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16話目 動き出す集う者共

ところで、四大精霊ということは、アクア様、ノーム様、シルク様兄妹もう一人は誰なの。

「最後はヴルカン様だな。」


そのヴルカン様はどこにいるの。

「ヴルカン様は魔族領にいらっしゃるぞ。」


大精霊様はアクア様のように人類の領域に住んでいるわけじゃないんですか。

「そうだぞ。

大精霊は各種族を静かに見守り、時にこいつらアーティファクトを使って好ましい方向に世の中の軌道修正もしておる。


ちなみに俺、アクアとノームが人類を見守り、守護しておる。」


じゃあ、他の方はどの種族を保護しているんですか?


「エルフ族は風の大精霊の双子が、魔族はヴルカンと四大精霊ではないのだが闇の大精霊のシャドウが守護しているんだ。」


各種族に二人の大精霊が守護しているの。


「まぁ、そうだな。」


人類と魔族は敵対しているけど、アクア様はヴルカン様とシャドウ様とは犬猿の仲なの。


「そのようなことはないな。

守護しているだけであって、積極的に他の大精霊を自分の支配下に置こうとはしていないし、そのような事は無意味だ。


あくまで、敵対しているのは人類と魔族だ。

我々大精霊はそれを憂いてみているしかできん。」


でも、異なる次元空間という通常では行き来できないはずなのに魔族は人類の領域に攻めた来た。

それは、大精霊が魔族に積極的に手を貸したとしか思えないんだ。


同じ文様の転移魔方陣で教会本山と魔族の住んでいる次元空間の両方を行き来できるのはどちらが魔方陣に干渉しているからだと思うし、その干渉は大精霊レベルでないと無理だと思う。


どの大精霊が悪さをしていますか。教えてください。

ぶん殴ってくる。


「ぶん殴りたいのであれば、私は止めん。

殴れるかどうかもわからんがな。

ただし、その件に関しては大精霊の名を教えたり、そこの場所に転移させたりするような協力はできん。」


なぜ、人類と魔族の抗争が止まるかもしれないのに。


「そのような1000年前の状況に戻す解決策では、人類はいいかもしれんが、エルフと魔族が滅亡の道を突き進むしかなくなるからだ。

悪さをしているとシュウは言うが、大精霊は種族そのものの滅亡を危惧ぐしており、私も同じ気持ちだ。


確かに、1000年もの長い期間、人類と魔族は戦い続けている。

人類からしたらいい迷惑かもしれないが、魔族は種族としての滅亡の日が差し迫っておる。


種族の存続のために戦うことを選択したことを私は非難はできても止めることはできん。

私の手では魔族の滅亡を直接止めることができないためだ。


魔族の滅亡を防ぐために人類の領域に侵攻してきたのは魔族が滅亡から免れる方法の一つではある。

その意味するところは魔族が今回の滅亡の原因に薄々気づいている証拠だと思う。


エルフ族はまた別の方法を探っているようだがな。


先ほどは我々大精霊が魔族・エルフ族を直接救うことはできないと言ったが、滅亡から救う手段を準備したり手助けすることは可能だ。


それは輪廻の会合を利用すことだ。


今回の難局を乗り切るために必要な人材を輪廻の会合のメンツから更に集い、必要な時期に運命の会合を果たすように促すことは可能だ。


ただし、魔族とエルフ族を滅亡から救済する方法については、悪いんだが、その会合に集いし者共で考えてもらいたい。


我々、大精霊が直接的に今回の問題に介入するとここ人類の世界と魔族・エルフ族の世界をまとめてリセットしてしまうことになりかねない。


また、その能力をアーティファクトにも与えてある。

大精霊が消滅した場合にその大精霊が作ったアーティファクトが自らの判断でその能力を発動するか決めることができるように定義されている。


さっき、雷神が言いかけた彼女の固有の能力もそれに類するものだ。

あの能力を決して、使ってはならぬ。使わせてもならぬ。

もちろん、我々大精霊にも使わせてもいけない。


わかってくれ。その上で魔族とエルフ族、そして人類を救ってくれ。

輪廻の会合に集いし強者よ。」


前回の輪廻の会合は2000年前にあったと聞いているけど、そこでは両種族の滅亡については何か考えて、手当されていたのかな?


「あの時はまだ、滅亡の危惧はなかった。


はるか昔はすべての種族がここ人類が今住んでいる世界で生活を共にしていた。

始めは種族同士でまとまって住んでおり、お互いの種族が友好的な交流を結んでいた。


しかし、種族の人口が増え、お互いの生活圏が重なってくると種族同士がいがみ合いを始めたのだ。

そして、お互いに別の種族を排除するために戦が起き、他の種族の領土へ侵攻、虐殺、支配がはじまるようになると、決定的な種族間の乖離が起きるようになった。


長い殺し合いの歴史が始まった。


そんな中、約2000年前に偶然にも輪廻の会合が起きた。

その当時のメンバーにシュウがいたかはわからん。

輪廻の会合には光の公女と月の女王がそろっておったな。


会合に集いし者共の決定により、風の大精霊シルフ兄妹の助けの下に光の公女が極魔法の次元空間の創成を行い、月の女王が人類から魔族とエルフ族を切り離し、新しく創成した次元空間に転移させたのだ。


次元空間の創成と2種族の転移という二つの極魔法を発動させたことにより、光の公女と月の女王は魔力の枯渇と肉体的な負荷により、その場で鬼籍に入ってしまった。


結果的には種族が分断されることにより、種族間の争いがなくなり、魔族とエルフ族は元の穏やかな生活に戻ったんだ。


まぁ、人類は元のつまらない同族同士の権力争いに戻っただけだがな。

ほんとに戦うことが好きな種族だなぁ人類は。」


それがいつの間にか魔族とエルフ族の滅亡の危機にあることが分かったと。


じゃぁ、魔族とエルフ族をまたこの人類の空間に戻せば、両種族の滅亡の危機が回避できそうなのか。

「シュウよ。わかっていると思うが、ここに魔族を連れて来てまた仲良く共存することはできんぞ。

エルフ族はまだしも。」


そりゃそうだよなぁ。

魔族は自らの滅亡を防ぐために人類の領域を犯し始めたのか。

ということは2000年前の前回の輪廻の会合当時の状況に戻ったわけか。


「いや違うぞ、シュウ。その時よりも解決するための方法がもっと狭まって来たんじゃねぇか。

前回は別空間の創成と種族毎の分離という方法が取れたが、その方法は今回は使えねぇぞ。」


そうか、新しい争いのがない世界を作る、そういう世の中の仕組みを作る必要があるのか。


でもなぜ突然、魔族とエルフ族は滅亡の危機に陥ったんだろう。

それでも種族滅亡の危機がわかってから少なくとも1000年は滅亡していないのだから、そんなに慌てなくてもいいと思うんだけど。

慌てて、魔族が人類側に攻め込んできたから今のような打つ手が減る事態になったんだけどなぁ。


「まぁ、種族滅亡の原因や魔族の対処法、エルフの対処法を探っていくことも、輪廻の会合に集いし者共の役目だと思うのじゃ。

この情報が得られれば打つ手が見えてくるかもしれんのう。」


わかったよ。色々調べてみるよ。



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