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11話目 休暇ウォーズ

夕食のキャンプ飯を食べているとエリナが話しかけてきた。

「明日の午後はどうしようか。休暇なんて久しぶりよね。

ねっ、ねっ、デートしよ。」


「あっ、ああっ、いいね。デートか。なんか恥ずかしいな改まって。」

「何を言っているの、新婚さんがデートするのは当たり前でしょ。」


「いいよ。でも、午後だけだよね。あと、例の二人、特に特が付く人にはばれたらいけないような気がする。」

「うふふふっ、後をつけられたりしてね。」


「それは絶対ないと思うけど・・・・・、妨害ぐらいは覚悟しないとね、ばれたら。

ベースキャンプ地の様子を偵察してこいなんていう指示を平気で出しかねないもんな。」


「それじゃ、秘密ね。

2人だけの秘密のでデート。何しようか。」


「俺としては一度は門前町に行ってみたいけど、

まだ、騒動を引き起こすのは嫌だし・・・・・、ピクニックなんてどう。お弁当持って。」


「いいわね。門前町と反対側の農村地帯にでも行ってみましようか。

そこで、お昼を食べながらゆっくり、のんびり、だらだら、・・・・・

・・・・・ そして、夕方になり、2人は見つめ合い、自然とお互いを引き寄せ合って、・・・・・、

ちゅっ・・・・・・。

うぁぁぁぁぁぁぁ、

なんかちょう恥ずかしいんですけど。シュウのエッチ。」


エリナが突然絶叫したので、周りにいた皆が俺たちの方を興味深げに覗いていた。


「エリナ、どうしたの。突然叫んで。

目立つとまずいよ。例のコンビが来るぞ。

ほらやっぱり。」


「シュウとエリナは元気が有り余っているようねぇ。若いって羨ましいわ。


私たちなんて、軍司令本部が明日緊急会議を開きたいとの懇願があったので、絶対行きたくないと言ったんだけど、どうしてもと土下座する勢いで先方が懇願してきたのでしょうがなく行ってくるわ。


お詫びに門前町のあの高級レストランで食べ放題、飲み放題してもいいと言ってくれたんでね、


別に食べ物に釣られてたんではなく先方の懇願に負けて会議に行ってやることにしたんで、はぁ、休暇がなくなったの。

どうしてくれるのそこのカメ、お前のせいだ。」


「なんで僕が出てくるの。巻き込むのは止めてください。

でも、こんな事言っちゃぷっちゃけ過ぎて悪いんですけど、もともとの休暇の予定は何でしたか。

旅団で決めた休暇なんですから、会議を断ることも可能だったと思います。」


カメさんっこみすぎ。大事な予定がないから、会議に行くんでしょ。食い物に釣られて。


「もともとの予定は、それは、ソニア様のケーキ屋巡りのお付き合いだ。これでも私は白魔法協会の参議で、ソニア様の秘書だからな。」

「えっ、ケーキ屋行こうって言ったら、予定が入っているからいけないって言ってたよ。」


ソニア~ぁ、空気を呼んでそこは一緒に行く予定でった、でも残念と言ってほしかった~ぁ、お兄ちゃんとしては。


「ほほ~ん。ソニア様の申し出を断るほどの大事な予定ですか。」


カメさんももういいじゃないか。予定なんてないんだよ。見栄で予定があるようなことを言ってみただけだよ。わかってあげようよ。


「シュウ、その残念そうな目で俺を見るんじゃねぇ。

本当に予定はあったんだ。ただキャンセルされただけだ。」


ほんとかなぁ。


「シュウ、そういうことにしておいてあげましょうよ。大人の女性にはいろいろあるのよ。」


エリナ、カメさんよりもジト目の目が細いよ。

もう、皆でこれ以上言うと大魔神化するぞ特攻隊長が、休暇がなくなるぞ。


休暇がなくなって困るのは、あっ、俺とエリナとソニアだけだな。


熊さんは昼は剣の稽古、夜は飲みに行くので休暇があってもなくても同じ。


卒試間近の職校ズたちは試験勉強と模擬戦で、休暇がなくなると模擬戦が演習か探索になるだけなので休暇のあるなしに関係なし。


ボルガの休暇は職校で勉強、休暇がないに等しいな。


特攻隊長と死神さんは、ここで仕事をするか会議に行くかで、休暇本来の意味がなくなったと。


「シュウ君、わたしも特攻隊長と同じように休暇があってもなくても同じだと思っているでしょ。」

「ええっ、まぁ。この流れで考えると、死神中隊長も同じかと思っていました。

勘違いならすいません。

で、休暇の予定はあったんですか。」


「んっもう、当たり前じゃないの。この年になって、休暇の日に二日酔いで一日ベッドの上なんてことはもったいなくてできないわ。

あ~ぁ、会議に行きたくないなぁ。予定がつぶれたわ。」


"ぐさっ。"

死神さんの話の途中で特攻隊長の豊満な胸に鋭い何かが突き刺さる擬音を俺は聞いた。


「予定ですか。差し支えなければ教えてもらってもいいですか。」

カメさんの遠慮ない突っ込みだぁ。

もう、そこはそ~っとしておいてあげようよ。


「シュウ君、うそだと思っているでしょ。

残念ながら予定は本当よ。デートよデート、もちろん男性よ。

お父さんとか弟とか、甥っ子じゃないわよ言っとくけど。」


「「「「なに~ぃ、デートぉぉぉぉぉぉぉ。マジですか。」」」」


「こんなつまらない嘘をついてどうするんですか。ほんとよ。これで。」

これでと言うといつもの大鎌と死神リストを出してきた。いったいどこから?


「明日も明後日も男とデートよ。リストランク8位め、首を洗って待っててね♡。」


「エリナ、デートの定義は何だっけ。」

「一般的には、好き合った男女が遊びに行って、親睦を深めることかなぁ。」


「じゃ、今の死神さんの状態を言うとどうなるかなぁ。」

「好きな男を女が追いかけて行って、命のやり取りを深めること? 」


「なるほど~ぉ。まあいろいろな愛の形はあるか。

それを拡大解釈して、白黒反転させるとデートになると思うよ。」


カメさん、白黒反転させた段階ですでにデートとは言えないと思うが。

まぁ、いつもの二人のじゃれ合いだから、じゃれ合いって命がけなの? ここは生暖かい目で大鎌が飛んでこないほど遠くから見守らせてもらおう。

闇に覚醒するかもしれないし。


「は~ぁ、良かったぜ。死神さんが本気のデートじゃなくて。

俺だけ二日酔いでベッドの上でうだうだ過ごすなんて耐えらんねぇからな。」


あの~ぉ、底辺を見てたら一生勝ち組にはなれませんぜ。

もう、あきらめたのかな。上を目指さずに足を引っ張って他人を引きずり落とすことに特化してしまったか特攻隊長。


「底辺で蠢いているお姉さま方は捨ていて、明日は正統派のデートなんでしょ、シュウ。」

「正統派と改めて言われると照れるんで、普通のデートで。

お弁当を持ってピクニックなんてどう。当然暗くなる前には帰ってこようね。」


「ええっ、明るいうちに帰ってくるの。シュウのいけず。」

「「お子様たちは明るいうちにぜぇ~たい帰ってきなさいね。明後日の午後の休暇は熊さんと模擬戦にするわよ。」」


「模擬戦か。いいぞ、やろやろ。シュウ、久しぶりに鍛えてやるぞ。」

「「熊さんは一人で模擬戦しててください。」」


「シュウとエリナ、この頃冷たくないか。なんか人扱いされてないような気がするぞ。」

「人じゃないよね、私が飼っている熊さんだよね。」

「「そうですね。ソニア様のかわいくないペットですね。」」


「じゃぁ、明日は早起きしてお弁当作るね。」

「ほんと、楽しみだなぁ。エリナのお弁当。でも、材料は大丈夫なの。」


「えへんっ。さっきスープ作るときに第32師団の補給部からもらってきたわ。

中隊長とソニア様の指示と言ったら、山ほど食材を出してきたわ。

まぁ、2日分のお弁当分だけもらって、凍らしておいたわ。」


「さすが、若奥さん。しっかりしていますね。」

「ふうううっ、そうでしょう。」


「ふっ、甘いわね。エリナ守銭奴教初級司祭さん。」

「越後屋さん。甘いって。」


「食材もらい放題、しかも、長期保存可能な水魔法術士のあなたが、それしか食材をもらわなかったなんて。守銭の神様が聞いたら嘆き悲しむわよ。


もらい放題なのよ。


あなたは初級司祭なんだから少なくとも一週間分の食材をもらってほしかったわ。そして毎日+おかずをシュウ君に食べさせ、体力を付けてもらって、魔力溜めを一個でも多く充填させるぐらいはしてほしかったの。


ここ第1083基地での魔力溜めのアルバイトは私の交渉の結果、1基270バートで、マージンとして私に10バートが入ってくることになっているのに、それを忘れてはだめよ。」


「申し訳ございません、最高司祭様。

食材を過剰にもらってよそに流すことは職務上の横領となりますが、旦那様に食べさせるには問題ないですもんね。

そこまで気づきませんでした。」


「いいのよ。わかってもらえば。さぁ、今からでも遅くはないわね。追加の食材をもらってらっしゃい。」

「はい。行ってきます。」


俺って守銭奴教の家畜化していないか。エリナ戻ってこ~ぃ。

旦那が家畜扱いされているぞ。


「シュウ君。家畜だなんて思っていないわよ。

ちゃんと人間扱いはしてあげます。小作人と言う名のね。」


「ひぇぇぇぇっ、もう許して越後屋さん。」


次の日の午後、エリナと二人で無事にピクニックに行けたかどうかは農村に吹く秋風だけが知っていた。


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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