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36話目 残されたもの 目覚めしもの 編

"私は愛されていたんだ。

捨てられたわけでも、見捨てられたわけでもなかったんだ。

何だろう、この気持ち。

心の中が、そして体の中も、暖かいもので満たされていく。


愛されているという実感。

その愛で私は満たされた。

お母様、私は大丈夫。お母様とお父様の愛情を受け取ったわ。"


"そっと、目を開く。

お兄ちゃんとお姉ちゃんが心配そうに私を見ている。

大丈夫だよ。

何ともないよ。


そうでもないかな、お母様とお父様の深愛で満たされた私は宙に浮いたような高揚感でちょっと危険かも。


力が湧いてくる、魔力が満たされる。


風をおこしたい、思いっきり暴れる風を。歓喜で荒れ狂った風を。

春を呼ぶ、春一番のように。"


"プチン、プチン。

何かが私の中で切れた。

あっ、ノームちゃんと、アクアちゃんの呪縛。"


"ガチャン。

あっ、何かが私の中に入り込んだ。何だろう。

もっと力が湧いてきた。


不思議な呪縛、いえ違うわ、呪われている感じがしないもの。

これは私の新たな力?

なんかお姉ちゃんがはめてくれた指輪が私に何かを届けてくれたような感じがしたわ。"


"目覚めましたね。風の使徒よ。"


"あなたは誰ですか。お母様の魂と同じくらい暖かい風と力をを感じます。"


"私は風の大精霊の片割れ、シルフィード。"


"えっ、風の大精霊様。"


"そう、あなたは私の風の力を使う者。

その力はあなたが指にはめている指輪、風神より受け取りなさい。

そして、あなたの役目を果たしなさい。 "


"私の役目?"


"そうです。あなたの心から溢れ出ている家族への深愛に問いかけなさい。

そうすれば、わかります。"


"私の心、お母様とお父様からもらった家族の愛、家族の深愛。


あっ、わかった。

光の公女であるお姉ちゃんのお仕事のお手伝いと、輪廻に集いし者どもの中心にいる者であるお兄ちゃんの力になることだわ。"


"そうです。良くできました。

今のあなたの家族のために今日得た力を使うのですよ。"


"わかりました。

私は家族の一員としての役目を果たします。

私は風の使徒として、輪廻の会合に集いし者どもの一人としての役割を果たします。


あっ、そう言えば風魔法が使えるようになったわ。

風と土、お父様とお母様の深愛の力で光の公女以外が取得することが不可能と言われたこの二つの魔法属性を身に着けたわ。

お母様、お父様、ありがとう。"


"エリナちゃんは、まだ、2属性なので3属性魔法術士のあなたがしっかりと家族をその愛で支えなければいけませんよ。"


"うん、頑張る。"


「お母様、お久しぶりでございます。」


"風神ちゃん、良く役目を果たしましたね。偉いです。

雷神ちゃん。いい男、いえいえ、中心にいる者の指によくはまり込みましたね。

もう、一生離れてはダメですよ。"


「わかっているぜ、おばちゃん。

それにしても、久しぶりだな。父ちゃんは元気か。」


"雷神か。久しいな。いい男を捕まえたんだって。

よくやったぞ。ちゃんと尽くすようにな。"


「おう、ちゃんと愛人兼美人秘書として活躍中だ。

しかし、情報が伝わるのがはえぇなぁ。

俺がシュウに憑りついていることをもう知ってるぜ。」


"風の大精霊をなめてはいけませんよ。


風神ちゃんが、今はメイドさんと呼ばれているわね、ソニアちゃんの指にはまって、そして、家族の愛の力で風の使徒として覚醒した時に、ソニアちゃんの見聞きした情報がすべて流れ込んできたわ。

やっぱり、使徒として覚醒するとすごいわね。"


"じゃぁ、アクアちゃんとノームちゃんのことも・・・・"


"そうねぇ、2000年ぶりに感じたかしら。

前回の輪廻の会合で会ったきりだから。

あっ、会いたいわねぇ。久しぶりに"


あのぅぅぅ、俺、シュウと言います。

風の大精霊様ですか。

ほんとに直接念話ができているんですか。


"あっ、甲斐性なしだわ。あなた、もう少し積極的になりなさい。わかった。

私も早く赤ちゃんオオカミが見たいわ。

ちなみに今の情報はメイドちゃんからね。"


情報がだだ漏れだ。

いやな噂ほど早く伝わる。


ところで、近々、そちらにお邪魔しようと思うのですが、

場所はバルデス山脈の山中でいいんですか。


"おおっ、そこだそこだ。気を付けて来いよ。冬山だからな。"


"来るメンバーには、甲斐性なしと天然平目、美幼女とそこにいるソシオ青年か駄女神のいずれかを必ず入れるようにね。"


ソシオさんか駄女神さんかのいずれか?


"風の使徒が風の神殿を訪ねるのに風の巫女が付いてこないのはまずいだろ。"


と言うことはその二人が風の巫女と言うことですか。

駄女神さんがエルフ領に住み着くことは別に変な事じゃなかったんだ。

人類のためにもここはエルフ領に住み着いてもらおう。


""エルフ領に粗大ごみの不法投棄はんた~い。""


"ここに皆で来た場合の特典として、風の使徒が風神を身に着けて風の神殿に一度来れば、その後はいつでもどこからでも転移してこられるというおまけつきなの。

一緒に転移してこられるのは、風の巫女とシュウ、エリナちゃん、そして月の女王だけね。

あっ、甲斐性なしじゃかわいそうだから名前に戻してあげるわね。"


"風の神殿から戻るときも好きな場所に戻れるんですか。"


"それができないんだ。風の神殿の風見鶏から好きな風の転移魔法陣に転移はできるがな。

今の声はエリナ、光の公女(まだまだ仮)か。よろしくな。"


"その括弧が気になるんですが。"


"括弧が取れるように精進するんだぞ。

シュウのケツを追いかけまわしてばかりじゃいかんぞ。尻に敷いて・・・・・、もう敷いているのか。早とちりだった。

まぁ、とにかく頑張れ。"


逃げたな。


"突っ込む前に甲斐性なしを何とかしろ。"


「甲斐性なしにつける薬はないのじゃ。」


"あなたは吹雪おばちゃんね。あなたが付いていながら何故こんな甲斐性なしに・・・・"


「おばばは文無しだからな。老後破綻しているんだぜ。

教会本山の宝物庫での封印暮らしが長くて、アルバイトで2000万バートを貯める余裕がなかったらしいな。

だから、シュウに甲斐性を付けさせようにも資金がないということだ。

ちなみに俺も文無しだがな。」


"じゃっ、しょうがないわね。"


えっ、もうあきらめちゃうの。俺が甲斐性なしのままでもいいの?


"いいよ。大丈夫だよ。お兄ちゃん。

お姉ちゃんに愛想をつかされて離婚されたら、私がちゃんと老後の面倒を見てあげるからね。"


ありがとう、ソニア・・・・・、

俺の周りだけ、むなしい風が吹いているんですけど。


「はっくしょん、なんか変に臭う風が吹いて寒いな。


ところで、ソニアさん、皆さん。急に黙っちゃってどうしたんですか。

ソニアさんに何が起こったんですか。

光の渦が天に昇った後に黙っちゃって。」


「こいつは自分が風の巫女であることにいつ目覚るのじゃろうか。

まぁ、この調子じゃこやつも甲斐性なしじゃなきっと。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


次回から新章です。お楽しみに。


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