今さら遅いけど、ノームの懺悔の部屋へようこそ 私は3人目
「アクアちゃん、お疲れなのじゃ。漸く終わったわい。
ゆっくりと新作ケーキを堪能するとしようかのう。」
「ノームちゃんもお疲れ。
今伝えなければならないことは全部伝えたと思うぞ。
矢継ぎ早だったんで全部理解したかどうかはわからんけどな。
しかし、ここのケーキも久しぶりだなぁ。」
「えっ、アクアちゃんは先週食べに行ったと思ったのじゃが。
ソニアちゃんが言うとったぞ。
ケーキ屋で床を一生懸命掃除していたと。
くくくくくっ、またやってしもたんじゃな。」
「だ~か~らっ、それは湿気が溜まってと何度言ったらわかるんだこのちんちくりん×2は。
出禁になるよりはましだろうが。この土埃のかたまりめ。」
「この~っ、だっまって言わせておけばこのちんちくりんが。
ちょっと表に出るのじゃ。今日こそぎゃふんと言わせてやるわ。」
「こうか、ぎゃふん。
ぎゃふんと言わせたって、お前がちんちくりん×2の事実は全く変わんねぇぞ。」
「この屁理屈、偏屈のちんちくりんが。
湿気が溜まったと言って、実はそのうち何回かはチビっているのを儂は知っているのじゃ。」
「このちんちくりん×2が。
いい加減なことを言ってるんじゃねぇぞ。
シュウが聞きつけて本気にしたらどうすんだ。
本気で引かれちまうじゃねぇか。」
こつこつこつ
ガチャ
「 ようこそ、おいでくださいました。
まだ、遅くありません。悔い改めなさい。
この部屋にはあなた以外・・・・・・・、
あれ、誰も居ませんね。
今確かに人の話す声が聞こえたような気がしたのですが・・・・・・。
あれ、床が濡れていますね。
あちゃ~ぁ、そこに土が混じって泥だらけになっていますね。
おかしいですね。
昼間に掃除をしたばかりなのですけれどね。
それからこの懺悔部屋は誰も使っていないと思いましたが。
窓から入った?
こんな月明かりの日に雨水が入るはずはないですね。
きっと、泥遊びをした子供たちがここでかくれんぼもしたんでしょうかね。
仕方ないですね。
ふ~ぅ、やっときれいになりました。
さて、次の部屋を見回りますか。」
がちゃ。
「お前、土遊びをした子供だって。
くくくくっ、そのままんじゃねぇか。
くくくくっ。」
「あほ~っ。
おぬしの方こそ漏らしたのを水遊びと思ってもらったようでよかったのう。
ほんとはお漏らしなのに。」
「なんだとこのちんちくりん×2が。もう我慢ならねぇ。今日こそ決着付けてやる。表に出ろ~ぉ。」
「ふん、儂こそ望むところなのじゃ。
ちんちくりん、ケーキを食べ終わるまで待っておれ。
おぬし、いらないようじゃのう。
儂が食ってやろうか。」
「いらんお世話だ。自分で食うぞ。
全く、油断も隙もないなちんちくりん×2は、人の分まで食べたいとはな。
食い意地だけは褒めてやるらぜ。
もぐもぐ。」
「食い意地ではおぬしの方がはるかに上じゃろが。
あんなに漏らしてもケーキ屋に行く食い意地根性だけは褒めてやるのじゃ。
もぐもぐ。」
「ノームちゃん、新作のケーキはやっぱりおいしいね。」
「アクアちゃん、今度また買ってきてほしいのじゃ。儂はおいしそうなお供えをちょろまかして持ってくるのじゃ。」
「「おいしいね、ケーキ。」」
「ノームちゃん、どうして巫女のことを教えなかったの。」
「う~ん、何でも教えてしまうと自分で知ろうと努力しなくなるのでな。
シュウたちが巫女に出会ったときにその関わりを聞かれたらくわしく教えても良いのじゃ。
あとは、どうしても使徒が覚醒しなかったときは教えてやらねばなるまいのう。」
「使徒は巫女によって覚醒する場合もあるからな。」
「そうなのじゃ。
使徒まではなんとなく誰かは特定できておるが、さすがにその巫女となると見当もつかんのじゃ。
それがシュウたちに巫女の存在を教えなかった理由の一つじゃな。
月の女王、各使徒と各アーティファクトを探す過程で各巫女たちとも運命の会合、そして、輪廻の会合を果たすのじゃと思うておる。」
「でも、闇の巫女の一人は見当がついているよな。」
「基本的に使徒は一人、それに付き従う巫女は二人なのじゃが、一人はあやつじゃろ。」
「そだね。
闇の使徒があそこまでこだわる者。間違いないね。
闇の使徒も気付くいていなんだろ。
何でおあいつにここまでこだわってしまうのか。」
「アクアちゃん、そこで一つ疑問なんじゃが。」
「どうしたの、ノームちゃん。」
「闇の使徒はあやつを闇の巫女として追いかけ続けておるのじゃろか、それたも・・・。」
「つがいになりたくてといいたいのか、ノームちゃん。でもそれはまずいぜ。」
「確かにのう。
恋する相手として追いかけた場合、闇の巫女をこれから訪れるであろう試練から遠ざけるために、自分も闇の使徒として覚醒しない可能性も考えられるのう。」
「覚醒したら使徒も巫女も輪廻の会合から逃げらんねぇもんな。
そしたら壮絶な運命との戦い、明日の生を保証されない戦いに駆り出されるもんな。
どこまでひどくなるかはシュウと月の女王と光の公女の目指す世界次第だけどな。
闇の使徒とかなんとか偉そうに聞こえるが所詮中身は人だもんな。
愛する人を本能的に危険から遠ざけるか。
確かに、簡単には覚醒しねぇかもな。
まぁ、もう一人の巫女に掛けてみるか。
しかし、もう一人の巫女らしきやつの呪詛は半端ねぇな。
光の公女とのツイン呪詛。
かなり、体が重くなってきたぜ。」
「儂もじゃ。なんで呪詛されておるのじゃ。礼拝を頼んだのにのう。」
「わかんねぇけど、我ら大精霊を同時に呪詛してここまで影響を及ぼすなんてことはやはりエリナは光の公女だったか。
そしてもう一人もこいつは闇の巫女で確定だな。
光の公女の呪詛に完璧にシンクロして、効果が指数的に上がっているじゃねぇか。
もうやめてほしいぜ。
シュウが一緒に呪詛していないのが唯一の救いだな。
ノームちゃん大丈夫か。」
「もう一つ救いなのは、アクアちゃんと同時に呪詛されているので、呪いの力が半減していることじゃな。
これらの幸運というか悪運というのがなかったら、儂の力が半減し、復活するまで多くの者のの祠での礼拝と供物と、そしてなんといっても新作ケーキ10年分が必要だったところじゃ。」
「俺は新作ケーキ50年分と新作クッキー60年分が必要だったぜ。」
「えっ、あのケーキ屋さんはクッキーも置いていたのかえ。知らんかった。そんなものが・・・・。」
「ノームちゃん、どうした。
呪詛がつらいのか。
くそっ、エリナめ~っ。逆恨みしやがって。
でも、なんで怒ってんだ? 俺たちに。天然平目ちゃんは。」
「アクアちゃん、もう駄目だ、これ以上耐えられそうにないのじゃ。
儂の最後の願いを聞いてくれんかのう。」
「しっかりしろ、ノームちゃん。大精霊がこの程度の呪詛でやられるわけはないぜ。」
「アクアちゃん、お願いだ。
例のケーキ屋さんのクッキーを買ってきてくれんかのう。」
「それはできねぇ。俺が買ってくることはできぇんだよ、ノームちゃん。」
「そんな、いじわるしないで、儂の願いをきいてくれ~ぇ。」
「だって、持ってくる途中でしけっちゃうんだ、クッキーは。」
「「・・・・・・・・・・、はぁぁぁぁぁぁ。」」
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。