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9話目 はかどらない探索

「さあっ、皆。今日の昼もすがすがしくて気持ちがいいな。

こんな気持ちのいい昼間は何といっても探索だ。

気合をいれていくぞ。」


昨日の夜、門前町で飲んで朝帰りの特攻隊長。

さっき起きたみたいだ。


「A部隊は仮想エリア7を探索する。エリア7の境界線に到達したら左に曲がって1km進み、エリア7と8の境界付近で休憩を取る。


B部隊は仮想エリア8を探索する。エリア8の境界線に到達したら右に曲がって1km進み、エリア7と8の境界付近でA部隊と合流して休憩を取る。


道草やだらだらしないでちゃんと仕事してねシュウ君。

だらだらして合流に遅れたら、大鎌の露と消えるかもね~ぇん。


合流後は探索の訓練をしながら帰投する予定だ。

今日、何も出なければ2日間の休暇を与える。


休暇後に次の仮想エリア11~20の探索を行うために、今日の休憩場所にベースキャンプを設置する。

ベースキャンプ名は第18032キャンプだ。


このチャンプ地をまずは3日間かけて、第322連隊と一緒に整備する。


手伝うのは男性だけね。

私たちはちゃんとやっているか監視をして、指示と言ういちゃもんを付けるだけですね。


覚悟しなさい、違うわね、良かったわねカメさん。特別に特攻隊長が一緒にいて様子を見ていてくれるそうよ。がっつりと側に居座ってね。


今日と明日以降の予定については以上だ。

それでは休暇に向けて油断ないように。ケガなんかしたらせっかくの休暇が台無しよ。


さぁ、出発しましょう。」


死神中隊長の指示は探索ではなく、休暇に向かう前の注意事項のようだった。


「B部隊も出発するわね。行きましょう。」


昨日今日と連荘で探索だ。いつもの半分の行程だけど。

探索より、むしろ帰りの訓練の方が怖いな。


いつもはぼ~ぉっと付いて行くだけなので楽だが、訓練では目視斥侯なんかもやらされるかもしれないな。


でも、休暇前で妙に張り切っている死神中隊長の指示が不気味だ。

探索の訓練じゃなく、なんか見つかったら全力で逃げかえる訓練だとか言い始めて、第1083基地まで全力で走らされたらどうしよう。


それにしても今日は暖かくて気持ちがいいな。

芦高さんが俺を背負ってくんないかな。

帰りの訓練に備えて休憩しておきたいな。マラソンの可能性があるし。


「シュウ、弛んだ心が見え見えになっているわよ。

何もすることがないならとりあえず私を手伝うというのはどう? 」


「何を手伝えばいいの。

検知の手伝いでもいいけど、検知魔法を転写してもなぜかうまく使いこなせないんだよね。

目で見える距離にいた魔物を見逃しちゃうし。」


「旦那様にはそんな敵を探すような手伝いはお願いしませんよ。

手伝いと言うのは私のやる気をアップさせることよ。」


「エリナのやる気をアップ? 」


「そう、一番はね、私を抱きしめながら探索することね。

これでやる気が100倍になるの。キッスまですると1000倍だよ。


まぁ、抱き付きながら探索なんてことはタイさんに叱られるから駄目ね。

2人っきりの探索ならいいのになぁ。

今日のところは、手をつなぐで我慢するわ。これだとやる気が1.7倍だわね。」


「手を繋ぐのも問題ですわよ。

敵に急襲された場合に出遅れてしまいますわ。

明日から短いとはいえ休暇があるのですから、それまでは軍務に励んでくださいね。」


「うぐっ。」

タイさんに釘を刺されて何も言えないエリナちゃん


「休暇中は堂々とイチャイチャしていいんだからよかったじゃない。

しっかし、いつも一緒にいて良く飽きないわね。

寝るとき以外は一緒でしょ。


もしかしてトイレも一緒?

たまに夜中に宿舎の中をふらふら歩いている男女二人組って君たちでしょ。」


「トイレの中まは一緒じゃありませんよ。入口までです。」

「私はずっと側にいてほしいのに、いやだって。

お化けが出たらどうするのよ。」


「お化けが出るところなんて行きたくないよ。

でも、エリナが心配だな。

やっぱ、俺も中に入んないとだめかな。」


「ダメです。」女子のトイレに入っちゃ当然ダメと言うタイさん

「ダメです。」ただで女子のトイレに男を入れちゃいけないという越後屋さん

「ダメです。」一緒に入らないのがダメと言う、わかりずらいダメのエリナちゃん


「やっぱり、だめだよな。

エリナ、やっぱりトイレのドアの外で待っているよ。」


「お化け怖いの。うるうる。」


美少女兼若奥様の涙目攻撃だ~ぁ。これはたまらん。やばい、心が折れそうだぁ。


「私が一緒に行ってあげましようか。」後輩をピンチから救いたい優しいタイお姉さん

「私が一緒に行ってあげましょうか。」後輩からお金を取るつもりの鬼の越後屋さん

「シュウがいいの。」後輩の心の叫びをわかってほしいエリナちゃん


「探索を急がないと合流時間にかなり遅れるよ。


トイレに出るお化けよりも、死神さんの怒りのぶんぶん大鎌薙ぎ払いの方がよっぽど怖いよ。」特攻隊長の怒りの爆発をかわせるようになり、残る敵は死神さんだけのカメさん


「トイレは置いといてって、もともと持ってけないけどね、探索を進めましょう。」


てくてくてくてく、(検知と探索、目視確認、だらだら、だらだら)。

てくてくてくてく、(検知と探索、目視確認、あくび、ぐうたら)。

てくてくてくてく、(検知と探索、目視確認、ぐう、ぐう)。

てくてくてくてく、(検知と探索、目視確認、ぐう、あくび)。


「ちょっと、その"ぐう"と言うのは何なんだ。

立って寝ているのか。

気になって検知がはかどらないよ。」まじめに検知していたのね、カメさん


「すいません、お腹が減ったみたいです。」

育盛りの俺は悪くない、育盛りが悪い。


「ごめん、立って寝てた。」器用な越後屋さん


「シュウ君は移動の時にビスケットを食べていてもいいわよ。

でも立ち止まって探索している間は静かにしていてね。」俺に暗に戦力外通告をするタイさん


「居眠りなんて、なんてもったいないことをしているの越後屋さん。


この辺りは昔、例の大防衛戦の激戦地だよ。

当時のここで戦った軍人さんが小銭を落としたかもしれないよ。

探知で止まった時に地面を見てみてらどうかなぁ。」戦力外の越後屋さんに何とか探索をさせようとありもしない小銭話でやる気を引き出そうとするカメさん


「えっ、そうなの。

なんてもったいない。

私としたことがお宝を目の前にして居眠りに耽るなんて。守銭の神様に何と言ってお詫びしたらいいの。


タイさん戻って小銭探ししてもいい? 」

カメさん渾身の作戦が完全に裏目に出てしまったようだ。


「ダメに決まっているでしょ。

合流に遅れた理由を小銭拾いのためとか死神さんに説明するつもりなのか。

早く進まないと小銭を拾う前に自分の首を拾うことになるよ。」


自分の首を拾う?

あっ、首チョンのことか。


てくてくてくバリモグてくてく、(検知と探索、目視確認、ごっくん、ゴソゴソ)

てくてくてくバリモグてくてく、(検知と探索、目視確認、ごっくん、ゴソゴソ)

てくてくてくてくてくてく、(検知と探索、目視確認、ぐう、ゴソゴソ)


「シュウ君ビスケットが足りなかったのか。恐るべ育ちざかり、またお腹が鳴っているな。」

「すいません、今のはおなかが一杯になって、立って居眠りしていました。」


「ゴソゴソするのはちょっとやめてほしいです。

なんか例の黒い物体が近くにいるようで怖いです。」また涙目になるエリナちゃん


「私の探索のモチベーションを奪わないで~ぇ。」


「合流するのが夜中になりそう。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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