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27話目 魔族との再戦の顛末 中編

「シュウとエリナ、ここは大事なところだから覚えといて。


この協議の前に魔族2個師団がすでに壊滅していることを知っていれば、協議などをせずに残った右側面の魔族師団に反転追撃を敢行できたわ。


結局、この協議では魔族3個師団のうち、左側面の魔族を3個師団で一斉に攻撃することに決まったの。


しかし、いくら探索隊を放っても左と正面、そして右の魔族師団を発見することができなかったとのことよ。

つまり、魔族2個師団シュウたちが壊滅させ、もう1個の魔族師団は撤退したということね。


シュウたちの戦闘報告が即座に行われたら、右側面の魔族師団への集中的な探索がなされて何とか戦闘に持ち込めたかもしれないの。


でも、実際はすでに壊滅した敵の探索を優先させ、多くの時間と人員を割いてしまったということなの。


魔族3個師団を壊滅させた功績は素晴らしいわ。

どんなにシュウたちに批判的な人であれ、称賛を惜しまないでしょう。


それでもシュウたちは昨日の午後にやれることをすべてやったと言い切ることができますか。


魔族との戦争は一人一人がその時々にできることを精一杯やりきらないと勝利が見えてこないと思うわ。

昨日、自分たちが精一杯やり切ったかをもう一度考えてほしいの。


そして、そうでなければ、せっかく生き残ったんだから、次の機会にはすべてを出し切ってもらえないかしら。」


「改めて、すいません。

中隊長の話を聞くまでは、このぐらいやったからもういいやという自分がいました。


師匠たちからは生き残るためにあらゆることをしなさいと言われていたのに。


師匠たちの言葉を蔑ろにしてしまいました。

反省してます。」


「私もです。

あの場で情報伝達ができたのは私だけなのに、完全に戦闘終了の安堵感と勝利の高揚感に浸って、やるべきことを見失っていました。


反省してます。」


「まぁ、生き残れたから良いと思うわよ。


戦場では感情のままに行動するとどんなに強い者でも足元をすくわれるわ。


冷静に、臆病に、そして時に大胆にこれからの戦場を生き抜いてちょうだい。」


「「わかりました。」」「きゅぴぴ。」


「ちょっとわからないのだけど、なぜ魔族は撤退する第12師団を追撃して壊滅を狙わなかったのかな。

3個師団あれば十分に包囲、殲滅戦に持ち込めると思うんですが。


逃げる第12師団を無視して、まるでただその場にとどまっていたのが不思議です。

社でも守っていたのでしようか。」


「今回の戦闘で発見された社は1つね。ここ第1084基地だけのようなの。


だから第12師団を囲んだ敵師団が社を守っていたということではなさそうね。」


俺はそっとエリナの方を見た、見ないではいられなかった。


「シュウたちは戦闘の後と今朝も社を探していたんでしょ。

緑の魔石を発見したのは知っているけど社はなかったの。」


「ええと、魔族の社はありませんでしたね。

芦高さんにも探してもらいましたけど見つからないようでした。


進化した芦高さんでも見つけられないということはこの付近にはないと思いますよ。」


「そういえば、私の芦高さん進化したんですってね。

そう言えばこげ茶色からメタリックなボディに変わったような。」


今気づいたのか、闇の死神大魔王様は。


♡の世界に生きているようですからで世の中のすべてのものがピンクに見えます?

そうですか。それは楽しそうで良かったですね。


「昨日、ここで12魔将とその師団を殲滅した後に急に苦しみだして、脱皮したらメタリックなボディになっていました。


なんでも魔法攻撃無効、物理攻撃無効の凶悪ボディになったということでした。」


「私の芦高さん、素晴らしいわ。

召喚したかいがあったというものよ。


私があなたの主よ。

私の指示に従って、頑張るのよ。」


芦高さんに触れようとした闇の死神大魔王さん、芦高さんは嫌がるように足を一振り。


吹っ飛んで行きました。死神さんが。

そして、向こうの出来ばかりの宿舎の壁に、すさまじい衝撃音と共に激突。


からだが壁にめり込んでいます。


「大丈夫ですかね、死神さん。

死んだら私の教会で追悼集会をしましょう。良い信徒集めの機会だわ。」

死神さんの安否よりも美と慈愛の女神の布教活動が大事になってしまった似非女神さん


「死神だし、不死身でしょ。

すぐに目を♡にして戻ってきますよ。」


目を♡にして全身血だらけの・・・・・、ある特殊な趣味に目覚めたみたいですね。闇の死神大魔王様。


「もう、痛いじゃないの。

真の飼い主の私に何ということをするの血だらけじゃない。

怪我したらどうするの。」


「怪我したから血が出たんじゃないんだ。さすがは死神さんだ。」ボソ

「壁に激突、血だらけ、でも怪我はなし。さすが不死身ね~ぇ。」ボソ

「お~ぃ、なんで血が出たんだよ~ぉ。」ボソ


「私たちの愛の前にはそんな物理攻撃何て意味をなさないわ。」

"ぐきっ"


「あっ、腕が明後日の方を見てプラプラしているわよ。やっぱり怪我しているんじゃないかしら。」ボソ

「いや違う、エリナさん、皆、よく見て。あれは、第2軍団の方を見ているんだ。」ボソ


「ということは、私たちと話している間でも彼のことが気になって、腕をわざわざ折って、第2軍団の♡の方に手を振って♡なことをアピールしているということなのですね。


何という彼への思い、彼女こそ美と慈愛の女神にふさわしい信徒だわ。」ボソ


「死神にストーカーされるぐらい♡なんて、もう人生の終末ということでいいのか。」ボソ


「そうなのだよ、シュウ君。

例え一時期は命が繋がっても、もう長くはないってことだよ。

ご愁傷さまでした。♡の君。」ボソ


「うぁぁぁぁ、手が折れちゃった。

話の途中で悪いんだけど、ちょっと待っててね。直すから。

あっ、それ。」


治っちゃったよ。まぁ、優秀な水魔法術士だからすぐ治せるとは思ったけど。なかなかシュールなところを見てしまった。


「まぁ、いいわ。芦高さんとこのとはのちのちじっくり仲良くなることにして、第2軍団の話よね。」


腕の話は終わったってことでいいの?

普通だったら重症で大騒ぎだよ。

ええっと、なぜ皆も平然としていられるの。


「「「死神さんだから。」」」ボソ


「第2軍団は昨日の初めに囲まれた位置に最前線用のベースキャンプを設置して、さらに社と取り逃がした魔族師団を引き続き探索するそうです。


何せ、昨日の包囲戦では奇跡的に人的被害が出なかったそうですから。」


「結局、魔族は第12師団を包囲して何をしたかったのかしら。」


「多分、シュウ君の小隊を恐れていたのかも。


囲んだのはいいけど、この戦闘地帯にはシュウ君たちがいるので闇魔族師団は瞬殺、炎魔族師団は芦高さんの氷魔法とシュウ君の雷魔法でやっぱり瞬殺されるのを警戒したというか、シュウ君がいないことを確認したかったのかもしれませんね。


それにしては全くちょっかいを出さないというのもいまいちしっくりきませんが。」


また、思わずエリナの方を見たしまった。

エリナもこちらを向いて頷いている。


おそらく、第12師団を囲んだ魔族3個師団は例の風見鶏を守るための軍団だったのではないか。


攻撃よりも第12師団が社を探索できないようにするのが役目であるため、ちょっかいを出して社がここにありそうだということを匂わすことをためらったのではないか。


もう一つ、ここで戦った12魔将が率いた師団は俺と決戦をするために派遣された師団ではなかったのか。


風見鶏を探索される前に俺たちを葬るのが役目だったと思う。


2か所で同時に魔族と人類が遭遇したのは、魔族側からすると俺たちの目が風見鶏のあるところに向きそうなため一番嫌な展開だったかもしれないな。


事実、12魔将との戦闘だけであれば風見鶏のある方向に俺たちは進出していなかったと思うし。第12師団が・・・・。


そうか、第12師団を攻撃も追撃もしなかったのは下手に第12師団と戦闘になり、俺たちがその援護に来ることを嫌ったということじゃないか。


俺たちが援護に行けば風見鶏を見つける確率が上がると踏んでのかもしれないな。


ただ、一つまだすっきりしないことがあるな。

なぜ、風見鶏を魔族が破壊やもっと安全な場所に移さなかったかだな。

闇の呪いだけで放置するなんて。


風属性と魔族か。

後でちんちくりんちゃんたちに聞いてみればわかるか。


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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