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28話目 魔族との再戦の顛末 後編

「続いて、第108独立旅団関係のことを話すわね。


ここ、第1084基地は当面第103師団が運営に当たります。


第1083基地は第34師団が運営に当たります。


第1081と1082基地は第31師団が運営に当たります。」


その上で我が108師団の最前線司令部は第1083基地内に設けます。

まぁ、私と特攻隊長、今は女神さまだっけ、がいるところがどこでも司令部なんだけどね。


第34師団は魔王様、ごめんね魔王様のご息女様、の薫陶が良く行き届いているため、私たちの手足として使ってよいそうよ。


良かったわね、女神様。信徒(ただし、若い独身男に限定)が選び放題よ。」


「突然、第4軍団が乗り込んでくることになった経緯を教えてください。」


「カメさん、大人の事情よ。まぁ、隠すつもりはないから説明するわね。


これから第1083基地でこき使う相手ですものね。」


せめて、一緒に運営するとか、運営の実務を依頼するとか言い方があるでしょうに。


「先日、教会本山の軍総司令部で軍団長会議があったの。

もちろん、人類最凶戦力を有する我が旅団も呼ばれたわ。

当然、席は上座ね。」


円卓会議じゃないのか?

上座って何?


「議題はくだらないことに、解放した社の運営についてだったわ。


もちろん、解放した軍団が本来は運営も行うはずなんだけどね。

我々旅団が解放したところは運営権は当然旅団長が握っていても、実際の運営は私たちと仲のいいというか言うことを聞きそうな軍団にまかせているじゃない。


これまで旅団が解放したところを第2軍団が私たちの依頼で代理運営するのは仕方ないとしても、第1軍団も同じような待遇になるのはおかしいという声が上がってきてね。


まったく、軍人なんだから自分で魔族に特攻して社を解放しろよと言ったんだけどね。」


「言っちゃったんですか? 声を出して? 」


「えっ、もちろんよ。

せっかく上座に座っているのよ。

何を言っても許されるから上座なんじゃない。」


うぇぇぇ、上座じゃなくて、死神座だ。

確かに何を言われても反論できないよな。大鎌が怖くて。


「それでも、そう言う利権がらみの時はしつこいのよね、女に迫るときもそうらしいけど。」


一体どなたのことでしょうか。


「あまりのしつこさに絶対上座にお座りのお方が、いつもは微笑みながら聞いているだけなんだけどね、ついに切れたわ。」


「確かにあの時はこの世の終わりかと思ったわね。あんなに怒るんですもの。」


えっ、怒特攻大魔人様よりも起こると怖い人って・・・・・、ああっ、いたいた。いたよ真の魔王様か。

しかし、絶対上座って何だ?


「そうそう、私なんてビビッて無意識にこの大鎌を構えちゃって神にどうか無事に旅団のみんなに会えますようにって、神様に祈っちゃったわ。」


死神さんが祈る神って・・・・・・、さすがにこれはわからんな。


「えっ、そんな絶対権力者が軍にいるの。だれだれ、教えて。

今度、シュウのお給料が一杯上がるように交渉しに行くから。」


エリナちゃん、さすが俺の天然平目ちゃんだ。そのまま世間の汚れを知らずにすくすく育っておくれ。


「「「・・・・・・・」」」


「まぁ、陰の絶対権力者様なので、お名前を言うのは控えさせていただきます。

エリナ様にチクったことがばれたら・・・・・、考えるだけでも恐ろしいことが。だからこれ以上聞かないでね。」


「えぇぇぇぇっ、ケチ~ぃ。

じゃ、ヒントだけでもお願い。

シュウはわかるのだれだか、その軍の絶対権力者? 」


俺を今の境遇に叩き落とした方です。

まだ75日経っていないので、正面から教会本山に行けなくさせられた方です。

ちなみに、俺らの親族です。


「ええと、その話題を続けるとお先が真っ暗闇だから、ここで切りましょう。


その絶対上座にご鎮座している方がどう怒ったかというと。


"ろくに働きもしないで甘い汁を吸おうというのが間違いなんだよ、ハゲ。


わかった、いつまだで議論しても結論が出なさそうだから、第108独立旅団の承認が得られるのなら、我が第4軍団と我妻の第10軍団より代理運営の部隊を出しましょう。


死神さんと特攻隊長さんはこれでどうですか。"


と、おっしゃられました。

もちろん私たちは間髪を入れずに首を縦に5回/秒を10秒間振り続けて全く無抵抗で受け入れを許諾しました。あの時の首の筋肉痛がいまだにとれんわ。


いや何て言えるはずがないでしょうに。絶対上座にお座りのあの方に対して。」


「だ・か・ら~ぁ、その絶対上座にお座りの方を教えてください。

シュウのお給料の値上げを交渉しに行くんだからね。」


エリナがあのお方にとって絶対許可できないような我がままをいっても笑って許してもらえる間柄であることを俺たちが知らなかったら、間違いなくエリナは勇者認定なんだがな。


普通にお小遣いを母親にねだりに行く構図しか俺には思い浮かばん。


そして、俺には給料UPの代わりに例の記憶玉を直販して、それで給料を補填しろとか普通に言われそうじゃね。


えっ、まずいぞ。あり得る。エリナ、行っちゃだめだ。

せっかく75日を目指しておとなしくしているのに。自分で記憶玉を売りに行くなんて。自ら噂を広げに行くみたいなもんじゃないか。


「エリナ勇者の件は取り合えず置いといて。


そう言うわけで、鬼、大大大魔王様様様の一声で第34師団がここに派遣されることになりました。


第4軍団と第10軍団としてみれば、まぁ、ただで運営場所が増えたみたいなもんですが、如何せん、絶対王者からの厳命で旅団からのお願いというか、依頼はすべて絶対上座様の命と心得よというお言葉を賜ったみたいなのよね。」


それは災難というか天災というか、人災とはちょっと違うレベルの大きな意志が働いて身動きがとれない、自由な裁量の余地がないただの使いっ走りというわけですな。


師団長をはじめ師団司令部は慣れない場所で、しかも、我がまま放題の死神さんと女神さまに振り回されるのが目に見えているな。


全員、胃潰瘍決定だな。

そっと、自家製の胃薬を作ってあげようかな。

ドクダミ茶。トイレの裏に生えていたやつで。


「というわけで、第1083基地で困ったことがあったら何でも第34師団に言いつけてね。最優先で解決してくれるから。


取り合えず私は第2軍団に直接連絡が取れる専任連絡要員を24時間常時駐在体制を要求? 依頼? 命じたわ。


そのおかげで、第2軍団のことが手に取るようにわかるようになったの。

特に彼♡のことはすでに第2軍団の中にも協力者を数百名確保したわ。


これも絶対上座様のご配慮ね、きっと。」


第2軍団内に死神さんの私設スパイ組織が存在するってこと。

ストーカーもここまでくれば軍の諜報組織と変わんなくなってきたな。

取り合えず彼♡さんの逝きつく先を案じて合掌しよう。南無~ぅ。


「だ・か・ら~ぁ、その絶対上座にお座りの方を教えてください。

シュウのお給料の値上げを交渉しに行くんだからね。」


おおっ、ここにも守銭奴教初級司祭の名に恥じずしつこく俺の賃上げを求める似非勇者が存在したか。


「それに関しては別途、軍令があります。シュウとエリナここに来なさい。」


「「はい? 」」


「第108独立旅団第3小隊長シュウ。

先週付で剣士6級に昇級、一昨日付で剣士2級に昇級、そして今日付けで戦士10級にへの昇格命令が出ています。


次に、第108独立旅団第3小隊隊員エリナ。

先週付で術士5級に昇級、一昨日付で術士1級に昇級、そして今日付けで道士10級への昇格命令が出ています。


二人とも昇級、昇格おめでとう。

これで初級幹部職です。

これでますます第34師団に好き勝手なことが要求できるようになりましたね。

おめでとう。」


どこにおめでとうと言っているんだ、闇の死神大魔王様は。

昇格したことかな、それとも、好き勝手な命令ができるようになったことに対してかな。

まぁ、どっちでもいな、給料が上がるのか。今夜はお祝いだな。


「他の職校生も軍に所属した時点でこれまでの功績が評価されていきなり昇級よ。皆、術士10級から入隊の次の日に術士4級になることが決まっているわ。

だから、カメさん、卒試頑張ってね。」


「あっ、はい。頑張ります。


僕は、僕のチームはこの旅団に入隊を希望していますが受け入れてもらえますか。」


「もちろんよ。他に行ったらこの大鎌が後ろから襲ってくるのを覚悟しなさいね。おっほほほほほ。」


「ありがとうございます。


おそらくはおまけはチームも入隊を希望してくると思いますので同様によろしくお願いします。」


「ということで、第108旅団は1か月間活動を自粛します。卒試が終わるまでね。

実は魔法協会での仕事がたまってて、新たな動きができないのよね。


何にせ、ソニア様と熊さんでさえ、職校での講義と演習が溜まっててね。


カメさんたちはこの期間は卒試に向けて全力を尽くすこと。

なんだかんだあったけど、やっぱりみんなまだ職校生でしょ。

職校生としての過ごせる最後の時間を大切にね。


ボルガ君は職校に戻ってもらうとして、後はシュウとエリナね。

あなたたちは好きにしていいわよ。この期間はいわゆる休暇よ。


新たな戦場を求めてもよし、その時は全軍団がお手伝いしてくれるそうよ。


また、職校に戻って勉強・・・・、これは例の噂が消えていないか行かない方が無難ね。


まぁ、第34師団に頼んで講師を派遣してもらうのも良いと思うわ。

午後であれば私たちが訓練に付き合える日もあるし。


あと、そうそう、毎日教会本山近郊の農村にピクニックもいいわね。


まぁ、好きに時間を使って頂戴。

ただし、連絡は忘れずにね。第34師団の旅団専用の諜報部隊に伝言を残してくれればいいから。」


エリナ、明日からどうしようか。

まずは風見鶏の相談にちんちくりんズとのころだな。


いよいよ、次回からは新章が始まります。お楽しみにね。


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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