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22話目 うぉぉぉぉぉ、記憶玉の危機、再来

漸く旅に出発だ。


人類側は俺、エリナ、ソニア、芦高さん、駄女神の5名。

エルフ族側は村長、パキトさん、その妹様が2人、村長息子とパキト弟の6名だ。

荷物は野宿4日分をすべて芦高さんの背中に括り付けている。


エルフ族の方は大分芦高さんに慣れたが、子供たち以外は、まだ5m以内には近づこうとしなかった。

村長などは申し訳ないと芦高さんに謝っていたが、種族のDNAに植え付けられた恐怖の記憶をそう簡単に打ち消すことはできないと思えた。


芦高さんも特に気にした様子はなかった。

昨日はあれだけ子供たちと遊んでいたため、大人エルフたちのこのような振る舞いにもエルフ族への悪感情は湧かないのだろうと思えた。


俺たちは下草が踏み固められた小道をパキトさんの案内でゆっくりと進んだ。

エルフ族の領域と言うことで、今歩いている小道も大きな木の葉で覆われ、風に揺れる木々の間から漏れる日光が時々頬を照らした。


人類側ではもう季節が冬の初めになっており、第1083基地でも朝晩の吐く息がすっかり白くなっていたが、ここでは初夏のようなさわやかな暑さが身を包んでいた。

さわやかな暑さの中を俺たちは雑談しながら進んだ。


「村長、エルフ領では季節と言うものがありますか。」


「季節ですか、一年を通じて四季はある程度ありますよ。

村の近辺は大きな気温の変化と言うものはありませんがね。

冬でも薄い長袖で済みますし、夏も半そでがあれば暑くてどうしようもないということはありません。


ここから、南や北に行けばまた違った季節感が味わえると思います。

今度いらっしゃるときには北か南のもっと遠くに移動するでしょうから、それに合わせた服装なども準備した方がいいと思います。」


「わかりました。今回の旅で俺たちの行こうとしているだいたいの場所がわかると思いますので、その近辺の事情と言うものを教えてもらって、次に来るときにはきちんと準備して来たいと思い伸す。


まぁ、その前に今回の旅でだいたいの場所がわかればいいのですが。」


「わからなかったら、その目的の場所と言うのが想像しているよりも遠いことになりますね。」


「そうですね、そうなりますと位置を特定してから移動するよりも目指す方向に直接進んだ方が早くなりますか。」


「村に戻ってから王族と族長会議から派遣された代表者とあなた方との会談を予定しています。


その会談でお互いの友好関係を確認できれば、我々の転移魔法陣を使えることになりますね。

そうすれば、案内と多少の魔力が必要になりますが、時間的にはエルフ領の端まで行くのだってそうそう時間はかからないと思います。


もちろん、一番近い転移魔法陣から目的地までは歩く必要があると思いますが。」


「今回の旅で俺たちの目的地が遠くにあることが分かった場合には転移魔法陣の使用をお願いするかもしれませんね。」

「まずは片道3日間の旅を無事に終えることが大事です。」

「わかりました。」


「あの、シュウさん、エリナさん。」


突然、パキトさんの妹じゃなければ真っ先にお話させていただいていたエルフ女子が声をかけてきた。

近くで見るとますますお美しい。ただし、胸は残念です。


「なんでしょうか。」

「二人はご夫婦なんですよね。エルフで言えばまだ幼児と同じような年なのに。どうやって知り合いになって、結婚まで至ったのですか。


そう言うのちょっと興味があってね。

私はアラナ、こっちは姉のアイナ、双子でパキトの妹です。よろしくね。」


「こちらこそ、お近づきになれて幸せです。」


お近づきのになれたことに感動するあまり、思わずアラナの手を握ってしまった。


「バッコーン(エリナ強化ハリセンの再登場)」

「いて、マジ痛いんですけど。エリナどうした。」


「どうしたじゃないわよ。そんないきなり手を握って。知らないエルフの森に埋められたいの怒。」


「まあまあ、これが人類流の挨拶じゃないか。是非お近づきになりたいときの。

異種族交流は大事だと思いま~す。」


「私と握っていた手を振りほどいてまでお近づきのご挨拶をしたかったのね。

さっきまでずっと繋いでいたのに。

村長とはそんな手と手を握った挨拶なんてしていないのに。エルフ女子にはするんだ。めそ。」


「ちょっと、エリナ、ほんとに挨拶だってば。

駄女神さんはエルフ女子には不愛想にしているから、俺ぐらいは愛想良くしておかないとエルフ女子たちが人類に愛想を尽すかもしれんだろ。」


「あやしい、めそ(チラ)。」


く~っ、チラだな。さてはウソ泣き。かわいいから許すけど。


「あ~ぁっ、若妻を泣かしちゃった。」


いえいえ、ウソ泣きと言ううちのエリナちゃんが俺に対して使う最終兵器です。

いつもこれでやられてしまいます、俺は。


「私たちの出会いはね。」


復活、はや。その上、ニコニコしているぞ。


「私が学校の課題をこなすために、シュウの故郷の近くを旅していた時なの。私が小川で・・・・・・」


延々と永遠にこれまでのことを事細かくお話されています。

あぁぁぁぁぁぁっ、頼むから必要以上に俺を美化して話さないでくれ。

恥ずかしいじゃないか。


「それは違うと思うぜ。エリナはさっきのシュウがそのアラナって言うエルフの小娘の顔と胸をガン見して、挙句の果てに直接スキンシップに行ったことをぜってぇ根に持っているぜ。」


え、雷ちゃん。エリナは俺を目いっぱい持ち上げているように思えるけど。


「これだから甲斐性なしの考えなしは。困ったものじゃ。


エリナはのう、最後に、例のほれ、記憶玉に取ったあれを晒すつもりじゃ。持ち上げるだけ持ち上げて、一気に落とす。


落差があればあるほど、そこのエルフ小娘どもはシュウに愛想を尽すという高等な戦術を使ってだな、シュウとエルフ小娘を引き離しにかかったということを自覚せぇぇぇ。」


それ超まずいんですけど。エルフ領にまであの記憶玉が普及したら、俺はもうこのウルフ領に来れなくなるじゃないか。


アラナちゃんなんて、俺たちの旅のメンバーに抜擢されるほど優秀な風魔法術士なんだろうし、このうわさはあっという間にエルフ領全体に伝わってしまうに違いない。

俺がとやかく言われるのはいいが、人類全体が俺程度の頭しかないと誤解をされるとまずく・・・・はないな。

アホぅぅぅ=俺よりも、アホぅぅぅ=人類の方が俺のアホさが浮き出なくてくていいかもな。

人類のデホとして浸透してくれた方が都合がいいじゃないか。


「それだとご主人様を見るエルフ小娘共の目が興味津々から近づくなアホが移るという目に変わってきますわ。


ご主人さまのご趣味のチラ見(胸と足に限定バージョン)に気付かれたら、犯罪者として訴えられ、間違いなく変態認定。

そしてエルフ小娘の敵はそこにいるパキトとかいうエルフの手によって、クビチョンと言う結末になりそうですね


それはそれで面白そうですわ。」


チラ見でクビチョンなんて俺はさっぱり面白くないんだが。


「ふっ、泣きたくなったらこの俺(愛人)の胸で泣けばいいのさ。」


だ・か・らぁぁぁぁぁ、指輪の胸ってどこだ?



活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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