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6話目 越後屋現る


「あれ、向こうから幸せそうに歩いてくるのは乙姫さんだよね。」


まぁ、乙姫さんなら呪いをもらっても、やった~ぁもらいものよ~ぉ、ものもらいをもらったわ~ぁと言ってすごく喜んでしまいそうですが。


「なんともなさそうだわね。口も目も普通よ。

まだ食べていないのかしら。」


「乙姫さん、クッキー独り占めしたでしょ。」

「うっ、なぜそれを。」

「カメさんが食べてないって言ってたわ。」

「ちぇっ、いやしい奴め。クッキーの一枚や二枚でうるさく言わないでほしいわ。」


「タイさんの分と合わせると10枚ですが。

それ全部食べちゃったんですか。」

「そんなもったいないことしないわよ。」


「じゃぁ、一日一枚食べるとか? 」

「これだから頭のまわらないやつは、困るのよねぇ。

こういうやつが労働者として資本家に搾取され続けるのよね、きっと。

重労働、低賃金がお似合いよねぇ。」



「・・・・で、残りのクッキーはどうしたんですか。」


「いいこと、私が正しい物の価値を教えてあげます。


私はシュウから15枚のクッキーを受け取りました。

このまま食べれば一枚100バートの例のお店のクッキーの価値がそのままですね。

ここまではわかりますね。シュウ君。」

「もちろん。」


「では、このクッキーは誰が買ってきて、誰が運んできたのでしょうか。

はい、ソニアちゃん。」

「もちろん私です。」


「それでは、エリナ初級司祭。ここが守銭奴教司祭の腕の見せ所です。

では、お店でソニアちゃんが普通に買ったクッキーは、ここではどのような価値を持つでしようか。」

「???? 」


「えっ、わからないのエリナ初級司祭。もう、しようがないわね。ヒントよ。

ソニア様と付加価値。これでわかるでしょ。」

「わかった。」


「おっ、さすが、エリナ初級司祭の旦那。

おまえも守銭奴教のすばらしさに目覚めたか。いいぞ、その調子だ。」


「一生目覚めたくないです。

おいといて、ソニアがお店からここまで運んできたことで、そのクッキーにソニアプレミアが付いたということでしょう。」


「ピンポーン。


クッキーをお店の価値のまま食べたのがシュウ信者とエリナ初級司祭ね。

プレミアがついたクッキーをその価値のまま利用したのが私。


これで私が守銭奴教最高司祭と言われているわけが分かったかしら。」


「人を勝手に信者にしないでくださいな。

それで、プレミアクッキーをどうしたんですか。」

「今、オークションが終わったところ。」


「オークションって、あの、値段が吊り上がっていくというものよね。

探索から帰ってきて、よくそんな時間がありましたわね。

さすが最高司祭様です。」


「エリナ~ぁ、そっちに行くな~ぁ、戻れなくなるぞ。」

「あっ、ついつい。感動して。」


「どこに感動するところがあったんだ。ソニアわかるか? 」

「オークションを知っていたこと。」


「そこじゃないだろうが~ぁ。

おほん、まぁいい。

でそのオークションはどうなりました。」


「シュウ信徒は結果ばかり気にして、その過程の重要性に気が付いていませんね。それでは立派な上級信徒になれませんよ。


あっ、上級信徒になるにはお布施50万バートです。

特典は生活資金コースのコンサルを2回ですね。」


「それは超お得よ。シュウ。

私たちの愛の巣貯金から50万出してあげるから是非コンサルをうけてみて。

上級信徒は、まぁ、おまけね。そんな称号に何の価値もないわね。」


「ソニア、お兄ちゃんは疲れたよ。」

「お兄ちゃん、アクアちゃんとノームちゃんのお決まりの口喧嘩よりましだよ。

天災を引き起こすような力を持っていない分、関係ない周りの人は巻き込まないもの。」


「確かに、考えようによっては守銭奴教の方がましだと言えるかもね。

巻き込まれた場合の被害の大きさを考えると。」


「何をそこでこそこそ話しているの。

お金に関する情報なら私にも教えて。情報は金よ。」


「話を戻して、オークションに至る経緯を説明したいんでしたっけ。

最高司祭様としては。」

「そうなのよ。ソニアプレミア商品は軍では貴重なの、知ってた?


ソニア様の髪の毛1本、幸運のお守りとして絶大な人気なのね。

1本5万バートよ。手に入れるのが困難だから。


そんなソニア様が御自らお買い求めになって、ここまでお運びになったクッキーが一枚と言わず7枚セット、さぁ、いくらだおめーら、一番高い値段を提示したやつがこのソニアプレミアクッキーを食べる、いや崇める権利があるぞって、夕食のキャンプ飯の配給に嬉しそうに並んだぼんくらどもの前で私は叫んだね。


そしたらなんと、7枚で14万ばーとだ。1枚2万バート。

何と元の200倍の価値が付いたわけだなこれが、ソニアプレミア恐るべし。」


「ちょっと待ちな、乙姫、いや、越後屋。


おぬし確か自分の分5枚とにゃんこばばした10枚の計15枚を持っておったはずじゃ。そして、食べちゃった1枚、オークションで7枚、のこり7枚はどうしたのじゃ。

おかしいではないか。


わかった、にゃんこばばを反省して持ち主に返すことにしたのだな。

なかなか見どころがあるではないか、ははははっ。」


「エリナ、見どころのあるやつはにゃんこばばなどしないと思うぞ。」


「お代官様、まだまだでございますな。

そんなことではりっはな悪代官にはなれませんぞ。

悪に手を染めたら骨までもと言うではありませぬか。

ひひひひひっ。」


おおおっ、久々の越後屋シリーズだ。

乙姫さんはこれから越後屋だな。ひひひひひっだって、乙姫様だったら絶対言わないもんな。


「で、越後屋。残りの7枚はどうしたのじゃ。」

「実はですね、お代官様。もう一回オークションを行ったのでございますよ。」


「ほほほーっ。でその真意は何じゃ。」

「一回目のオークションで迷っていた者や様子を見ていたものが必ず一定数居ると踏みました。

そのような者たちがオークションに参加すれば当然一回目の落札額を上回ると踏みました。

なにせ、一回目の落札者が自慢しまくるわけですから。


後はこちらの方が重要なのですが、1回目は個人戦にならざる負えませんでしたが、2回目は団体で組んで落札する者が現れると踏んだのでございます。


つまり、枚数は減りますが、1枚でも欲しいものは7人組んで落札し、その分1枚分に掛けられる資金が大きくなると踏んだのでございます。」


「なかなかの読みじゃ。ほめて遣わす。それで結果はどうなったのじゃ。」


「それがですね、読み通りに7枚で56万バートに跳ね上がりましたわ。


ひひひひひひっ、笑いが止まらないとはまさにこのことででございますな。


1日で70万のかせぎ。ひひひひひっ。」


あっ。まずっ。


「それだけ儲ければ、当然、妾には上納金があるのじゃろうのう。

ここの裏の頭である妾に。

まあ、全てよこせとは言わぬわ。69万98600バートでよかろうのう。


いいかの、越後屋。よく聞くのだぞ。

旅団の雑収入の口座にしかとし振り込めよ。

3日以内に振り込みが確認できない場合は、シャキーン、この大鎌の露となると心せよ。


なぁ、越後屋。」


闇の死神大魔王守銭奴教聖女の鏡様、参上です。


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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