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こちら次元間 チャンネルわん・にゃん放送局 報道特集 あの世界の秘密 第6回放送 放送延長分

「9時になりました。こんばんは。9時のニュースの時間ですが、今日は報道特集の第6回目放送が予定通りに終わりませんでしたので、放送時間をさらに延長してお送り致します。キャスターはいつものまねき猫です。


それでは、続きを始めさせていただきます。

Dデレクター改めてこれまでの調査報告をお願致しますにゃ。」


「先ほどもお話しさせていただきましたように、今日のメインテーマは門前町における物流についてです。

海老など魚介類はどのように門前町の魚屋さんに並ぶのかについて、渾身の取材を実行しました。

メインの調査は当局社会部の黒猫k〇ki特派員ですにゃ。」


「本日はスタジオに異世界における物流についてご研究をされている、星間物資輸送協会次元間物流研究所のR主幹研究員にお越しいただきました。

R先生のご専門は次元間における小麦粉の輸送方法と通貨形態の関係性を明らかにすることと伺っております。


R先生、本日はよろしくお願いいたします。」


「次元間物流研究所のRです。先ほどはご丁寧なご紹介をありがとうございます。


当研究所でもこの特番は非常に注目しております。

この特番が始まりますと当研究所の研究員はすべて作業を放り投げて、各自のメディア媒体にくぎ付けになっております。


そもそも、最初の放送で宗田カツオ節を荷物に入れて異次元にある名無し星に移動しました。

その場合にカツオ節の香りがどのように変化するのか非常に議論の的になっておりました。

当研究所にも猫族の方が所属しておりますが、放送後3日3晩寝ないで議論をして、最後には全員気絶していたのを次の日出勤してきた犬族の方が発見し、大変な事態となりました。


その後、ここに問い合わせたら変化なくおいしく食べられたと聞いて、さらに3日3晩寝ないで議論をして、最後には全員気絶を繰り返したことは、内緒ですよ。


まぁ、それほどまでにこの特番は我々の研究所の研究テーマにふさわしい情報を提供してくださります。


特派員の方が帰国後に当研究所にて、そのまま名無し星について研究を続けるのであれば、学位取得まで完全サポートをさせていただきますので、ぜひご検討ください。

長くなりましたが、今日の報告を楽しみにしております。」


「この特番に期待するお気持ちをお話しいただき、ありがとうございます。

ご期待に沿えるように丁寧にわかり易く報告することを心掛けていきたいと思います。


それでは、大変お待たせいたしました。早速、名無し星の特派員Kiさんを読んでみたいと思います。

kiさん、遅くなり申し訳ござません。聞こえていますかにゃ。」


「聞こえています。kiです。

初めての次元間生放送を担当させていただきます。

緊張で噛んでしまうかもしれませんが、ご容赦願いますにゃゃゃ。噛んじゃった。」


「あわてずにゆっくりとお話しください。

本日は門前町の物流について報告をしていいただけるとのことですが、早速、報告をお願いいたしますにゃ。」


「早速ですが、こちら現地でもゲスト、本日のテーマについて説明していただける方にお越しいただいております。


以前の特番でご出演いただいた生徒会長さんの生徒会におけるご同僚で書記長をされておいでの、え~と、・・・・」

「乙姫と皆には呼ばれています。本日はよろしくお願いします。」


「ごめんなさいにゃ。緊張でお名前をド忘れしてしまいました。

それでは気を取り直して、乙姫さん本日はよろしくお願いいたします。


今日は前回の特番でもご紹介した門前町のお魚屋さんの前に来ております。

非常にたまらないにおい、試食のシシャモを焼く香りで仕事を忘れそうになります。

我慢して続けさせていただきます。


今日はお魚が水揚げされた場所からここの店頭に並ぶまで、どのような道筋をたどるか教えていただけますか、乙姫さん。」


「わかりました。まず、輸送の手段ですが主に二つの方法が用いられています。

まずは、直接、馬車の荷台に積んで運んでくる方法です。


生徒会長のタイさんより説明があったと聞いていますが、ここでは魔法が使えます。

魔法の中でも水魔法や氷魔法が使えるため非常に長時間にわたって鮮度を一定に保つことができます。」


「水魔法と氷魔法ですか?

もし差し支えなければもう少し詳細をお聞きしてもよろしいでしょうか。」


「わかりました。

魚に水魔法をかけることで腐敗を非常に遅らせることができるようです。

原理的にはわかりませんがお魚の状態をそのまま維持できるというものです。

氷魔法の方は単にお魚をうまく凍らせることで腐敗するのを防止することができます。」


「スタジオのRです。

私は魔法のことは理解できていませんので、奇妙な質問になることをご容赦ください。

水魔法でお魚の鮮度を保つということはお魚の細胞の酸化劣化を防ぐのか、腐敗菌の繁殖を抑えるのか、あるいはまったくべつ原理なのでしょうか。」


「大変申し訳ありません。

私には、その細胞とは、酸化とは、腐敗菌という言葉が何を意味しているのか分かりかねます。


私も水魔法術士ですが、小さいころからこの魔法のイメージ、お魚を新鮮に保つということですね、を膨らませて、そして、その魔法の練習を繰り返してきました。

母親の手伝いになりますので。


その結果、お魚の鮮度を新鮮に保つという魔法を自分のものとすることができました。


氷魔法の場合も同じです。冷たくしすぎると戻したときに身がボロボロになり、かといって弱いと腐敗してしまいます。


つまり、Rさんが言うような原理を考えて魔法を使っているというよりは、そうなってほしいというイメージの正確な形成とそのようになるような魔力量を訓練により習得してきたです。


論理的に説明できないところが魔法行使の難しい所ですね。」


「Rです。

ご丁寧な説明をありがとうございます。

魔法術士さんたちの日々の鍛錬の成果がお魚の流通に不可欠ということですね。」


「実はそうでもないんです。

生もの物流についてはこの水、氷魔法で鮮度を維持しつつ馬車で運んでくるというのは、特に教会本山の門前町の人口の多い都会では無理なんです。


考えてみてください。

例えば、ここにある珍味のアワビはここから馬車で3週間ぐらいの海沿いの町に集められそこからまとめて送られてくるそうです。


これを馬車でここまで送るためには、まず、鮮度を保つために専属の水魔法術士が必要となります。


まぁ、ないとは思いますが魔物や盗賊対策として、たいてい馬車一台につき警護が3名つきます。これと馬車の御者、商人自身が必要です。


まぁ、たいてい兼務しているようですので水魔法術士、警護2人、商人兼御者で通常4人で荷を運ぶことになります。

これが片道3週間、一人当たりの賃金を一日2万バートとして、人件費だけで168万バート、アワビの仕入れ値を1個1000バートとして通乗300個を集めるので精いっぱいだというので30万バート、合計約200万バートになります。


さらに商人のもうけを3割として、卸の販売額は合計260万バートになりますね。


これを市場にもっていって、市場での上乗せがその7割として、これは市場での経費費ともうけが乗っかるわけです。442万バートになりました。


これを各商店が仕入れて売るわけですが、やはり経費ともうけでさらに7割アップとして751万バートになりますね。


アワビ1個当たりで2.5万バート。一番初めの漁師さんの販売価格の25倍になりますね。


アワビ1個の末端価格2.5万バートがかなり高額なのはこの魚屋さんのアワビの実際の値段の4倍になっていることからもわかりますね。


さて、実際の輸送はどうでしているかというと、それは転移魔方陣に乗ってここにやってくるんですよ。


では、同じように仕入れから店頭販売までを計算してみましょうか。


まず、漁師さんからの仕入れは30万バートでかわりません。


これを一日かけて転移魔方陣のある教会に集めてきたとします。

やはり馬車で運ぶので、人件費として2万×4名で8万バート掛かります。

合計38万バートになりました。


これに商人のもうけ3割を掛けると約50万バートになります。


アワビ300個であれば、別の荷物と一緒に転移できるので、転移魔方陣の使用料は1回転移するのに必要な費用の1/5とします。これでも高い気がしますが。


転移魔方陣は、大型の平均的ものとして24基の魔力溜を使います。

商業用の使用ですので魔力溜1基を400バートとして、一回の転移で1万バートとしますね。切りが良いのでアワビだけを転移することにしましょうか。


漁師さんから教会本山まで持ってくるのに51万バートになります。

これを門前町の市場関係者が取りに来て、市場で卸すとして、先ほどの7割ではなく倍に値段が上がったことにします。

100万バートでここの魚屋さんが手に入れることができました。


魚屋さんは先ほどと同じように7割さらに上乗せしたとして、170万バートでアワビ300個を販売することになり、1個6000バートほどになります。

だいたい、この魚屋さんのお値段と一緒ですね。


お分かりのように、そちらの世界でも同じだと思いますが、流通の仕組みによってかなりのお値段の違いが出ることになります。


ここ教会本山の門前町では、魔力溜の費用と一回に送れる量、商品単価を考え併せなければなりませんが、おおよそ馬車で5日以上輸送にかかるものは転移魔法陣を使用した輸送になりますね。


しかし、私もびっくりしました。

アワビが4倍ですよ。絶対に許せませんね、そんな値段で売られることは。


ここのお店は良心的ですが、もしかすると流通の複雑さという虚偽の理由で商品の値段を釣り上げている悪徳商人がいるかもしれないわ。


そんなの消費者、特に主婦の敵よ。


ちょっと、チェックしに行かなきゃ、守銭奴教の信徒としては。

そんな悪徳商人が私の近くでのうのうと生き延びていることは、守銭の神様の使徒の守銭奴としては許せないわね。


ちょっと門前町の中に入ってチェックして来るわ。

じゃまたねぇ。


今度、あなたの退職後の資金計画を見てあげるわね。

もちろん守銭奴教の信者になったらただよ。


あなたも明日から守銭奴になりなさい。いいわね。


それじゃ、私は忙しいからこれで。」


つむじ風のように門前町の中に掻き消えて行った、乙姫さん。


「え~とっ、門前町の物流は主に二つあり、近隣からは馬車の輸送、遠方からは転移魔方陣を使うようですね。


また、生鮮食料品は水、氷魔法が発達しているここでは採りたて、もぎたてと同じ状態で遠方までの輸送が可能とのことでした。


あっていますかにゃ。」


「Rです。先ほどまでの乙姫さんの説明をまとめるとそのようなことになりますね。


一番驚いたのは、ki特派員がまとめてくれたように、魔法による鮮度の維持ですね。

これは流通の革命、いや奇跡ですね。


第2回目の特番で見ましたが、名無し星のことを非科学的とか決めつけている愚か者がいるとのことでした。

F教授がその番組でおっしゃっていたように、鮮度を保つという観点で魔法を使うことは我々の科学水準をはるかに凌駕していると言わざる負えません。


我々は魔法が使えませんが、それに代わる鮮度を保つ方法を極めて行かなければならないことを乙姫さんの説明から痛感いたしました。


本日はこのような機会を設けていただき、ありがとうございます。」


「魔法とはただ不思議なものというものではなく、我々の科学文明よりはるかに優れた技術面を持っているということですか。


今日はR先生ありがとうございました。

先生の最後のご解説で我々の科学技術をもっと高度なものにできるし、していかなければならないことを痛感いたしました。


また、初めてのインタビューで緊張しまくりながらも、素晴らしい調査報告をしていただいたkiさん。ありがとうございました。


そのまま、その地で取材を続けていただき、新たな情報の発信をお願いしますにゃ。」


「初めての調査報告でうまく話せたか自信がありませんが、少しでもここの生活様式がお伝え出来たなら幸いです。


さらに取材を続けます。

それでは現地からの報告を終わりますにゃ。」プツン


「この報道特集は当局が全力で取材を継続しております。

今日はこれで終了致します。


次回の放送をお待ちくださいにゃ。」プツン


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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