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25話目 歓迎会にうつつを抜かして、大事なことを忘れてない

村の集会場で荷物を降ろし、一息つく間もなく、そのまま歓迎会となった。


昨日の特一風見鶏の村の歓迎会に劣らず、豪勢なものになった。

その中でも農業を請け負っている村らしく、穀物と野菜が豊富なのには驚いた。

生野菜の他にも乾燥品、特にキノコ類は良く出汁が取れて煮物などの風味を一層豊かにしていた。


ここでも、エリナとソニアは歓迎会の手伝いで、エルフおばちゃんたちからエルフ料理を教えてもらっていた。

というわけで歓迎会にはエルフ男たちが主に出席し、俺の目的であるエルフ女子の接待はなく、必要な給仕はすべてエリナとソニアがやってくれた。


だんだん厳しくなるエリナの監視の目。

何とか潜り抜けないと俺の目的であるエルフメイド戦隊以下略の設立が厳しくなってしまう。


一方の駄女神は村のエルフ男若衆に囲まれて、ホクホクしているのかと思えば、相変わらず下を向いて、もじもじ。

未だにエルフ男若衆に何を聞かれたも頷くか首を振るだけ。


どうしても言葉にする必要があるときは俺の袖を引っ張り、通訳をせがまれた。

それを数回繰り返していると、最後は袖が引きちぎれてしまい、村のエルフ女子に直してもらえるとホクホクしていると、さっとエリナが登場し、とっとと直してくれました。


さすが俺の奥さん、裁縫も得意です。何故か哀の字が心に沸いた。


芦高さんはさすがに集会場の中には入れなかったので、外で待ってもらうつもりだったが、どうもこの村に至る途中でオークの香りしたので、オークを含めた魔物狩りをしたいと言ってきた。


俺的には問題ないが、大蜘蛛様を恐れるエルフ族に考慮して、一応、村長ズに確認をした。


農地に入らないことと、通ってきた街道から少し離れて移動することを条件として許可が出たので、芦高さんにはオークを含む魔物を狩って来てもらうことになった。


村長ズにしてもどこからか発生する魔物の排除についてはいつも頭の痛い問題だったらしく、芦高さんの申し出には実は非常に感謝していた。

特にここの村の村長は非常に感謝して、村人の多くが芦高さんを見送るほどであった。


そう言えば村の皆は芦高さんにもう慣れたのかな。


そのことをここの村長に尋ねたところ、単なる開き直りだそうだ。

本気で大蜘蛛様に狙われたら、何の抵抗もなく葬り去られてしまうのが確定しているので、下手に怖がってもやられるときはやられるという心境に至ったそうだ。


この辺が農民と言えば農民らしい。


一方、特一風見鶏の村人はすべて戦士なので、何とかして生き延びることを考えてしまうので、それが逆に大蜘蛛様への恐怖心となってしまうのではないかと村長は言っていた。


まぁ、死ぬ覚悟ができれば怖いものはないということだそうだ。


お俺としても村人を困らせる魔物を狩ってくれれば、より一層人類とエルフ族の友好関係が深まるので、これからも芦高さんさえ良ければ、夜は魔物狩りをお願いしようかな。


そんな感じ、てっどんな感じ? 、で歓迎会も無事に終わった。

もう寝ようかと思ったが、何か大事なことを忘れているような、芦高さん?

芦高さんはまだ戻ってこないし。


何かこの旅の根本にかかわるような大事な用事を忘れている気がしたが、エリナの寝袋へのお誘いから逃げ回っていたら、疲れてそのまま集会場の床で眠っちゃったよ。


顔を照す朝日が眩しくて、目が覚めた。

しかし、頬をなでる窓から入る風が心地いい。

雑魚寝しても風邪をひかない集会場の床は心地いい。

このままずっと寝ていたい。

大事なことなどもうどうでもいいではないか。


「おい、シュウ、位置確認はいいのか。

毎日地図で風の神殿の方向を確認すると言ってなかったか。

言いたかないけど、俺の数少ない役に立つことを奪うんじゃねぇぞ。」


「がぁぁぁぁっ、忘れてた。」

「シュウどうしたの、突然叫んで。怖い夢でも見た。

怒特攻大魔神様に踏みつぶされた夢とか。」

集会場の台所で朝食の支度をしていたエリナが慌てて顔を出した。


「エリナ、大事なことを忘れてたよ。歓迎会ですっかり舞い上がっていたのかもしれない。」

「どうしたの。大事な事って何かな。」

「風の神殿の方向を地図と確認することだよ。」


「あっそうか、確かに忘れていたわ。

エルフ女子を如何にシュウに近づけないことに集中してて、旅の目的を忘れていたわ。


さっき、特一風見鶏の村長が起きてきて、朝の散歩に出て行ったみたいだから戻ってきたら地図の方位を整えてもらいましょう。

その後、地図の写しを重ねて風の神殿の方向を書き込む感じでどうかしら。」


「それでいいよ。村長は今出てったところ?」

「30分も前だから、もうすぐ戻ってくるんじゃないかしら。」


「ただいま。シュウ殿、エリナさん私を呼んでいたようですけど、どうかされましたか。」


俺は地図の確認について村長に話をした。


「わかりました。隣の部屋が空いているようなので、そこに地図を置いてもらえますか。方位を合わせます。

その後は退出しますので目的地の方向のご確認をお願いします。


可能でしたら、あと2日の移動で目的の場所がある程度特定可能なのか、つまり、我々の村から引いた線と2日後に引いた線がうまくクロスするかの見通しだけでも教えてもらえますか。


引いた線がほとんど同じ方向であれば線がクロスする場所が海か他の大陸になってしまうかもしれませんので。」


「わかりました。状況はお知らせします。まずは方向を確認したいと思います。」


村長が隣の部屋に行き、地図を置いて方位を確認し、また置き直したりして、最後に釘で地図を止めた。


「これで方位はあっています。それでは方向の確認をお願いします。」


俺たちは一昨日と同じように地図の写しを丁寧に上に重ねて、釘で止めた。


今日は大事なことを思い出させてくれた雷ちゃんに方向を聞きたいと思います。


「そうか、ついに俺が活躍するときが来たか。長かったぜ。

漸く俺の愛人としての価値を理解したようだな、シュウ。

これからも俺をもっと頼っていいんだぜ。」


早くしてよ。やらないなら、メイドさんに頼むぞ。


「ちょっと待ってくれ。俺を頼ったんだよな。途中で交代なんてさせないよな。

貴重な俺の仕事なんだから最後までやらせてくれよ。なっ、なっ。」


遅い。メイドさ~ん。


「わ~った。わかったから、すぐにやるからな。

じゃっ、シュウ地図の正面に座ってくれ。

そして、この村の場所に手を置いてくれ。風の大精霊のいる場所を指輪で引っ張るぜ。


いいか。こっちだ。」


雷ちゃんが俺の指を引っ張って精霊のいる方向を示す。そして俺は、その方向に向かってこの村の場所から線を引いた。


線が重なった場所は、海でした。おそらく海岸から3kmぐらい離れた場所の。

海の中に住んでいるのか、風の大精霊なのに?


「ご主人様、まだ1日の移動ではうまく線が引けていないものと思いますわ。

後、2日移動しないと風の神殿がある場所がある程度特定できるかわからないと思いますわ。」


そっ、そうだよな。1日じゃまだわからないよな。


「ただ、かなり北の海に近いことは確かなようじゃな。

風の神殿まではずいぶん遠くまでの旅になりそうじゃのう。」


やはり、いきなり風の神殿を目指さなくて正解だったな。

ある程度場所を特定して、必要な準備を整えたうえで、再度エルフ領を訪ねよう。


「まっ、それがいいのじゃ。

いきなり風の神殿を目指して右往左往するよりも、事前に調査して必要な準備をしてから探索するのが常識じゃ。

シュウたちのやっていることは正しいのじゃ。」


よし、このまま旅を続けて場所の特定を進めよう。


俺たちは地図とその写しを回収して、部屋を出た。


「目的の場所の方向は確認できましたかな。」


「はい、でも今のところ海を示していました。

目的地はおそらく地上にあるものと予想していますので、予定通り残り2日間旅をして、より精度の高い場所を特定したいと思います。」


「わかりました。それでは朝食後に旅を続けましょう。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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