2話目 たらこ唇になっちゃった♡
「まぁ,いいわ.ところでここはどこなのシュウ.」
いいんだ.そのアバウトさがエリナちゃんクオリティ.
「ここはそこのチンチクリンのお家だそうです.」
「チンチクリン言うなぁッ.」
「チンチクリンだけど,悔しいぐらいかわいい娘ね.私が寝ている間に変なことをしていないわよね,シュウ.
例えば,あんなことやそんなことや,こんなこと.」
「皆の者よ~く聞くのだぞ.あんなことと言うのはだな,シュウがはもがもがもが・・・・,何をするのじゃ鞘氏,おまえは妾の羊じゃろ.」
「ナイスだ,鞘氏.良くそこで止めてくれた.
"近所のうわさ好きおばちゃん虚言スペシャル,変な噂を流されて彼女にびんたを食らった俺"でまた話がややこしくなるとこだった.」
「その上,定番のボケをぶっこんできましたわね.」
「えっ,妾はいたって真面目じゃぞ.ボケなんてかましてはおらんぞ.
何を耄碌しておるのじゃメイド.」
「まずいぜ,アクア様,まずいよ.ついにボケが始まっちまったぞ.婆ちゃんは老人介護保険に入っていないらしいから身内が介護するらしいぜ.
婆ちゃんの母親のアクア様,心から介護の応援はさせてもらうぜ.手は貸さないがな.」
「曾祖母さんなんてどこにもいないけど.
まさかこのチンチクリンが,ソニア様と同じ状態ということなの.
見た目は8歳,実年齢は190歳とかなの.
出たな妖怪幼女ババア.
シュウに手を出したら駄目ですよ.
この飴をあげるからお姉さんの言うことを聞いて,シュウの妹枠に収まりなさいね,」
「おねえちゃん,わかったよ.今日からシュウとエリナの妹になるよ.」
やっす~い妹だな,飴一個で大精霊の威厳捨てたのかよ.
「ところでシュウ,このチンチクリンじゃない,新しい妹は誰なの? 」
「かのお方は水の大精霊アクア様だそうです? 」
「なぜ,疑問形なんだ.私を紹介しているお前が.」
「い~やぁ,威厳がないので.
ところで,本気の,まじめな,真剣な話をしていいか.」
「いいぞ.なんだ.」
「お前は本当はだれなんだ,と思った.
最初は美少女Gかと思ったんだけど,さすがにそれはないかとは薄々気が付いてはいたが.」
「「「「・・・・・! ! ! ! 」」」」」
「え~っ,新しい妹って巨大美少女Gなの!!」
「エリナ落ち着け.そのスリッパをしまいなさい.まったく,どっからそんなものを出したのか.」
「私の氷の芸術品.」
「えっ,マジで.じゃ,スリッパ常備状態なのか.」
「当然よ.一家の主婦としては必需品よ.」ぶんっ,ぶんっ.
「氷のスリッパを振り回すのやめれ~ぇ.」
「おっほん.ご主人様一つ聞いてよろしいでしょうか.」
「なんだい.メイドさん.」
「えっ,シュウ.いつの間にこんなにかわいい声のメイドさんを雇ったの.私に隠していたわね.まさか,私に隠くれて何しているの.
例えば,あんなことやそんなことや,こんなことしていないわよね。」
「皆の者よ~く聞くのだぞ.そんなとと言うのはだな,シュウがはもがもがもが・・・・,何をするのじゃ鞘氏,おまえは妾の御者だろ.」
「あっ,間違えないように執事を御者にした.せこい.」
「話が元に戻りましたね.
このままでは誰かがこの阿保話の輪廻をぶった切らないと夜が明けてしまいますわ.」
「そうだよなぁ,わかった。ここは言葉を職業にしているおれがちゃんとエリナに伝えてやる.いいな.」
「「「「「意義な~しっ.」」」」」
「よろしくお願いします.私はシュウの家内のエリナと申します.13歳の若妻です.この頃おっぱいが大きくなってきて,漸くシュウが谷間を覗くようになりました.」
「これはこれはご丁寧に.俺はシュウの愛人で,いつも一緒にいて肌と肌を密着させています.俺は常にすっ裸なのでちょっと恥ずかしいです.」
「シ・ュ・ウ,いつも裸の愛人を連れて歩いて,肌と肌を密着させているってどういうことかな.」
「えっ,それはその.」
「何かいいわけがあるの.一応聞くだけ聞くのは武士の情けだわ。聞きてやろうじゃないの.」
「エリナちゃん,その氷のハンマーはどこから出したの.あっ,振りかぶるの止めて。」
「いいわ~ぁっ,シュウと一緒に潰されんるのね.私は全然かまわないわ,愛するシュウと一緒ならたとえ変形しても.」
「キーッ,地獄に落ちろ愛人.」
「わぁーっ,やめて~ぇ,愛人じゃなくて俺を潰そうとしているからそのハンマーで.」
「これこれ落ち着くのじゃ,エリナ.
かび臭い指輪は頭もカビで覆われてしまって,納得させられるような説明ができないようじゃな.ここは年長の妾が説明して進ぜようかのう.よろしいか皆の者.」
「「「「「意義な~しっ.」」」」」
「よろしくお願いします.私はシュウの家内のエリナと申します.いつもシュウと一緒に夫婦で魔族と戦っています.寝るとこが別々なのがちょっと切ない13歳の若妻です.」
「これはこれはご丁寧に.妾はシュウのおばで,スレンダーなボディとしわや傷一つない滑るような肌が自慢なのじゃ.
シュウはいつも妾を肌身離さず側に置くことを強要するのじゃ.
特に危険な夜,例えば野宿のようなときは一晩中妾を抱きしめて,離さないのじゃ.まったく,かわいいやつじゃのう.」
「シ・ュ・ウ,私がいない夜の間,おばとはいえスレンダーな若い美人をいつもお布団の中で抱きしめていたのね.」
「えっ,それはその.」
「何かいいわけがあるの.聞きてやろうじゃないの.」
「エリナちゃん,その氷のハンマーはどこから出したの.あっ,振りかぶるの止めて,」
「ふん,やるならやってみぃ,この小娘が.そんな氷のハンマーなんかでは妾に傷一つ負わすことはできんぞ.
逆に細切れにしてやるわ,おーっほほほほっ」
「キーッ,地獄に落ちろおばちゃん.」
「わぁーっ,やめて~ぇ,おぱちゃんに殴りかかった後に細切れにされたハンマーの破片が俺に当たるから,破片が刺さる~ぅ.」
「全くしょうがいない,カビとボケね.
ここはご主人様と奥様のメイド長の私がご説明いたします.よろしいですか.」
「「「「「意義な~しっ.」」」」」
「よろしくお願いします.私はシュウの家内のエリナと申します.もう,夫が信じられなくなりそうです.
愛人の他にも身内のおばを抱いて寝ていたなんて,ひどすぎます.シュウの裏切者~ぅ.呪ってやる~ぅ。」
「私はあなたの指にはまっている指輪です.そう,その左手の薬指です.
信じられないようなので,ちょっと体を震わしてみますね.」
ふるぷる
「あっほんとだ.この指輪って,田舎の古魔道具店で買った指輪で,シュウもはめているわよね.」
「そのその通りです.
ご主人様のシュウ様の指にはまっているのが私の姉妹の指輪です.
先ほどは愛人などとほざいておりましたが,元をただせばお二人の結婚指輪です.」
「裸でいつも一緒というのは,素手に指輪をはめている状態・・・・・,
シュウ,ごめんなさい。私は知らなかったの.
知らないで氷のハンマーで殴るところだったわ.」
「それとご主人様のおばというのは,ご主人さまが背負っている大剣のことです.
野宿の晩はすぐに敵に対応できるように剣を抱いて寝ていますよね.」
「シュウ,ごめんなさい知らなかったの.
知らないで氷のハンマーで殴るところだったわ.
あっ、違うわ。
私に黙って,大剣とは言え女性を抱いて寝るのは・・・・・・,許せなぁ~い.シュウ,お仕置が必要だわね.
私を抱きしめて,口づけを1日100回で許してあげる.
さっき,1回したようだから残り99回ね.」
「ひぇ~.唇がたらこになっちゃうよ.」
「いいの,私もたらこになるから.」
「あの~,奥様,ちょっとお願いが.」
「何かしら,指輪さん.」
「本名は風神ですが,メイドさんとお呼びくださいませ.」
「メイドさん,それでお願いと言うのは何にかしら.」
指輪に真剣に話しかけるエリナがやっぱ超かわいい.
「口づけでたらこになった唇の映像を録画していいでしょうか? 」
そこにきたか~.
「その録画と言うものをした後はどうするのかしら.」
「はい,この記憶玉にダビングと言うものをして,"女の口車にまんまとはまったご主人様のおバカやっちまったシリーズ第3巻目"として大々的に門前町で売り出すつもりです.」
「販売価格はおいくらで。私の取り分は?」
「一個3500バートで,主演女優の奥様はその内1000バートでいかかでしょうか.」
「なかなかいいわね.売り上げ目標本数は? 」
「初回1万本,重版2回で,3万本を目指しています.
第1巻はご主人様の結婚式を販売予定です.
これは門前町の演劇観客数から考えると20万本,もちんこれは教会本山と門前町以外の町での販売数も含めて考えています.」
「3000万バートか.家が建てられるわね.
よっしゃぁ,それでいいわよ.取引成立ね.」
うぁ,うまいなメイドさん.エリナの守銭奴教信者体質を利用したよ.
「さっ,シュウ,来なさい.
まずはぎゅっと抱擁よ.
そして,ぷちゅーよ.
は・や・く.」
その後は・・・・・・・
これまでの出来事をすべて,唇が腫れてうまく話せない俺の代わりに,メイドさんがエリナに伝えてくれた.
もちろんチンチクリンや教会本山の珍獣のことも.