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13話目 魔族との再戦 前編 また引いちゃった

それからさらに2日かけて、ベースキャンプを設置した。


何とか、縦穴式屋根はシート一枚住居は回避してもらい、男4人は第32師団のベースキャンプに間借りすることになった。

こちらは4人1部屋で、床にゴザを敷いて寝袋で寝るような簡単な作りだった。


でも屋根と壁が土と石で出来上がっており、建物の作りとしては非常に強固なものとなった。


旅団の女子部屋は個室でベッド有りと言う基地とあまり変わらない施設に仕上がっていた。

どうせ1週間も使わないのに何故ここまでこだわるのか聞いたところ、魔族の襲撃があったときにはここがまさに最前線基地となり、このキャンプの建物がトーチカの代用となるとのことだった。


シュウは連戦連勝のため防衛施設の重要性の認識が甘いのではないかと死神さんにたしなめられてしまった。


じゃぁ、俺たちの宿泊施設も強固な作りにしてほしいとお願いしたら、だから縦穴を掘って、シートをかぶせ、そこに土を掛けて地面のふりをするのが一番確実な防衛施設だなと言われて、また、穴掘り用のスコップを持たされそうになったので、失礼しましたと捨て台詞を残してダッシュで居候させてもらっている宿泊施設に立てこもったのは、今から考えるといい思い出である。


さぁ、今日からまた探索である。


同じように第10832ベースキャンプの前方を仮想エリア11~20に分け、A部隊が仮想エリア11、12、19、20、17をB部隊が仮想エリア15、16、14、13、18を5日間かけて探索することになった。


仮想エリアの両脇は第32師団が探索に当たることになっている。


探索が終わったら、また、同じように仮想エリア17と18の境目で、且つ、魔族領域との境目の地点に第10833ベースキャンプを設置し、次は仮想エリア21~30の探索となる。


ちなみに、この旅団の探索地域の隣が第2軍団の探索地域となる。

第2軍団の探索ペースが旅団のだいたい半部のため、両軍の探索のペースを調整する必要がある。


そのために第10833ベースキャンプを設置した後は第2軍団が探索を終了し、同じような地点にベースキャンプを設置するまで我々旅団は設置した第10833ベースキャンプを第32師団に任せて、第1083基地に戻り、休暇に入ることになる。


第2軍団の探索ペースにもよるがおおよそ5日間の休暇になると思ったが、第1083基地から第10833へースキャンプまでは往復2日かかる計算なので、実質の休暇は3日間だけとなることに後から気が付いて、エリナとともに盛大な溜息をもらした。

そしたら、似たもの夫婦とリンカさんに笑われてしまった。


で、結局のところ仮想エリア11~20でも魔族の部隊と社は見つからなかった。

さらに、第2軍団の探索の方でも何も見つからなかった。


秋から冬に季節は移動し始め、下草も緑から枯草色に変わってきた。

この地域は雪が降ることはないが、吹く風が冷たく、そして強くなってきた。


俺とエリナはこれから探索することになる仮想エリア21~30の方を見まわしていたのだが、早朝と言うこともあり吹く風が冷たくて体が冷えてきた。

エリナはここぞとばかり俺に引っ付き、暖をとるというか、それよりも俺にくっつくのがうれしいのか頬を少し赤らめていた。


さらに次の日、俺たちB部隊は第10833ベースキャンプを出発し、仮想エリア25の探索を始めた。


探索は気温の問題から日の高いうちにベースキャンプに帰ってこれるように9時に出発する必要がある。

まずは仮想エリア25を探索し、魔族との境界線に到達後に左に向かい、仮想エリア26に到達。到達後さらに左に曲がり、ベースキャンプに帰投するコースで探索を行う予定である。

この帰投コースを1ベースキャンプの方に1km戻ったところで、昼食となる。

その後、だいたい15時に帰投するという探索計画となった。


途中携帯食ではあるが昼食をとるということで探索時間は5時間から6時間に延長されていた。


俺たちはその日も順調に探索をこなし、仮想エリア25の先端に到達後、左に曲がり仮想エリア26の境目までやって来た。

今日も収穫なしかという安心感にも似た雰囲気がB部隊に漂ってきたころ、ついに芦高さんがやつらを捉えた。


「きゅぴぴぴ、きゅびー、ぴきゅきゅきゅ。」

「ここから魔族領域に2km入ったところに魔族と魔物の中隊を発見。

規模とその移動の様子から偵察部隊と思えるだってさ。」通訳さん


"シュウ、私も捉えたわ。その偵察部隊は中心部に魔族10体、周りを魔物が100体ほど取り囲んでこちらに移動してくるわ。"


"エリナは引き続きその中隊の動き追って。

芦高さんはその後ろにいると思われる魔族の大部隊を探して。

俺はタイさんたちにエリナ情報を伝えるよ"


"了解"「きゅび」


「タイさん、エリナが魔族の偵察中隊を発見した。

ここから前方2kmをこちらに移動しているとのこと。


エリナは引き続きその中隊を追っている。

芦高さんには敵中隊の後ろに何かいないか探ってもらっている。

B部隊へ指示をお願い。」


「ついにひっっ掛かりましたか。いつも私たちなんですよね。ふ~ぅっ。

さぁ、気合を入れて対処しましよう。


まずは、カメさん。ベースキャンプの死神中隊長に魔族発見の第一報を、我々はここで敵本体を探索する予定だが、別途指示があるか聞いてくれる。


エリナ、敵の偵察中隊がこちらの500m以内に接近したら教えてくれる。


越後屋さんは敵偵察中隊が500m以内に侵入して来たら、ここにトーチカの建設、いやもうトーチカは作ってくれる。

出来上がったら芦高さん以外はその中に入って、そして敵が500m以内に入ったら、トーチカの前方100mに高さ2mの土壁を30mにわたって構築して、土壁の前を掘って、水を貯めて堀にして。


敵偵察中隊が500m以内に入るまで死神中隊長より指示がない場合は敵偵察中隊を殲滅します。それはシュウ君に任せるので準備をよろしくね。


芦高さんはシュウ君の指示通り、敵本体を探して。


以上よ。」

「「「「了解。」」」」「びきゅ。」


「きゅぴぴぴ、ぴきゅぴぴ。」

「敵本体発見、中隊間後方さらに2kmだって。」


"エリナわかるか。"

"ちと見てみるね。・・・・・・、まだ、先頭がいるぐらいしかわからないわね。でも黒い霧はないわね。魔族の姿がはっきりと見えるわ。"


"とりあえず、エリナは偵察中隊を、芦高さんは敵本体の監視を継続。"

"わかったわ。やはりゆっくりと偵察部隊がこちらに来るわね。距離1700mよ。"


「トーチカができたわ。皆、入って。芦高さんはごめんね。」

「俺は芦高さんと一緒に外にいるよ。

まだ、魔族は来ないし。芦高さんが敵本体の全容を掴んだらエリナにすぐに連絡できるようにね。」


「わかったわ、敵が500mに入ったら一端エリナそちらにやるから攻撃をお願い。」


「中隊長から連絡有。


第2軍団の探索領域で第12師団と魔族1個師団が交戦開始。

そちらは第22、2師団の応援で対処するとのこと。


旅団は正面の敵を足止めして、第12師団の側面や背面に敵が回り込めないようにするとのこと。


B部隊はそのままとどまり、敵本体があればそれを足止め、可能ならば殲滅せよ。

第32師団で今から応援に行く。到着は9時間後になる。


旅団A部隊と第3212、3214大隊は3時間後に合流予定。」


「探索している両軍が同時に敵に遭遇するとはね。ここは正念場になるわね。

12魔将が出なければいいけどね。」


落ち着け、いつものように。来るべき時が来た。

今回は迎撃戦だ。

そして追撃戦に移る。


しかし、なぜ敵本体は黒い霧を出さない。

魔族お得意の闇魔法フィールドじゃないか。

なぜ出さない。


「闇魔法術士が少ないんじゃねぇのか。だとしたら、もう一つの得意魔法属性、炎だな。

シュウ、余裕のあるうちに氷魔法をエリナに転写してもらえ。芦高もだぞ。」


"エリナ聞こえたか、氷系と雷系、スピードアプを転写をたのむよ。芦高さんにも"

"わかったわ。それ、それ。それ。"


"芦高さんは防御を俺は攻撃を担当しよう。

特に魔族からの初撃にはアイスシールドの魔力の出し惜しみはしないでね。

その一撃が勝敗を決めるという予感がする。"


「シュウ、来たわ。敵本体からの炎魔法属性フィールドよ。」

「よし、予想通りだ。芦高さん、氷属性フィールドを展開。敵魔族本体の前衛まで広げてくれ。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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