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6話目 これからどうする?

俺たちは次の日も魔物を探しながら、さらに南の町を目指した。

しかし、魔物はそう簡単には見つからない。


おばちゃんは昨日のケンタウロスの件で反省しているのか、今日は魔物を呼ばないとちょっと不貞腐れたように言っていた。


何事もなく俺たちは目的地の町、<ソンバト>に着いた。

この町はこの地方の中心的な地方都市で、教会には魔法幼年職校が併設されている。


北門に門番の兵士がおり、町に入る人を確認していた。大きな都市だけに町に入る人も多く、俺たちはその最後尾に並んだ。


20分ほど並んで後、俺たちの順番がきた。

門番の兵士からお約束の質問。


「この町は初めてかな。要件は何だ。」


「俺は武道の修行をしに。

彼女は見習い魔法術士で、職校の課題のため魔物を探しています。

途中で目的地が同じなので一緒に旅をしていました。」


「武道の修行か。道場にはいるのか? 道場にあてはあるのかな。」


「キーライさんのところです。父から紹介状をもらっています。」


兵士は俺の差し出した、紹介状を確認した。


「キーライ殿のところか。

うむ、問題ないだろう。通っていいぞ。」


「ありがとう。」「ありがとう。」


俺たちは無事に門を通過し、町中に入る。大きな町だ。

日が傾いてきたため仕事を終えて家路を急ぐ人、今夜の宿探しのため急ぐ旅人、一杯やりに行く人などで通りは多くの人で溢れていた。


「シュウ。これから道場に行くの? 」


「今日は遅いから、明日にするよ。

教会の宿坊に泊めてもらえるように頼もう。」


「それがいいわね。これからのことも話したいし。」


そうだ忘れてた。エリナとソンバトまでは一緒に来ることを約束したが、その後どうするか話をしていなかった。

俺は修行でしばらくここに留まるし、エリナは課題が終われば本山に帰るだろうし。


俺はエリナとここで一度お別れかもと考えると、非常に寂しかった。エリナも同じ気持ちなのか表情が沈んでいた。


町はずれにあるという教会を目指して歩いているが、なまじこれまで楽しい時間を過ごしていた反動で、お通夜のような移動だった。


教会の宿坊の受付で俺たちは今晩の宿をお願いした。


「あのう。魔力溜めを20基ほど一杯にしますので、宿代安くなりませんか? 」


受付のシスターに俺は取引を持ち掛けた。

昨日もこの手で宿坊代をただにしてもらったので、味を占めたのだ。


「20基ですか。それが本当ならもちろん無料にさせていただきます。

ただし、申し訳ないですが先払いでお願いできますか。」


「わかりました。ところで、25基にしたら、明日の昼のお弁当を2個いただくことはできますか。」


「お弁当もですか。2人分なら26基ではどうでしょうか。割り切れるように。」


「わかりました。それでお願いします。

どこで魔力溜めに充填しますか。」


「少々お待ちください。魔力溜めを持ってきますね。」


シスターは受付の奥に引っ込んで、魔力溜めを何回かに分けて持ってきて受付の横のテーブルに置いた。


「これで26基ですけど、大丈夫ですか。」


「それではひとつづ。」


俺はあっという間にすべての魔力溜めに充填をし終わった。


「すっ、すごいですね。

てっきり私はそちらの見習い魔法術士さんの方が一杯充填するのかと思いました。」


「しばらく、この町に滞在するつもりです。

もし、宿坊にこのまま泊まり続けるとしたら、宿代は魔法溜め20基の、お弁当代は3基の充填でまかなえますか? 」


「宿坊の責任者の上級司祭様に確認しなければなりませんが、たぶん大丈夫だと思います。

よろしかったら、この町での滞在理由を聞かせていただけますか。」


「キーライさんのところで、武術の修行するつもりです。」


「あっ、武芸者の方ですか、見習いの。」


「いえ、9月に教会本山で聖戦士の職校入学試験を受けるつもりなので、その前に修行をするつもりです。」


「聖戦士を目指しているのですが。

通りで魔力が異常に高いと思いました。納得しました。


それであれば、先ほどの宿泊代の件は問題ありませんね。修行と試験を頑張ってくださいね。


そちらの見習い魔法術士さんもしばらく滞在ですか。」


「私は職校の課題のため、魔物を探しています。

必要な魔物は討伐したのですが、成績を上げるためにもう少しここで粘ってみる予定です。」


「そうですか。

宿坊の決まりで、まず礼拝からお願いします。」


俺たちはいつものように礼拝とクリーン、夕食を済ませた。

食器を片付けて、もう一杯お茶をもらって、食堂の隅の方にあるテーブルに腰をかけた。


「シュウ、これからの予定を話し合いましょうよ。」


「そうだね。」


「エリナの予定はどんな感じ? 」


「私の課題の期限は来週までだから、ぎりぎりまでこの町にいるつもり。

その後は職校に帰らないといけないわ。別の授業もあるし。


ここにいる間は町の外で魔物を探したり、シュウの修行を見学したりして過ごすわ。

最後は転移魔法陣で帰るつもり。」


「転移魔法陣って、教会関係者ならだれでも簡単に使えるの? 」


「見習い魔法術士は転移魔法陣を管理している教会の責任者の許可がいるの。

それと転移に必要な魔力は予め魔力溜めに充填しておく必要があるわ。

魔力溜めに魔力を充填すればよほどの理由がないかぎり、魔法陣を使わせてもらえるわ。」


「そうなんだ。俺が魔力を充填するよ。その時には。」


「ありがとう。」


「シュウはどうするの。具体的に。」


「まず、明日の朝にキーライさんの道場を訪ねてみるよ。

修行させてくれればいいけど。

その後は分からないや。キーライさん次第だな。」


「そうね。そろそろ明日に備えて寝ましょうか。あっ、明日は私も付いて行っていい? 」


「いいよ。それじゃおやすみ。」


「おやすみなさい。」


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