10話目 漸く自己紹介
「それが良いのじゃ。
年寄りたちには若い話し相手を当てがっておいて、ボケ防止じゃ。それにしよう。」
おばちゃん、やけに張り切っているね。
「これでお母様の相手をしなくとも済めば、妾は自由に夜の街を散策できるのじゃ。」
"え~ぇっと。おばちゃんさん。今でも自由に夜の散策はしてると思うけど、散策してどうするの。"
「決まっておるじゃろうが。イケメンを追い回して・・・・。」
"追い回して、どうするの? "
「・・・・・・・」
「夢見てたな。おばば、それは夢だよ。
叶わぬ夢・・・・・」
「ちっ、違う。これは現実だ。
イケメンを追い回してキャーキャー黄色い声を聴きたいのじゃ。」
イケメンが黄色い声。それ聞いてどうすんだ。
「野郎にはわからない、女子の楽しみがあるのじゃな。」
じゃ、おばちゃんが、試しに駄女神取り巻き神官ズに突撃してみたら。イケメンだし。
「おおっ、いたいた。妾がキャーキャー言わしてやるのじゃ。」
おばちゃんは喜び勇んでエルフ男新神官ズの元に飛んで行った。
避けられた。
木に刺さって、抜けなくなった。
丁度いい。ここをおばちゃんの終息の地でいいよね。
記念碑を立てよう。記念樹も植えよう。
「「異議な~しっ。」」
「だっ、だれか抜いてくれ~ぇ、お願いじゃ~ぁ。」
「うっ、大蜘蛛様はけしかけないと約束したから、今度は大剣を飛ばしてきたか。
どこまで、我々エルフ族を邪魔者扱いにすれば、気が済むのだ。
魔族だけでなく、人類も我々エルフ族の敵に回ってしまったか。」
「えぇ~とっ、いろいろ残念が盛りだくさんの駄女神さんのせい、全部駄女神が悪い、でいろいろ誤解があるようですね。」
「・・・・・・・」
「すべての私のせいで良いわ、名誉より実(イケメン神官2名)を取るそうです。
ここで確認させていただきますが、駄女神様、俺はもう神官への通訳はしないからな。後は自分で何とかすべし。」
「・・・・・・(怒)・・・・・(願)・・・・・(謝)・・・・・(泣)・・・・・(チラ見)・・・・・(喜)・・・・・・(また怒)・・・・・(また願)・・・・・。。。。」
「駄女神さんが自己無限ループになったのでほっときましょう。
ところで神官さんたちはどういうお仕事をしているのでしようか。」
「私たちはのここで我々エルフ領と君たち人類とを繋ぐ特別な転移魔法陣、特一風見鶏の管理をしていました。
しかし、数十年ぶりに作動した時はびっくりしました。
部下のこいつなんか初めて装置が作動したのを見たようです。」
「それは人類側の特一でしたっけ、その対になる風見鶏が魔族の呪いの封印をかけられていたため、人類は誰も風見鶏の存在に気が付かなかったのです。
その上、人類の短い寿命からすると風見鶏が失われて数十年と言う月日は人々の記憶からその存在をかき消すのに十分な期間だったということですね。」
「その魔族の呪いはどうやって払いのけたのですか。」
「まず、特一風見鶏を見つけたのはこの大蜘蛛の芦高さんです。
皆さんは大量破壊兵器のように大変恐れているようですが、俺とエリナの大切な家族です。」
「えっ、大蜘蛛様と一緒に暮らしているのですか。
我々のエルフ領ではブラウン大蜘蛛を見かけたら国家の崩壊、メタル大蜘蛛を見たら種族の破滅とまで言われて恐れられている種族ですよ。
幸いにして、ここ100年はブラウンを、数百年はメタル大蜘蛛が発見されていません。」
「ぼくはエルフ族に危害を加えるつもりはないんだな。
でも、ご主人様や奥様の敵に対しては全く遠慮せずに攻撃するんだな。」
「しゃべった。今の声は大蜘蛛様ですか。」
「そうなんだな。君たちはご主人様に敵意がなさそうだからそんなに僕を恐れることはないんだな。」
「大蜘蛛様を家族と言うか執事のようにされているあなたは何者でしょうか。」
「俺はシュウ。人類の軍人で所属は第108独立旅団第3小隊長です。」
「私はエリナ、同じく人類の軍人で所属は第108独立旅団第3小隊員です。
ちなみにシュウは私の夫です。まだ新婚なんですよ。
まだ、ラブラブなんですから絶対にエルフ女を夫に近づけないでください。
特に、巨乳で美脚の持ち主は厳禁ですね。
そんな女が近づいてきたら芦高さんが踏みつぶします。
ねっ、芦高さん。」
「奥様の命じるままに。
でも、あまりやりたくなはないんだな。」
「エリナ、ほら、芦高さんがいやがっているので、変な命令はなしの方向でお願いします。」
「ふぅ~ん、シュウ。巨乳美脚の美人エルフ女がいいんだ。
ちょっとこっち来なさい。
いいから早く。もう我慢ならないわ。じっくり話し合いましよう。」
「ちょっ、ちょっと待って。おれは巨乳美脚の一番はこの世ではエリナだと思っているんだ。
いててててっ、耳をひっぱらないで。
いてててててっ、そんなに抱きしめないで。
・・・・・ぷっはっ~。唇をふさがれると息ができい・・・・。
ぎゃぁぁぁぁぁぁ、また、たらこになるぅ~。」
「えっと、夫婦漫才師たちはほっといて。
私はソニアだよ。一応、同じく第108独立旅団第2小隊員だよ。
こちらの熊さんは私のペットで、一応、同じく第108独立旅団第2小隊隊長だよ。」
「ペットの熊が隊長で、あなたはその部下なんですか。」
「そだよ。
ちょっと待って。私が何で自分のペットの部下なの????
おかしくない。
ちょっと駄女神。これはどういうことなの? 」
「・・・・・・・」
「そんなぼそぽそいってもわかんないよ。」
「・・・・・・・」
「もういいわ、駄女神に言ってもしようがないことだけははっきりしたよ。
熊さんどうして?」
「さぁ~。体がでかいからじゃないのか。どうでもいいんじゃねぇか。
どうせいつも指示出すのはソニア様なんだし。」
「そうかぁ~、おっきい方が隊長になれるんだね。
よし、熊は今からた駄女神の第1小隊に行きなさい。
第2小隊にはチンチクリンとチンチクリン×2を入れて、第2小隊はチンチクリン3姉妹が支配するわ。」
「・・・・・・・」
「だから、駄女神、はっきり言いなさい。」
「チンチクリン3姉妹って誰だって言いたいんじゃねぇのか。多分だけどな。」
「・・・・うんうん・・・・」
「それはえっと、秘密だよ。」
「・・・・・・・」
「今度はなに、はっきり言って。」
「おれの面倒を押し付けるなって言いたいのか。」
「・・・・うんうん・・・・」
「そっか、餌代がすごいもんねぇ~。毎日飲み歩っているし。
しょうがない。ここはチンチクリン3姉妹長女のあたしが最後までペットの面倒を見るか。幼稚園の先生もペットの面倒は最後までって言ってたしね。
門前町で放し飼いにしたら、聖戦士協会じゃなくて白魔法協会に苦情が来そうだし。
と言うことで私の秘書の駄女神、熊の飼育をよろしくね。」
「ペットの面倒は最後まで飼い主が見るんじゃ・・・・、人類の力関係は複雑なんですな。」
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。