのよ。味は戻らないけど、私への深愛の思いが加わって、さらにおいしいお菓子になったと思うわ。私にとってはこのクッキーはご馳走なの。


ありがとう。アクアちゃん、ノームちゃん。

美味しくいただくわ。家族の愛情を。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。



10/5より、「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を投稿する予定です。


この物語は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

死神さんと旧ランク8位が結婚式のために故郷に帰ったときの物語です。

時間的には本編と同じ時の流れになっていますので、別伝としてお伝えすることにしました。

シュウが風の大精霊と会合した後の本編の進行に大きく影響してくる別伝ですので、本編ともどもよろしくお願い致します。


一応、本編を読でいなくてもひとつの物語としては成立しているようなしていないような。

この別伝を読んでいただき、面白いと思ったら本編もどうぞ的なものに仕上がればいいなぁと思ってたりしてます。



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