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5話目 クッキーはトラブルの元

仮想エリア5の先端まで何事もなく、何も発見できずに到達してしまった。

まぁ、毎回毎回魔族の師団様御一行がお待ちではこちらの身が持たないので、ある意味ほっとしたのだが。


「少し遅れ気味ですがここで休憩にしましょう。

順番は先日の探索と同じようにシュウたちからね。

10分で交代よ。」

「「「「了解です。」」」」「きゅぴぴ」


「エリナ、クッキー食べる? 」

「えっ、そのクッキーどうしたの。」

「ソニアに持たされた、例のお店の新作だって。

タイさんたちの分もあるから遠慮なくどうぞ。」


「いただきます。

ソニアちゃんは毎日行っているの、あのお店に。」

「毎日ではないようだけれど週に1度は必ず行くって。金持ちだなぁ。」


「うふふふっ。

そりゃあ、見かけはちんちくりんの美少女だけど一応は白魔法協会の総帥なんだもの。お小遣いなんで使い放題じゃないの。」

「お小遣が俺の魔力溜のアルバイト代と同じかもね。」


「アルバイトと言えばシュウ、また魔力増えたの?

例の新婚用新築一戸建てを買うため貯金、愛の巣貯金への振り込み額が先週は結構な額だったから。」


「まぁね、少しだけ。450基ぐらいにはなったかな。

でも最近、魔族2個師団と戦って結構魔力を使ったから、今週の振込額は少ないかも。」


「それは残念。

でもアルバイトのために戦闘時に魔力の出し惜しみはしないでね。

お金があっても、シュウが危ない目にあったら意味がないからね。」


「でも、お金も欲しいなぁ。

いつか赤ちゃんオオカミができたら、俺が残せるものの一つだからね。」


「シュウ、不吉なことは言わないで。

確かに輪廻の会合が進む中で、命のやり取りが何度もあるかもしれない。

それでも、生きて私の元に必ず帰ると約束して。」


「ごめん、変なことを言って。


でも、やっぱり俺、エリナのことが大好きなんだと思ったんだよ。

エリナと一緒に居て、将来はエリナと赤ちゃんオオカミがいて、それを守りたい。


あらゆることから守りたい。

守るための一つの手段がお金を貯めることなんだけどな。


エリナがいない将来像を俺は何一つ描くことができない。

これって、どうしようもなくエリナのことが好きってことじゃない。


だから、エリナも俺に約束してくれ。どんな時も、生きて俺の元に必ず帰ると。」


「もちろんよ。約束するわ。

うふふふっ、旦那様に口説かれちゃった。

うふふふっ、旦那様に愛を告白されちゃった。

今夜オオカミになっていい? 」


「今晩、オオカミにでも熊にでもドラゴンにでも、なんにでもなって良いから今は見張り番を交代して。


そして、黙って見張りをして。

シュウ、また、エリナを任務中に口説こうとしたら、シュウの宿舎を男4段狭小本棚倉庫ベッドの3段目にするからね。

わかったら返事は。」


「イエス、守銭奴教最高司祭殿。


あとこれ、ソニア様からの差し入れです。

例のケーキ屋の最新クッキーだそうです。」


「おっ、うっそ~ぉ、もらえるの。ありがとう。

もう返さないからね。

シュウ、後で口説かれてやってもいいわよ。」


「口説きはしませんが、一人で食べないでくださいね。

タイさんとカメさんにも分けてください。」


「クッキーは人様の食いものということで、魚類と爬虫類の食としてはふさわしくないと思うわ。


よって、二人が来る前に私のお腹で全力で高速処理してしまうのが筋だわ。」


「ちゃんと分けてくださいね。」


「まぁ、魚類には仕方ないか。

でも爬虫類は普通は食べないんじゃないのクッキーなんて。


あげてみて、そっぼを向かれたら悲しいじゃないの。

ねっ、ねっ、エリナもそう思うでしょ。」


「え~ぇっ、とりあえず一枚、いえ、半分ただけあげて食べそうだっらもう半分と残りをあげたらいいんじゃないかなぁ。」

「えぇっ、半部もあげるの、もったいない、1/4、いえ、1/8で十分じゃないの。」


「私たちもう行かないとまずいので、どのように分けるかは後は乙姫さんにお任せします。

シュウ、いこ、休憩時間がとっくに過ぎているわ。」


「エリナ、待って、置いて行かないで。

後でもめたときに巻き込まれそうだ。」


まぁ、タイさんとカメさんはクッキー一枚でぐだぐだ言わないとは思うが。大人だから。


それから、俺たちは休憩を終えて、今度は仮想エリア6にむかい、そして、同エリアを探索して戻った。

やはり、エリア6にも魔族の部隊の痕跡や社を見つけることはできなかった。


「ただいま~ぁ。」

「お兄ちゃんたちお帰り~ぃ。クッキー食べてくれた。」


「おいしかったよ。また、買ってきてよ。


師団の補給庫で支給される軍の軽食クッキーは腹にたまるからそれはそれでいいんだけど、ありゃ好んで食べねもんじゃないしな。


それに比べるともらったあのクッキーはほんと芸術的な味だな。

行っていることが自分でもよくわかんないけど、それぐらい美味しかったよ。

おかけで探索の疲れもあまり感じなかったよ。」


「ソニア様のクッキーの差し入れって、なんのこと。

僕は軍の支給のクッキーしか食べていないよ。


タイさんも乙姫さんも同じだったよ。

乙姫さんなんか、食べすぎだからやめた方が良いと言ったのにタイさんが残した分まで食べてたよ。」


「えっ、カメちゃん、食べていないの。

私の差し入れ門前町の例のケーキ屋特製秋の新作クッキーを。


まさか、お兄ちゃんとお姉ちゃんで全部食べちゃったの。

まぁ、私はそれでもいいけど。」


「龍宮チームの分は全部渡したわよ、乙姫さんに。

乙姫さんは一人で食べそうな勢いだったので、他の二人にもちゃんと渡す様に念を押したのに、ねっ、シュウ。」


「うん。確かにみんなで分けるようにちゃんと言ったよ。」


「乙姫さんも同じ軍のクッキーを貪り食っていたなぁ。

まぁいいけど、もらったクッキーをどうしたんだ乙姫さんは。」


「ちょっと、お兄ちゃんとお姉ちゃん、ちょっとあっちに来て話を聞いてくんない。まずいよどうしよう。めそ。」


突然めそめそし始めたぞ。どうしたんだ。


クッキーが乙姫さんに独り占めにされたのが嫌だったのか。

それとも俺が留守にしている間に熊さんにいじられたか。

熊め~ぇ、何ということをしてくれるんだおれの妹に。

雑技団に叩き売るぞ。


「どうしたの、ソニア。

ソニアを泣かせるやつは許せん。たたっ切ってやる。


さぁ、めそめそしている理由をちゃんと言えるかな、お兄ちゃんとお姉ちゃんに。」


「実はあのクッキーにはアクアちゃんの祝福と呪いが掛かっていて・・・・。」

アクア様何をしているんですか。こんな戦闘地域で頑張っている俺たちに。


「ひとり5枚分あったんだけど、5枚かそれよりも少なく食べた人には祝福を、6枚以上食べた人には呪いが掛かるようになっていたの。


どうもお姉ちゃんとシュリちゃんの呪詛が思った以上に強くて、アクアちゃんとノームちゃんだけでは呪いを静めるのが大変だということで、呪いを何かに写そうということになったの。


その前に新作クッキーが食べたいというノームちゃんのわがままに、3姉妹の長女の私が仕方なくクッキーを買いに行ったの。


そして帰ってきたら、呪いの話が出ていて、このクッキーに呪いとそれを上回る祝福を写したの。


シュウは食いしん坊で欲張りだからきっと10枚は食べるだろうと。」


「呪いの結果はなんだ。」


「唇がタラコに、目がものもらいになって、3日間はお話と食事ができなくなり、顔を他人に見せられなくなるとか言ってた。」


「じゃぁ今頃は龍宮チームのクッキーを独り占めした乙姫氏はたらこ唇にものもらいか。」


「お兄ちゃんどうしよう。


私はお兄ちゃんとお姉ちゃんが欲張りじゃなくてちゃんと皆にクッキーを分けてくれるとを信じていたから、きっと祝福を受けるんだと思って、呪いのことは黙っていたのに。

後で言って驚かそうと思って。


よりによって、乙姫ちゃんが・・・・、まぁ、予想はしていたけどね。

少しは痛い目に合わないとちょっとあの守銭奴ぶりは目に余るのよね。

あっ、なんで私はめそめそしていたのかな。全部予定通りじゃない。


たらこ唇とものもらいになって、欲張りと口八丁のコンサルは良くないと反省してほしいわ。」


「あれ、向こうから幸せそうに歩いてくるのは乙姫さんだよね。」


まぁ、乙姫さんなら呪いをもらっても、やった~ぁもらいものよ~ぉ、ものもらいをもらったわ~ぁと言ってすごく喜んでしまいそうですが。


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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