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人口ボーナスと人口オーナス

作者: たけのこ

人口ボーナスについて


人口ボーナス論というものを定義すると、3つの考え方が挙げられる。1つは、生産年齢人口が継続して増加して従属人口比率の低下が続く期間。2つ目は、従属人口比率が低下してかつ生産年齢人口が従属人口の2倍以上いる期間。3つ目は、生産年齢人口が従属人口の2倍以上いる期間。以上のように定義される。

つまり、人口ボーナス期は労働力増加率が人口増加率よりも高くなり、全体の人口に対する労働力が豊富な状態になることによって、経済が著しく成長促進される時期のことを指していることが分かる。

この人口ボーナス、そして人口ボーナスと関係が深い人口オーナスという2つの言葉は、ハーバード大学の人口学者、デービット・ブルームが21世紀の初頭に、人口ボーナス期と人口オーナス期が経済に与える影響が大きいことを特定し、広く認知されるようになった。人口オーナス期というのは人口ボーナス期の反対の意味の言葉で、高齢化が進み、生産年齢人口が減少、または継続して低い期間のことである。

日本を例に挙げると、日本は1960年代に起こった高度経済成長期、いわゆるバブル期において人口ボーナス期を迎えており、豊富な労働力が経済の発展に寄与した。その後、バブルが崩壊して景気がどんどん低下していった。さらに、女性の社会進出に対する環境の整備、長時間の労働環境や育児休暇、待機児童の問題などについて改善できなかったため、未来の労働力が獲得できずに現在、少子高齢化、人口オーナスの形に移り変わっていった。

人口ボーナスは、高齢者が少なく医療や制度が充実していない時期に起こり、高度成長期が訪れると医療や年金制度が充実するため、高齢化社会へとなり人口ボーナス期は終了する。そして、高齢者の増加、生産年齢人口の低下により1人当たりの経済的な負担が増えたとき、女性が子育てを安心してすることができる環境を整えられていなかったため、少子化が進み、人口オーナスの形に移行していった。1度人口ボーナスが終わると再び人口ボーナスが訪れることはなく、人口オーナス期が続く。

人口ボーナス期において大切なことは、重工業の仕事が多く、筋肉が多い男性が業務に適していること。安く大量に作ることが重要であり、成果=時間に直結するため可能な限り長時間働くこと。労働者の替えはいくらでもいるため、同じ条件の人を揃えることで残業や転勤など、わかりやすい一定条件で足切りでき、弱い立場の労働者を容易に一律管理できる、などといった働き方が経済発展しやすかった。

それに対して現在の日本もこれにあたるが、人口オーナス期において経済発展していきやすい働き方というのは、当然だが人口ボーナス期とは異なってくる。人口オーナス期においては、先進国であり労働人口が少なく時間当たりの費用が高いため労働時間を増やすことよりも、いかに効率よく仕事を進められるかが重要である。仕事以外の時間は、自分または家族のことに費やすことで消費行動も増え経済が回ると考えられる。また、サービス業やデスクワークといった頭脳労働の仕事が増え、男性でも女性でも活躍できる労働力となりえるため、男女ともに働くことが望ましい。

人口オーナスでは、労働人口の確保が難しくなっている。その問題に対して取り組める対策は、短期間で結果が得られやすいことを挙げるなら、女性の雇用による社会進出であると思う。女性の社会進出において大事なのは、育児休暇や産休の制度をより普及させることや、待機児童の問題を改善することではないだろうか。これらの問題が解決すれば、女性が働きやすくなるほか、子育てについても安心して行うことができるのではないかと思う。ほかの対策としては、AIやロボットの普及があり得ると思う。ロボットの普及によって人が行う仕事を補うことができる。危険性が高い仕事や簡単な繰り返し作業などは、ロボットがするほうが正確にできるため、その間に人は別の仕事をすることができるだろう。

日本や中国といった国は、急激に成長して短い期間で人口オーナス期に突入してしまった。もし人口ボーナス期の経済成長が緩やかなものであったのなら、人口オーナス期に入る前に何らかの対策が取れたのではないだろうか。人々は学ぶ生き物である。膨大な量の歴史のデータから、より良い未来を切り開いていけると信じている。


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