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14話目 魔族との再戦 中編 私は鬼になりましょう、地獄の鬼に

「その前に巨大炎の塊、いえ、これはメテオストライクよ。」

「まずは、芦高さん、全魔力1/3を使って氷属性フィールドを展開。水平だけでなく上にも展開して。そしてトーチカ全体を覆うようにアイスシールドを展開。」

トーチカの中のタイさんから指示が飛ぶ。


「おかしい、質量が感じられない。

シュウ、これはメテオじゃないわ。巨大なファイヤーボールるよ。」

「じゃ、エネルギーの塊か。

「よし、暴風を転写してくれ。暴風とダイヤモンドダストで火の玉を冷やしつつ、吹き飛ばす。」


「了解。それ。」

「じゃ、強力ブリザード行きます。それ。」


俺は落ちてくる巨大なファイヤーボールに向けて絶対零度とはいかないが-200℃まで冷やした氷の粒を前が見えないほど密集させ、一気に暴風に乗せて吹き飛ばした。

見た目はブリザードであるが氷の異常な冷たさと風の強さで飛んできた巨大な炎の塊はわずかに抵抗した後に俺たちの魔法の威力に負けて、どんどん小さくなりながら俺たちのいる場所とは別の方向にはじけ飛んで、やがて消えてしまった。


「エリナ、敵偵察中隊とそれから本体までのとの距離はどう?」タイさん


「敵偵察中隊は先ほどのファイアーボールとシュウの強力ブリザードで消滅したか、本体と合流したみたいです。

敵本体はここから距離1.5kmまで接近したわ。敵最後尾まではここから約2.5kmです。

そして、横は約1.0kmまで広がっているわ。敵本体の数はだいたい1個師団と言うところね。

あっ、待って、敵はさらに広がりつつあるわ。」


「おそらくシュウの雷フィールド対策ね。密集していると雷の無限チェーンにやられることが漸くわかったみたいね。」


「芦高さんのアイスフィールドはどこまで展開できているの。」

「ええと、ここから1.2kmのところで氷と炎がせめぎ合っているから、敵の300m手前までは芦高さんのフィールドね。」


「よし、それでは芦高さん、氷属性フィールドにさらに魔力を注いで氷属性フィールドを強化。敵を包んじゃって。

魔力はいざというときのために1/3は残しといてね。

それ以外はすべて氷属性フィールドに注いじゃって。」


「きゅび。」「了解だって。」


「氷属性フィールドをさらに強化中ね。敵の半分まで覆ったわね。」

「あっ、先ほどよりも強力で巨大なファイヤーランスが飛んできたわ。」


「シュウ、アイスシールドを展開。消し去って。」

「了解。」

「うっ、芦高さんの氷属性フィールドの中でもなかなか威力が落ちないわ。来ます、」


俺はアイスシールドを目視できるようになった巨大なファイヤーランスの前に展開した。


ファイヤーランスとアイスシールドの激突のため物凄い量の水蒸気が発生して、辺りは白い霧で覆われ、全く前方が見えなくなってしまった。


「シュウ、ファイヤーランスがアイスシールドを突破しそうだわ。

もう少し強化かして、そして消し去ってファイヤーランスを。」

「わかった。」


さらに、水蒸気が発生し、氷の解ける音が辺り一面に響き渡った。

「かなり強力な炎魔法のようだわね。また、12魔将かもね。」


「防御は何とかなりそうだから、こちらも反撃しましょう。」

「シュウ、先ほどの強力ブリザードを敵本体全域に振りまいて。魔力は1/4まで使って。

そして、2分後に雷属性フィールドを敵全面に魔力の1/4を使って展開、

できれば芦高さんのアイスシールドの下を潜るように展開して。

できそう? 」


「もともとすべてがエリナの魔法フィールドなんで相性はいいと思いますよ。

水魔法と雷の水-風共魔法なんで、威力も減弱するというより相乗的に強くなると思いますし。

あっ、そうか。

もしかして、氷や水を放電の媒体にするんですか。

そして無限雷地獄を展開するにですね。タイさん。」


「その通りです。私は鬼になりましょう。地獄を演出するために地獄の鬼になりましょう。」


「それでは行きます。」


まずは芦高さんの氷属性フィールドに乗せてブリザードを広範囲に展開。


この間にも魔族の炎攻撃は続いているが既に魔族の部隊のほとんどを芦高さんの氷属性フィールドが覆っているため、こちらに届くことはない。

魔族の上ですべて水蒸気となってしまっていた。

時たま例の強力なファイヤーランスが飛んでくるがやはり、こちらに届く前に水蒸気となって果てていた。


ブリザードに乗った氷は魔族のほぼ全域にいきわたり、そして魔族の炎魔法により水滴となって、水滴が集まり大雨になっていた。


苦し紛れかもしれんが例の黒い霧を出そうとした魔族がいるようだがこの大雨により洗い流されて、闇属性フィールドを展開することはできないようだった。


「魔族が氷属性フィールドとブリザードにすっぽり覆われたようです。」

「では、シュウ。

雷属性フィールドを展開して。

目標、前方魔族師団。放て。」


俺はいつものように雷属性フィールドを展開した。

いつもより地を這うように薄く広く、そして速く。


時々岩にぶつかって、パチッとすさまじい音とともに閃光が走る。


綺麗だ。


閃光が氷や雨粒に反射して、キラキラ光り、幻想的な光景を生み出した。

先ほど発生した大量の水蒸気はすべて雨となるか、或いは氷属性フィールドに触れて、今度は逆に、氷の粒となって雪のように舞っている。


その中を稲妻が走った。


稲妻は行き場を求めて魔族のいる場所を迷走している。

稲妻は雷属性フィールドの展開とともに大波が押し寄せるように魔族に襲い掛かった。

そして、そこには稲妻が伝わる水が大量に存在した。

一斉に襲い掛かる稲妻の波。


タイさんは地獄と言ったがここから見ていると閃光が幾筋も走り、きれいな光の芸術にしか見えない。


しかし、その閃光が芸術でないことは音を聞けばわかる。

すさまじい音、稲妻が走るたびに奏でる爆発音とその中に巻き込まれた魔族の悲鳴。


やはり地獄が出現したようだ。


それを演出したのは鬼。

地獄の鬼が這い出できた。


やがて、閃光と爆音の地獄の演武が終わったとき、現れたのはやはり地獄。地獄絵だった。

土砂降りだったにも関わらず一面の焼け野原を、今も戦場に立っているものだけが見ることができた。


「エリナ、敵の様子はどう? 」

「立っています。一体だけ。

そして、ゆっくりとこちらに向かっています。」


「あの地獄を生き延びた魔族がいるのか。僕には信じられない。」

「おそらく、12魔将ね。前もそうだったわ。


芦高さん、氷属性フィールドの維持とアイスシールドの準備をお願い。

敵が何か撃ってきたらシュウを守って。


シュウ、相手はふらふらよ。

おそらくできてももう一回あのファイヤーランスで攻撃できるかどうかの状態よ。

シュウの雷属性フィールドをまともに受けて生き残った敵に敬意を表して次のサンダーランスで決着をお願い。

これ以上戦わなくてもいいように。」


その時だった。一面の焼け野原に心の底に響くわたるような声が聞こえたのだった。


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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