30話目 王族と族長会議の使者との会合 前編
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
門の前でお互いの紹介だけは済まし、ここではなんだからと村の集会場に移動してさらに話をすることになった。
俺たちは今日中には第1083基地に帰りたい旨を話したところ、夕飯までは一緒にと誘われたので、基地に帰ってキャンプ飯を食うよりはいいと考え、夕食までは一緒に席を供にすることにした。
駄女神さんはお付きのエルフ男若衆がいなくなったこと、王族と族長会議の使者がエルフ女子であったことにふてくされて、もう基地に帰ると言っていた。
しかし、一応、エルフ族のトップ層との面会になるため、保護者枠としてはしょうがないとブツブツ、ぶづぶつ言いながらも一緒に残ってやるとのことだった。
今回、この人はエルフ領で初めてまともな仕事をするよ。
お互いのあいさつの後、王太子より人類の訪問者を歓迎するとの言葉をもらって、交流会は始まった。
「人類領とここを結ぶ転移魔方陣を魔族より解放してくれてありがとう。
これでまた人類との交流が再開できる。」
駄女神さんがいるところでは特一風見鶏の話はまだしないでくれと村長にお願いしてあり、王太子もそれに沿って話を進めてくれるようだ。
「はい。奇跡的に発見し、開通させることができました。
しかし、人類側のエルフ領に来る転移魔方陣の発動には膨大な魔力が必要ですので、今のところ誰でもいつでもと、ここに来れると言うわけにはいきません。」
「そうなのか、それは少し残念だな。
お互いしばらく交流がなかったからな、自由の往来なども期待したいところだったのだがな。
そう言えば、人類側ではもう君たち以外にエルフ領に来たものはいないのではないかな。」
「そのようです。我々人類の寿命はエルフ族の数分の1ですから。」
「私は一度だけ、人類領に行ったことがある。
その時に話をした人たちはすでにいないか。寂しいな。」
「それが人類の定めです。また、人類と交流するエルフ族の定めでもありますね。」祝、駄女神さんのエルフ領での初めての大人の発言
「そのため、会ったその時を大事にしなければいけないということか。
後で悔いが残らないように。
私が人類領を訪問したときにある方より言葉をいただいた。一期一会と言う。」
「一期一会ですか。それは人類だけでなく、私たちエルフ族同士にも言えますわ。
いつかまた会えるからまぁいいかと言って、結局、会わずに時が過ぎてしまう。
長寿のエルフ族だからこそありがちなことですわ。
人類とエルフ族の間の交流はその時、その瞬間を大事にしたいところですわね。」カロリーナ
「私が聞いているところによれば、シュウ殿たちの今回の訪問はどこか行きたい場所を特定するためだとか。
その場所とは、支障がなければ伺いたいのだが、我々が知っているところかもしれないのでね。」
「王太子。
この村の村長、つまり、人類側との交流の窓口の行政官にも話をしていないと伺っていますわ。
それを王太子だからと言って無理に聞き出すのはいかがと思いますわ。」
「カロリーナさん、私は無理にと言うつもりはないよ。
シュウ殿も話したくなければ無理に話さなくても良いぞ。」
「俺たちがここに来た目的は、エルフ領を見てみたい、もう誰も経験した者がいなくなったエルフ領とはどんな所かという興味が第一です。
そして、エルフ族との接触です。
先ほども言いましたように人類側では誰もエルフ族を見たことがないので、どんな種族なのか見てみたいと思いました。
もし、魔族のように人類と敵対する可能性があるのなら、人類領に入れないように転移魔方陣を破壊するつもりでした。
まぁ、この点についてはこの一週間エルフ族の皆さんと交流してみて、これからもお互いを友として歩んでいけるように思います。
駄女神さんなんて今日からここに住み着くとまで言っていますし。」
「誰が私のために、美と慈愛の女神の神殿を建立してもらえませんかねぇ。
費用は小金持ちのシュウ夫妻が負担します。
だって、一旦人類領域に戻ったら、ここに来るためには必要な魔力ダメが400基ぐらいいるんでしょ。
シュウ君以外の私の信者をかき集めてももうここには転移できないんだもん。」
「ちなみに、人類側の信者は俺だけでした。それももう脱退しました。」ボソ
「えぇぇぇぇ、そんな勝手なことが許されると思うの。
ちょっと、シュウく~ん、表で別途この件について話をしようかぁ、ちょっと来てくれるかなぁ~。怒怒怒」駄女神から怒特攻大魔神に変身寸前
「ちょっと駄女神、今はエルフ族とお話しているの。
そんなことは人類領に帰ってからして頂戴。」駄女神の御主人のソニア様
「ちぇっ、運のいい奴。」ボソ
「なんかお取込みの様ですね、休憩にしましょうか。」すっごい美女のカロリーナ様、あなたが女神だったらすぐにでも信徒になります
「気を使っていただかなくても大丈夫ですよ。このまま話をしましょう。
ええと、どこまでお話しましたっけ。」俺必死
「シュウ、エルフ領に来た目的で、エルフ族が人類と敵対するかどうかを見極めたいとか言ってたわよ。」
「エリナありがとう。
それでエルフ族と人類はともに歩んでいけそうかなと思っています。
現実に歩んでいけるようにいろいろ決まり事などを決める必要があると思います。
この点は次の訪問、すぐにですが、ここにいる駄女神さんともう一人カメさんと言う者を連れて来て、その者たちに調整をお願いしようと思います。」
「げぇぇぇ、カメかよ。死神さんにしようよ。」
「駄女神さん、最近の死神さんを招集するのは魔族師団にまっぱで突っ込んで無傷で帰ってくるよりも困難です。
ちなみに芦高さんはまっぱで、普段から服は着ていないので当たり前ですけど、突っ込んで、魔族1個師団を壊滅させた後に傷ひとつ作らずに無事生還しました。」
「「「「おおおっ、さすが大蜘蛛様だ」」」」
「けどよ~ぉ、カメだぜカメ、よりによって。
ここでエルフ男若衆を侍らせてダラダラしているのを見られたら何を言われるかわからんぞ。
それを教会本山で言いふらされるのはやだな。
教会本山に行けなくなるぞ・・・・・ !!!
いや、別にいいじゃねぇか。
これからここで生活するんだし。
教会本山に行かないもんなもう。」
完全に駄女神化してます。エルフ側の方たちは全員生ぬるい目で見てます。
あっ、俺にアイコンタクトするの止めてもらえます、王太子さん。
そりゃあ、俺だって、駄女神を人類領域に捨ててきたいですよ、こんな人類の恥部。
でもね、こんなんでも保護者枠なんで、こいつがいないとエルフ領に来難いんです。
とりあえず、エルフ男若衆を当てがっておけば俺たちが何をしようが興味ないし、非干渉だし。
「まっ、こんな駄女神さんでも一応俺たちの保護者枠なんで、いないとこれからの交流に支障が出るんですよ。」
「なんだわかっているじゃねぇか、シュウ。俺の有難さっていうもんをよぉ~、」
あのぉ~、エルフの方々、露骨にがっかりした顔をするのは止めていただけないですか。俺の方が泣きたくなりますので。