9話目 初めてエルフとお話したよ
「お前たちは人類か。」
「そうです。あなたたちはエルフ族ですか。」
「そうだ。この転移装置が作動したのは何十年ぶりになるが、何しに来たんだ。
小僧と小娘が2人り、女と熊もどきと・・・・・、もしかしてその巨大な蜘蛛はシルバーメタルハンツマンスパイダー様か。
くっそう、俺たちエルフ族を滅ぼしに来たのか。まさか、メタル化した大蜘蛛様御一行とはなっ。
で、要求は何だ。
エルフ族の一部でも生き残れるなら何でもする。
俺とこの部下の命などいらないかもしれないが好きにしてくれてもいい。
いずれにせよこのまま大蜘蛛様をけしかけられたのでは我がエルフ族は滅びるしかないしな。」
「えっと、全然話が見えないのですが。んっ。」
その時、顔を真っ赤にして俺の軍服の上着の袖をぐいぐい引っ張る似非女神さ~ま。
「女神様、どうしたんですか。そんなに引っ張ったらその馬鹿力で一張羅の軍服が破れてしまいます。」
「・・・・・・・・・・・・」顔を真っ赤にしながら何やら耳打ち
「えっ、好きにしていいのなら、じゃ、私のエルフ男牧場に入ってだって。
そんな胡散臭いことは自分で言ってください。」
顔をまっかにし、さらにうつむいて、首をプルプル横に振って、また耳打ちしてきた。
「なんだって、恥ずかしくて顔すらまともに見れしないし、話もできないから代わりにしゃべってだぁ~。
自分で話せよ。」
「・・・・・・・」また耳打ち
「私イケメンが見てると何もできなくなるだとぉ~。
でも、俺や熊さんの前では普通にしゃべっていますよね。」
「ふっ、」
「今の"ふっ"はどういう意味だ。」
「・・・・・・・」
「俺がこうなっちゃうのはイケメンの前だけだとぉ~。
非イケメンはふっだとぉ~。
こりゃ、この駄女神。いいかげんにしなよ。」
「・・・・・・・」
「細かいことはいいから、早くエルフ男牧場のことを伝えろだぁ~。
おい、駄女神。
それが人様にものを頼む態度か」
「・・・・・・・」
「非イケメンはだっまって俺の言うことを聞け。
エルフイケメンに早く話をしろだとぉ~。」
俺はわかった。何故お見合いがうまくいかないか。
イケメン相手だと顔を真っ赤にしてもじもじしているだけだし、非イケメンの場合はガサツな態度になってしまうからだ。
「なぁ~、さっきから乳繰り合っていないで、ここに来た目的なり、自己紹介なりをしてくれないか。
それとも話もしないで俺たちをその大蜘蛛様の餌とするのか。
俺を餌にするのはいいが、エルフ族の全滅だけは思いとどまってくれないか。」
「・・・・・・」
「若いエルフ男だけは助けて進ぜるだとぉ~。
年寄りや子供、エルフ女はどうすんだぁ~、駄女神。」
「・・・・・・」
「芦高さんの餌でいいだとぉ~。
マジで言ってんのか。」
「これまでの私たちの架空の想定だとエルフ女さんのおしりを追いかけているエルフ男さんはエルフ女さんが芦高さんの餌になっちゃうとそのまま自分も一緒に餌になっちゃうほどエルフ女さんのおしりに密着しているんじゃなかったっけ。」
「確かにエリナの言ったような仮定の下に我々は作戦と計画と予習と準備をしてきたんだったよね。
駄女神さん、エルフ女は芦高さんの餌にしてでいいんだよね。」
「それはなんと酷い。
エルフ族の女子供を犠牲にして、我々だけ生き残れと言うのか。
人類の信じる女神は何と酷いことを言うのか。
それに従っている人類も何と酷いものたちなのだ。」
「・・・・・・・・」
「えっ、・・・・・、あっ、すべてはこの駄女神が私たちを洗脳しているのが悪いのです。
俺たちはこの駄女神の言う通りに動いたいるだけです。」
「バッコーン」駄女神さんのハリセンが俺の後頭部に炸裂。
だって、"俺たちの呪いで駄女神に落とされて、神格を取り戻したければ俺たちの言うことを聞けと脅されている"と、エルフ男に俺からでたらめを説明しろ言うんだぜ。
そんな世迷言をそのまま通訳するはずないじゃないか。
もう、イケメンが目の前に来たもんだから冷静な判断力、元からないか、がなくなったな、駄女神め。
取り敢えず駄女神、言いたいことは自分で言え。
言えなければ駄女神に徹っしてろ。
「と言うことは、その神格が駄々下がりの駄女神とやらを地獄に送れば、我々エルフ族は大蜘蛛様の怒りの鉄槌を回避できるということですか。」
「その通りです。すべてはこの駄女神が悪いのです。
俺たちが唯一反省すべき点は駄女神に憑り取り付かれてしまったことですね。
まぁ~、駄女神と言っても一応は神と言うか、 髪は長~い友達と言うか、まあ、力的には紙なので俺たちとこのように一緒に行動しているわけです、はい。」
「・・・・・・・」
「あっ、はい。わかったよ。
駄女神が申しております。
(もう設定はそれでいいから)、お前たち二人がこの駄女神さんの神官となるならこの大蜘蛛をエルフ族全体にけしかけることはせぬと約束すると言っています。
俺は止めておいた方がいいと思いますが、どうしますか。」
「わかった。俺たち二人、そこの駄女神さまの神官となろう。それでエルフ族のことを良しなにお願い致します。」
「・・・・・・・」
「いいでしょう、あなたたちは私のものです。ラッキーと言っています。
骨までしゃぶってやるから覚悟しろとまで言っています。」
「あと、 お供え物ははちみつとはちみつ酒、一番上等なものをよこせと言っているぞ。」便乗熊さん、さすが玉乗りが得意なだけはあるね。
「駄女神さまは甘いものとお酒が好きなのですね。
わかりました、この辺の村の者に申し付けておきましょう。」
「ねぇ、シュウ、本当にいいの駄女神さんの言いなりに話を進めて。」
「今のところは予定に齟齬が出ていないので、これでいいんじゃねぇのか。」
「そうねぇ、エルフ女は幸いにいないしね。」
「えっ、エルフの女も女官に必要なのですか。」
「はい、もちろんです。できれば、巨乳で美脚の・・、バッコーン。」
「シュウ、ちょっとこっちに来なさい。
な・に・を言い出したのかなぁ。なに、巨乳だの美脚だのと。
さんざん似非女神さ~まを駄女神と言いながら、それに便乗している熊とシュウはどういうことなのかなぁ~。」
「いえ、エリナ様。
前も言ったように、我が家のメイド戦隊を編成するためにエルフの女性を、まぁ、できるなら眺めて楽しい方がいいので、巨乳と美脚、まぁ、美人は確定だろうしね。」
「私よりきれいで、巨乳で、美脚のエルフ女を家に入れるっていうの・・・・。
シュウ、ちょっと待ってくれるかな。
エルフメイド戦隊の創設はいいけど、まぁ良くもないけど、言いたくはないけど、ほんとは気が付いているとは思うけど、わたしたち。」
「私たち? 」
「わたしたち、持ち家がまだないのよ。
エルフメイド戦隊が付いてきたらどうするの。」
「えっ。」
「えっ、じゃなくて。現実問題として今は第1083基地の宿舎に独身個室2部屋なんですけど。
そのシュウの創設した巨乳、美脚、美人エルフメイド戦隊はどこに収容するのかなぁ。
小学校の先生も言っていたでしょ、雇ったメイドのお世話は最後までって。」
「そうか。メイドの雇い主として最後まで雇用を維持する必要があるか。」
「やっぱりその辺は何も考えていなかったのね。
ただ単に、巨乳で美脚の美人エルフが欲しかっただけなんだ。」
「違うぞ、エリナ。ちゃんと考えているぞ。
え~と、家を買うまではとりあえずチンチクリンの泉の神殿に送り込んで、壁のカビ落としかな。
泉の神殿だったら誰も来ないし。
それが終わったら土の神殿で埃の掃除。
まぁ、次から次へと埃が舞って降って来るから永遠に仕事がなくならんぞ。」
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。