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29話目 エルフの王族にあったよ

「それに、勝手に調査したとまた叱られてしまいそうですが、ソニアさんの母親のこともわかりました。


この点については私からではなく、王族の方から直接お伝えしたいそうです。」


「私は・・・・、どうしよう、お兄ちゃん。聴いた方が良いかなぁ。

それともまた次回、後にした方が良いかなぁ。」


「俺はソニアの考えが最優先だ。

どうしたらいいか迷っているとするなら、俺は聞いた方が良いと思うというのが、助言だな。」


「なぜ? 」


「ソニアが前に進めるきっかけになると思うからだよ。

このまま呪いと祝福に縛られて、今のソニアの在り方に留まり続けてほしくないからだよ。

できれば俺たちとと一緒に前に進んでほしい。


俺は人間だからもう数十年もするとこの世からいなくなるよ。

その時にソニアをこのままの状態で一人にしたくない。

一人でも前に進める大人の女性になってほしいんだ。」


「私もよ。

会うかどうかについては正直どっちがいいかはわからないわ。

でも、このままのソニアちゃんを一人残しておくきたくないわ。


シュウの言う通り、私たちの方が先に死ぬわ。

その時に家族のソニアちゃんが一人でどうすることもできずに時の流れに取り残されてしまうのは耐えられない。


私たちがもう進めなくなっても、それを乗り越えてどんどん前に進んでいける人になってほしいの。


わたしはあなたの時間や人生が止まっているように見えるの。

それではいけないわ。時を進めなければ。


時を止めているのがお母様へのわだかまりなら、それを乗り越えて行くためにも、お母様のことを知った方が良いと思うわ。

辛い結末かもしれないけど。」


「私は怖いわ。変わることが。前に進むことが。

このままでもいいような気がするわ。

会わなければ知らなければこのままよね。」


「ソニア、わかっているよね。俺たちは家族だ。

そして、俺とエリナはこのままではいられない。

前に、どんどん前に進まなければならない。


ソニアに合わせてこのままではいられない。

ごめんよ、いつまでも一緒と言いながら。


それよりも、俺のわがままかもしれないが、皆で一緒に居るためにも、ソニアに一緒に前に進んでほしい。」


「ソニアちゃん、手を出して、繋ごう。

私とシュウはこの手を離さないわ、かわいい妹の、家族の手は離さない。


何があろうとも一緒に居ましょう。

安心してとはいえないけど、ソニアちゃんのお母様のことを私たち家族で受け止めましょう。


どんなに悲しくても、どんなに残酷でも、家族で受け止めましょう。」


「家族は一緒。辛いことも悲しいことも、楽しいこともうれしいことも、全部、一緒。」


「そうだ、一緒だ。ソニアも俺たちと一緒に進もう。

手を繋いで、心を繋いでね。」


「私、話を聞いてみる。

一人じゃ聴けないことも家族となら、心を繋いでくれる人と一緒なら前に進める。


村長さん。私、エルフの王族に会って話を聞いてみるわ。」


「そうですか。そのように取り計らいます。

シュウ殿ももちろん会っていただけますね。」


「はい、あれでけ妹に前に進めと言っておきながら、俺だけ逃げ回っているわけにはいきません。

人類の代表にはなれないので、久しぶりに訪ねてきた知人として話をしてみたいと思います。」


「それでいいでしょう。

駄女神様も参加されますよね。」


「ところで、王族と族長会議の使者はいい男ですか。」


「まぁ、顔と言うことであればエルフの王族ですからかなりのレベルかと思いますが。

使者の方はまだ誰が来るか聞いておりませんので、何とも。」


「でもエルフですよね。」

「もちろん。」


じゅるり


隣にいた俺だけが聞こえた。

獲物を前にしたオオカミの音。

こいつだけは何とか直ちに第1083基地に返さねば。


「駄女神さんはもう用がないと思うので、先に帰ってたら。」

「そうよ、シュウの言う通りよ、駄女神さん。お疲れでしょ。

長旅でお肌に荒れが出てきたわよ。

基地に帰って早く休んだ方が良いと思うの。

自分のお家の方がゆっくりできますよ。」


「私の家は先週からここだから。

先週引越したことにしたから。

だから、家に帰って来たからのんびりとさせてもらうわ。彼らと。」


駄女神さんが視線をエルフ男若衆の二人に向けた。

視線を向けられた彼らはびくっとした後、きょろきょろと逃げ場を探すような仕草を始めた。


駄女神さん、エルフとの友好関係を高めるためにもここは帰んなさい。


「私は帰らないからね。

私はエルフ領に引っ越したんだから。

これから彼らに愛の巣を作ってもらうんだから。」

そしてまた、エルフ男若衆をじっと見つめる駄女神さん。


あっ、逃げ出した。


すごいスピードで今通って来た森に逃げてった。

この辺の魔物は芦高さんが狩りつくしたようなので、4、5日森をさまよっても安心だろう。


むしろ、村に居た方が危険だ。

見たかあの怒特攻大魔神のすべてを射抜くような目。

逃げ出して正解。


できればあの町のさらにずっと遠くまで逃げた方が良いよ。

見つかったら一生・・・・・・、言葉では言えないことが。


「駄女神さんも家を作ってくれる方たちがいなくなっちゃいましたね。

あきらめて、今あるお家に帰りましょう。」

「絶対やだもん。」


幼児化しても可愛くありません。精々エリナまでです。

きもいのでやめて。

しかし、どんだけエルフ領に懐いたんだこの駄女神は。


「まぁまぁ、シュウ殿。

駄女神様もご一緒に話を聞いてもらっても良いでしょう。

広く交流したいと王族がおっしゃっておられるとのことでしたよ。


ただし、ソニア様の話は個人的な話ですのでご家族のシュウ殿とエリナさんにお任せしましょう。


その間は集会場でワインでも飲みながらお待ちになってはいかがでしょうか。」


「エルフ男衆居る? 」

「王族と族長会議の使者はお若い方だと伺っています。」

「じゃ、最初からその方と集会場で籠っているということで、あとは好きにいたせ、シュウ。」


「「「・・・・・・」」」


もう何にも言う気がしない。はやく酔っぱらってつぶれてしまうことに期待しよう。


その時、村長を呼ぶ声がした。


「村長、王都から王族の方と使者がいらっしゃいました。」


「集会場にご案内してくれ。

シュウ殿たちも参りましょう。ご挨拶が目的なのでこの門の脇でも構わないとは思いますが、その後の交流が立ち話になってしまいますからな。」


「ところで芦高さんのことは大丈夫でしょうか。」


「ぎやぁぁぁぁぁぁ、大蜘蛛様だぁぁぁぁぁぁ。

エルフ族は終わったぁぁぁぁぁぁ。」


お約束の方が何人も。

そのまま蜘蛛の子散らしで、森の方に逃げて行きました。

事前に居るのを知っているでしょうに。


頭では目の前の大蜘蛛さんは危害を加えないとわかっていても、視覚に入ると逃げろという本能の命令が最優先するわけね。


残ったのは3人でした。

この3人はただものじゃないな。


「申し訳ない。わかってはいてもエルフ族の本能として、ああなってしまう。

人類の皆様、大蜘蛛様、大変失礼しました。平にご容赦を。」


「ここんとこ毎日あの様な反応ですから。

悲しいことに慣れました。」

「本当に申し訳ない、エルフ族を代表して改めてお詫びをさせてもらいます。」


「シュウ殿、こちらが王族、王太子のソフロニオ様とその第2子のソシオ様です。

そしてこちらが、族長会議の使者の方? 」


「カロリーナです。よろしくお願いしますわ。」


「村長、話がちげぇじゃねぇか。怒怒怒怒」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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