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3話目 あんたが何でここにいるの

辺りはすっかり日が暮れて、空は真っ暗だった。

建物から漏れる明かりで漸くお互いの顔が確認できる程度の明るさはあった。


ブル。寒い。

エルフ領は初夏のような暖かい陽気だったが、ここ第1083基地は冬の冷気で満たされ空間で、体の芯を刺すような冷気を感じた。


ブル。エリナが俺に抱き着く。

「寒~い、ギュッ。てへへへ。」

「ずる~い、お姉ちゃんばっかり。私もギュッ。てへへへ。」


二人とも顔が赤いです。

それはここの冷気に当たったのではないでしょう。

なんか俺も熱いです。

特に顔が。


エリナ、また育ったでしょ。あの二つのふくらみが。

むぎゅっとつぶれています。


「チェッ、おいシュウ。早く準備を済まして、エルフ領に戻ろうぜ。

おれもエルフ男若衆にギュッ、てへへへをすんだからよぅ。」


早く戻ってもいいけど、エルフ男若衆たちが村に戻っているとは限りませんよ。

必死に逃げ出しましたから、もう村には戻ってこないかもしれませんね。

その時はカロリーナさんと傷をなめ合っていればいいですか。傷に酒を塗り付けて。


なんか、エロイな。エルフでもトップクラスの残念美女と人類のグラマラスな残念美女の絡み。

遠くから見ている分にはいいけど、直接は絡みたくないな。

なんせ残念美女ズだからな。


「シュウ、てめぇ、なんか変なことを考えてただろ。

俺を残念なものを見るような目で見るな。」


しまった、目に出てしまっていたか。


"お兄ちゃんは私とお姉ちゃんのムギュッを堪能していればいいの。

家族の温もりをね。"


社の前でそんなムギュと残念なやり取りをしていたら、目の前の空間が切り裂かれた。


「お帰りなさい。不思議な転移魔方陣で飛ばされた先はどうだった。」


あっ、死神さんだ基地に帰ってたんだ。

もう、二度と第2軍団の司令部から離れないと思ったのに。


んっ、ところで引きずっている黒い物体は何ですか。

何か狩りの途中だったのでしょうか。


"あれは人、男の人のような。"


「あっ、これ。私のダーリン。」

「えっ、誰を拉致してきたんですか。旅団の人じゃないですよね。」

「決まっているじゃない、リストランク今じゃ不動の1位のジュラちゃんよ。」


「ジュラちゃん? って、誰。ソニア知ってる? 」

「お兄ちゃん、例のあれよ。今までは8位だった。」ボソ


「えっ、彼って、第2軍団の事務総長兼参謀長よねぇ。

大丈夫なの、拉致っちゃって。

まぁ、旅団にとっては別にどうでもいいけど、第2軍団はパニックじゃないの。」ボソ


「まぁ、例の取り決め書で各軍団は人的、物質的に我々の旅団を最大限補助しなければならないとあるから、例え軍団長だとしても拉致して引き抜くことは可能だな。」ボソ

「第2軍団、大丈夫か?」ボソ


「みんなでボソボソとやな感じねぇ。」

「・・・・たすけてくれぇぇぇ・・・・」

「お前もボソボソ言うんじゃないの。」

バシッ。


しばかれたよ。軍団の事務総長兼参謀長がが。


「死神さん、その黒い物体はどうしたんですか。」

「だ・か・ら私のダンナだって。」


「どう見ても拉致して、拷問している状況に見えるのですが。

今北産業でなく詳細をおね。」

「そんなに聞きたい?」


「「「「いえ、やっぱりやめときます。」」」」

「良いから聞きなさい。」

「「「「聞くのか~ぁ」」」」

言いたいんだ。


「どうでもいいので、助けてください。」

バシッ

「あなたは黙ってなさい。返事は?」

「イエス・マム。」


「よろしい。実はねぇ、うふふふっ、ほんとに聞きたい?」

「「「「ぜんぜん、早く帰りたい。」」」」

「良いから聞きなさい。」


あっ、リンダさんだ。あの×は何だ。

死神さんを指差して、からの、×。

"逆らうな、と言うことじゃない。"


"その上首スパッの合図。"

死神さんに逆らうと首が飛ぶぞだ。


"ここはおとなしく、聞くだけだから、害はないはず。"

"お兄ちゃん、怖いよう。ブルブル。"


"大丈夫だ、ソニア。

風の使徒として覚醒してその使命を帯びたお前は、覚醒してもまだ使命に目覚めない死神さんよりも100倍は強い・・・・、はず。多分。"


"多分が外れたら首チョンだよ、メソ。"

"大丈夫だ。こちらには世界最強の芦高さんがいる。"

「任せるんだな。」

"芦高ちゃん、お願いね。"


「だ・か・らぁぁぁ、何をコソコソしてるかなぁ、君たち。イラ、怒。」

バシッ


あっ、芦高さんに弾き飛ばされて

ドォォォォンッ、バキッ

大木にぶつかって、大木が負けた。

あっ、死神さんが血だらけだ。

あっ、すぐに復活。

「芦高ちゃん、暴力反対ですわ。」


「「「「「「お前が言うな」」」」」」


「で、ジュラさんはどうしたんですか。」

「旦那を拉致るのは妻の仕事よ。」


「えっ、そうなの、エリナ!!」

「う~ん、そうなの? まぁ、私もシュウを拉致るけどね。」

「そうかぁ、旦那は拉致るのが常識かぁぁ。

俺もあエルフ男若衆をデヘヘヘヘッ。」


また、余計な奴に余計な知恵を。


「私が旦那を第2軍団から引き抜いて(正確には拉致したともいう)、第108旅団の事務総長兼第1小隊隊長に任命したのよ。

ちなみに、駄女神さんは第2小隊長に変更ね。」


「第2小隊長の熊師匠はまさか、第2小隊のペット枠に? 」

「熊さんは第2軍団へ追払ったわ。漸くこれで人間だけの編成にできたわ。

私って、えらい? 」

「えっ、熊師匠が第2軍団のペットに? 」


「さすがに事務総長兼参謀長を拉致したら、第2軍団長が補充をと泣いた上に縋りつくもんだから、鬱陶しいことこの上ないので、熊師匠を押し付けたの。丁度良かったわ。


だって、この頃妄言を言い始めちゃって、エルフに会っただの、エルフの姉ちゃんはきれいだっただの、エルフのはちみつ酒は絶品だっただの。


先週から変なのよねぇ。エルフ妄想シンドロームていうのかしら。

エルフに取りつかれたヨッパライ熊なんて旅団に必要かないから追っ払ったの。

丁度よかったわ、引き取り手がいて。」


かっ、かわいそうと不覚にも熊さんに、熊元師匠に、同情してしまった。

まっ、また、エルフ領に連れてけとうるさく言われても困るので丁度いいや。

第1083基地に出入り禁止の通達を出しとけば、魔法が使えない熊さんと一緒にここに転移して来るやつもいないだろうし。


"お兄ちゃん、こういうのを熊元師匠チ~ンッて言うんだよね。"


まぁな。

いずれにせよソニアも聖戦士の補助なんていらない、逆に邪魔になるほどに強化されたから丁度いいんじゃない。


"でも、駄女神さんと組むなんて熊元師匠以上に不幸のような気がする。"


やつは別行動だろ、これからずっと。

あの村から離れんと思うぞ。

エルフ男若衆を拉致ると張り切っているから。


"じゃ、基本別行動だから安心だね。"


「あのぉぉぉぉ、シュウ君、お願いです助けてください。」


あっ、今最も幸福な妻を持つ、この世で一番不幸な旦那がしゃべったよ。


"ソニアちゃん見ちゃいけません。不幸が移ります。"

"不幸って移るの? "


うつるんじゃねぇ。


"じぁ、話を聞くなんて論外だよね。"

"だわね。疲れたから、部屋に戻って明日からの準備をどうするか話をしましょうか。"

""異議な~し。""


俺たちは何か嬉しそうに話をしている駄女神さんと死神さん、そして、この世で最も不幸な男を残して久しぶりの高級官舎に入って行った。


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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