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13話目 お前はだあ~れ?!

俺たちが転移してきた場所は石造りの神殿のような建物だった。


室内には転移魔法陣と大きな水溜まり? 直径が3mほどのきれいな水の沸く泉があるだけだった。


魔族の社にあったような古びた魔力溜めもなかった。

また、転移魔法陣の文様が普段教会本山と行き来するためのそれとは若干は違うのが分かった。


窓から外を見ると、日は既にとっぷりと暮れていたが。室内は明るかった。

しかし、その明かりは炎のランプが灯ってるわけではなく、炎の代わりに光る水晶のような透明の塊がランプの中にはいっていた。


おそらく魔力をほんのちょっとこれに注ぐことで、明るく光る魔道具の一種か何かと想像した。


「うううっ、シュウに巻き込まれてきてしまったのじゃ。

ここだけには戻りたくなかっのに。しくしく。」

なんでかな。おぱちゃんが泣いている。


「だから、早く逃げましょうとあれほどご進言いたしましたのに。

シュウ殿が心配だからと言ってズルズルと逃げるのを先延ばしにした結果です。」厳しい鞘氏


おばちゃんここに来たくなかったの。

今からこの転移魔法陣で戻れないの。魔力ならいっぱいあるよ。


「ここは四大精霊ウンディーネのアクア様の神殿だぞ。グノームのノーム様の転移魔法陣と同じやり方では転移できないぞ。」うるさいさん


えっ、アクア様?、ノーム様?

誰それ。


「四大精霊も知らねぇのか、全く。

最近の若いもんは。これだから。

学校に何しに行ってたんだ、あぁっん。


シュウは婆ちゃんと一緒で授業中は昼寝の時間だったんだろうな。

これだから筋脳は。まったく。」うるさいさん?


四大精霊は知っているけど、魔法の元締めみたいな方々だろ。

まぁ、俺はその内の誰からも愛されていないみたいだからな。

魔法使えないし。しくしく。

ところで四大精霊って生きてるの。


「こりゃ、そんな失礼なことを言うんじゃねぇぞ。

人には想像できないとんでもない時間の中を生きてるぞ。

どのくらい長く生きてるかはよくわからん。

だからこの世で一番偉いんだぞ。」うるさいさん??


「吹雪様よりもかなり高齢ですね。確実に心は干からびていますね。」


プチン


今、何かプチンと言う効果音が聞こえなかったか?

「おっ、おっ、俺は聞こえてねぇぞ、シュウ、空耳だ。そんな若いのにもう耄碌してんのか。」


そうかなぁ。

「エリナ今何か聞こえ・・・・・・、気絶してる。

大丈夫か、しっかりしろ、エリナ。」


「奥様は水魔法術士でもありますので、アクア様の神殿のオーラに当たったのかもしれません。


すこし、そのままで休ませてあげてはいかがでしょうか。

この神殿に呼ばれたということは・・・・。」


いうことは? なに?


「いえ、余り不吉なことを申し上げても、気が滅入るだけですので。」


良くないことなら、余計に聞いておきたいんですけど。心の準備があるから。

「そうですか。ご主人様にそのお覚悟がございますなら、申し上げます。」


はい、申し上げてくださいです。


「若さのエキスを吸われてしまうかもしれません。」


何なの若さのエキスって。そんなエキスをエリナが出しているの。


「若さのエキスを搾り取って、自分の干からびた心に塗って、ピチピチのギャルを演じて、ご主人様を誘惑するつもりですわ。」


えっ、誰が干からびているって。誰が誘惑してくるの。美人? 巨乳? 美脚?


「シュウ、そいつの言葉に耳を傾けるな。

悪魔かなんかがなりすましてんぞ、俺の片割れに。気を付けろ。

俺のシュウに何しやがるんだぁ。」


「あなたシュウではございませんわ。もちろん、私の片割れのうるさい指輪のものでもありませんよ。

いい加減からかうのは止めて、正体を現しなさい。干からびたやつ!!」


ぷっつ~ん。


また、何かが切れる効果音が


おばちゃんどいうこと。ここにきてから皆がなんか変だよ。


「ふっ、ここで妾は全くの役立たずじゃ。

ひる寝? 夜寝? やっぱりふて寝することにしたのじゃ。

後はよろしくやっといて~ぇな。

鞘氏もここにいる間は休暇じゃ。」


おばちゃん、思考停止。やっぱ年だなぁ。耄碌婆ぁだな、既に。


「旦那様、やっとお分かりですね。そうなんです。この異常はすべて干からびた吹雪婆のババァの仕業です。


そんな婆のババァの言うことは信じず、私と奥様の言葉だけを信じてください。

幸いにして、吹雪の婆は不貞腐れてこの茶番劇から自ら降りたようですので。

残りはそんな婆のババァが化けている偽のうるさい指輪です。」


「シュウ、そいつの言うことを信じちゃだめだ。だいたい若さのエキスとかいうものは聞いたことがないぞ。

適当なことを言って、シュウとエリナを丸め込んで、何かすごいことをやらせるつもりだ。」


すっ、すごいことってなんだ?

「それはすごいことだ。あんなことや。こんなこと。そして、そんなことまで。」


ふっ、ふ~ん。じゃ、そんなことって何?

「そっ、そっ、そんなことはわからん。」


お前は誰だ~。

「えっ、俺のことを忘れたのか。寂しいことを言えなよ。お前の参謀だろ。いつもお前のピンチを何度も救ってきたじゃねぇか。」


お前は誰だ!!

「シュウ、ほんとに俺のことを忘れたのか。いつも夜中にトイレに一緒に行ってあげているじゃないか。臭い仲なのに悲しいことを言うなよ。」


お前はだあ~れ?!

誰がうるさいさんに化けているのかな。まったく、ほんとにうるさくなってしまったじゃないか。


「俺だよ俺、ちょうとうるさいけどいつも役に立つ俺だよ。

吹雪の婆ちゃんなんて全然役立たずで、これまで2回ぐらいしか役に立たなかったろ。いつも昼寝ばっかだし。

おれなんて毎日役に立ってんだろ。芦高との通訳が居ないと困んだろ。」


おおっ、今度は確かにうるさいさんかもしれん。


「やっと、わかったか。いつもお世話しているのに、俺のことを覚えていないなんてショックだぜ。もう少し俺を大事にした方がいいと思うぞ。」


ところで、うるさいさん。芦高さんはどうしてる? 離れて心配なんだけど。


「芦高は寝てんぞ。連絡が取れん。」


「引っかかりましたわね。さすが私と芦高ちゃんのご主人様です。芦高ちゃんはご主人様と奥様が急に消えたのでね心配して「きゅび、きゅび」泣いていますわ。

いま、私が状況を伝えてなだめすかしたとこですわ。


さぁ、偽物観念しなさい。大方予想はついていますが、そのへたくそな役作りは。

ちゃんと自己紹介をしなさいな。」


「ばれちゃ、しょうがねぇ。聞いて驚くな。」


「あっ、この方はアクア様です。水の大精霊ですが、ちっともえらくありません。向こうの泉の陰でこそこそ隠れて小芝居をやってました。」

せっかくのキメの場面をぶっ壊す本物のうるさいさん、いつものKYクオリティで安心しました。


「なんで先に言うかなぁ。せっかくの主役の登場の場面なのになぁ。普通はファンファーレと紙吹雪が舞ってもいいところだぞぉ。」

確かに、泉の後ろに透き通るような青白い肌と雪のような白い髪をして、青いドレスを着た、これも超が4つぐらい付きそうな美少女がこそこそ這いつくばってこちらを睨んでいた。


美少女のGか?


「誰がGだ。初対面なのにそんな言い方をするとはさてはお前、保健所の回しもんだな。背中に消毒薬を背負っているんだろ。」


背中にはおばちゃんが……、ひ~えぃぃぃぃぃぃ。冷たい。ふて寝してたんじゃないのか。


「こそこそしてもわかっているぞ。ふ・ぶ・き~っ。

どの面下げてここに戻って来たんだ~ぁ。

シュウの背中に隠れてないで、とっとと出てこい。この親不孝もんが~ぁ。」


えっ、おばちゃんとこのG美少女が親子?

おばちゃんはGの子供なの?


「「Gちゃうわい。」」


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