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シュウの冒険 初めてのエルフ領 1話目 家族の在り方

その日の午後から俺とエリナは休暇になった。


第1084基地で質素ではあるが量だけはありすぎるキャンプ昼食を取った後に、旅団の全員がとりあえず第1083基地の最前線旅団基地に戻った来た。


ちなみにみんな既に忘れているようだが、旅団本部は教会本山の黒魔法協会内にあり、旅団長は黒魔法協会の総帥との兼務となっている。


旅団本部はその総帥の執務部屋に間借りしている。

今のところの旅団長の仕事はその旅団本部で茶をすするだけとのことらしい。

名義貸しの典型的な例として後世には伝えられている、かもね。


荷物を整理した後に俺とエリナ、ソニア以外は各魔法協会だったり、職校寮だったり、飲み屋だったり・・・・昼間から行くなよ熊師匠、に行くために教会本山に行ってしまった。


「皆は行ってしまったわね。」

「エリナ、そんな今生の別れじゃないんだから寂しそうにしなくても。」


「お兄ちゃん、私も残ってほしいと言ったけど何か皆には言えない用があるの?

チンチクリン絡みかな? 」


「実はな、芦高さんが進化してな、言葉が話せるようになったんだよ。」

「こんにちはソニア様、芦高なんだな。」


「えっ、えぇぇぇぇぇっ、しゃべった。ほんとに? お兄ちゃんの腹話術? 」

「違うわよ。芦高さんが自分で話したのよ。」


「へぇぇっ、そうなんだ。改めて始めまして芦高さん。ソニアだよ。よろしくね。」

「こちらこそよろしくなんだな。」


「メタリックなボディが素敵ですね。」

「ありがとうなんだな。」

「体も一回り大きくなって、強そうになったわね。うふふふっ。」

「ありがとうなんだな。」


「二人ともなんか、お見合いみたいになったわね。」


「あっ、ちょっと待って、芦高さんがしゃべれるようになったのも重要だけど、それは別に皆に隠すことじゃないんだ。

たださっきは言いそびれただけなんだ。


それよりももっと大事なことがあるんだ。」


「お兄ちゃん、どんなことなの? 」


「ちょっとここでは話せないので、アクア様の泉の神殿にこれから行こうと思うんだ。


ごめん芦高さんはここで待っていてくれるかな。

さすがに俺たちの家族と言っても魔物を大精霊の神殿に入れるのはまずいかなと思って。」


「僕のことは気にしないでいいんだな。

ここでオークでも探知して、いたら狩に行ってくるんだな。

何かあったら奥様が呼んでくれますか。急いで帰ってくるので。」


「芦高さん、ごめんね。一人にして。」

「別に気にしなくていいんだな。

僕も進化して、体だけでなく、心も強くなってきたんだな。」


「ふふふっ、そうね。芦高さんは本当に強くなったもんね。


魔族師団のど真ん中に特攻して、転写属性フィールドを発動させるなんてあなたにしかできないし、一人で人類の基地で待っていられるなんて心も強くなったわね。」


「そうなんだな、人と繋がるということが何となくわかったきたんだな。

常に一緒にいることだけが繋がりでなく、親しい人を思いやるとか、共通の目標のために別々になっても頑張るとか。」


「そうね、私たちと見た目は違うかもしれないけど、他の人たちなんかよりも、私たち家族としての繋がりは芦高さんの糸のように強固よね。

あの糸は鋼よりも強いもんね。」


「家族と言ってもらえると嬉しいんだな。

僕は家族としてやれることをやるんだな、たとえ離れていたとしても。」


「私も家族? 」


「もちろんだ。聞くまでもないよ。俺の妹だ。

チンチクリンとチンチクリン×2も普段は大精霊ではなく、俺の可愛い妹だ。」


「もちろん私の妹でもあるわ。

ちょっと大精霊の大おばあちゃんたちは妹と言うにはかなり抵抗、いいえ、やっぱちょっと無理。」


"誰が大婆ちゃんだ。

それよりも早くこっちにこい。待ちくたびれたぞ。

芦高も来てもいいぞ。ただしオークはいねぇぞ。"


「あっ、チンチクリンだ。」


"チンチクリンじゃねぇ。アクアちゃんだ。"

「あっ、アクア大お婆ちゃん。お久しぶりです。」


"ちょっと待て、俺を呼ぶのにチンチクリンか大婆ちゃんしかねぇのか。

泉の美少女とか水色の美女とか俺にふさわしい呼び方があるだろうが。

なぁ、シュウ。"


"貴様などチンチクリンでももったいないのじゃ。おもらしさんで十分じゃ。"


"なんだと、突然話に入って来たと思ったら、言ってはならねぇことを。

てめぇこそ、チンチクリン×2で、埃だらけの土の塊、土偶だ。"


"なんじゃその土偶と言うのは。儂はあんなにおしりが大きくはないのじゃ。

儂こそ大地の美少女と呼ばれるのにふさわしいのじゃ。"


"あああっ、土くせぇ。土の匂いがプンプンだぜ。"


"なんじゃと、貴様こそ、おもらしの臭い・・・・・、やめようかのう。ほんとに臭ってきそうじゃ。"


"おい、途中で止めるんじゃねぇ。本当に臭ってきたみてぇじゃねぇか。"


「芦高、よ~く見ておくのじゃぞ。


これが世紀の不毛な戦い、他人が見ればどっちもチンチクリンはチンチクリンだ大差ない少し黙れチンチクリンども大騒動と言うのじゃ。

まぁ、略してく〇みそ静かにしろじゃ。

わかったか。」


"ふぶき~ぃぃぃぃぃ、母に向かってく〇みそと言い放つとあぁぁ、いい度胸をしてるじゃねぇか。"


「や~だねぇっ。

妾はこれからここ第1083基地のシュウの部屋で昼寝の予定じゃ。

必須の予定だから曲げられんのじゃ。」


「と言うことなんで、芦高さんはお留守番で、他は相談事があるんで泉の神殿に行くよ。」

「「「了解で~す。」」」


「妾は残るのじゃ。あんなかび臭いところでは昼寝ができん。」

「芦高さん、例の風車を渡して。アクア様のところに持って行くよ。」


"シュウ、それはダメじゃ。

風の転移魔法陣の起動装置を持って、他の属性の神殿に行ってはならんのじゃ。

風見鶏が壊れるぞ。


それの風見鶏が本物の風の転移魔法陣であることはその魔力の性質から確認したのじゃ。

まずはその風見鶏を芦高にそのまま預けておけ。


進化した芦高を害することができるのは今のところ大精霊か覚醒した各属性の使徒だけで、他にこの地上にはそんな強者は存在しないのじゃ。"


「わかったよ、芦高さんそのまま預かっておいてね。」

「了解なんだな。このまま預かっておくんだな。

必要になったらいつでも言ってほしいんだな。」


「それじゃ、芦高さん以外は泉の神殿に行こうか。」


「ほんとうに行けるの? 実は私初めてなの。

お話はいつもできるんだけど実際に泉の神殿に入ったことがなかったの。

たのしみだわ、お兄ちゃん。」


「妾は絶対いかんぞ。昼寝するんじゃからな。」


"シュウ、吹雪だけはなにがなんでも連れてこい。

親の恩を忘れているみてぇだからな。

今一度、叩き込んでやるぜ、親のありがたさをな。"


「シュウぅぅぅぅぅ、行きたくないのじゃ。妾は行きたくないのじゃ。」

「じゃぁ、背中から離れてよ。でも、おばちゃんがいないと寂しいなぁ。」


「えっ、そうなのか、そうなのじゃな。

かわいい奴め。初めから一緒に行きたいと言ってくれれば喜んで付いて行くのにのう。」


「チンチクリン対おばちゃんの大婆ちゃん対決が見たいだけだけどな。」

「いや、い~やぁぁぁ、やっぱやめようかのう。

刃にカビが付くといやだし。漏らされると大変だし。」


「こらてめぇぇぇ、吹雪、もう許さねぇぇぇ。首をあらって、今すぐこっちへ来い。」

「や~だねぇぇぇ。妾はここで芦高と昼寝をすることに決めたのじゃ。

ほれシュウたちはチンチクリンのもとに早く行け。」


そのとき、無情にも泉の転移魔法陣が発動して、芦高さん以外は魔法陣からその姿を消したのであった。


吹雪の消息や如何に。

吹雪の運命や如何に。


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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