第2話
魔法の初級や中級などの判断がしづらいと感じたので、魔法言語についての記述を追加しました。本文中の箇条書きの1つ目の項目です。
転生したと分かってから、2年経った。
ちなみに、この世界の名前は『ベルクスト』というらしい。そんで、俺が住んでるこの街は『クエント』というらしい。四季などは存在せず、地域によって環境は変わるようだ。
地球と同じで1日24時間365日で、曜日は光、火、水、風、雷、土、闇なんだと。
「まーまー」
ペチペチ
「はいはい」
最近は手を叩き呼ぶだけで、アマンダがすぐに来てくれるようになった。
あ、アマンダというのは、俺の母さんの名前でアマンダ・カムイという。父さんはルーク・カムイで、俺はハジメ・カムイだ。
俺が地球にいた頃の名前がそのまま使われているのはたまたまだろうか?ありがたい。
「今日はどの絵本を読みたい?」
アマンダが数冊の絵本を手に持ち、広げるように見せてくれる。
俺は先ず文字を覚えるために、この一年間絵本を読ませてもらっていた。
「んー」
(とりあえず、基本的な文字は覚えたし、やっぱあれしかないでしょ‼︎)
少し逡巡して、応えた。
「まほうしょ‼︎」
「え?」
アマンダは目が点になり、一瞬固まったように見えた。
「ハジメ、魔法書なんてどこで知ったの⁉︎」
思った以上に大きな反応が返ってきたため、少しビクついてしまった。
「え、えーとぱぱのしごとべやにはいったときに」
そう、転生して1年経った頃、ハイハイでルークの書斎に忍び込んだのだ。
そこで、本棚に様々な色の本が大量にしまってあるのを見つけ、その中に銅色に輝く本があった。
その本の背表紙に書いてあった文字を記憶しておいて、絵本で覚えた文字で解読したところ「まほうしょ」と書いてあったのだ。
「はぁ〜」
それを聞いたアマンダは大きなため息をしながら、部屋を出て行った。
(あれ、怒っちゃった?)
アマンダはすぐに戻ってきた。手には銅色に輝く本がある。
「ハジメ、魔法書はすごく難しいことが書いてあるのよ。たぶん、読んでも理解できないと思うわ。」
アマンダは眉を寄せながら俺に魔法書を手渡した。
「はい、魔法書よ」
「ありがとー‼︎」
俺は、満面の笑みで魔法書を落ち着きなく受け取った。
「でもハジメ、この魔法書はママが管理するからね。絶対に一人で読んではダメよ。」
「うん、わかった」
こうして、俺は魔法書を読むことができるようになった。
6ヶ月後。
「われ、ゆびさきにあたたかなひのひかりをともさん」
『火灯』
ポッ
「よしっ‼︎」
今、俺の指先には小さな火がユラユラと風に煽られながらも、か細く出ている。
この5ヶ月でやっと、火を出せるようになったのだ。
「ふーっ、いまのおれにはいっぷんがげんかいだな」
(もう少し時間を延ばしたいけど、まだ無理かな?)
魔法などについて、書斎にあった銅色の魔法書とアマンダの話から分かったことを頭の中でまとめてみる。
●魔法には「初級」「中級」「上級」「最上級」「天級」「最天級」がある。
魔法言語の文字数が1文字多いごとに階級も1ずつ上がっていくらしく、初級は2文字と決まっている。
俺がさっき出した魔法火灯は2文字であるため初級魔法に属する。
●魔法書は「銅」「銀」「金」「白金」の4色があるらしい。それぞれの色ごとに、階級魔法を取得できる。
銅・・・・初級魔法
銀・・・・中級魔法
金・・・・上級魔法
白金・・・・最上級魔法
ちなみに天級と最天級を取得するのは、アマンダ曰く生まれ持った才能らしく、天級や最天級を持つのは、宮廷魔術師や近衛魔術師くらいのレベルらしい。
(俺にもあるかな?才能)
●魔法を発動するには詠唱が必要である。これには決まった形があり、最初に自分を指す言葉。これは先ほどの『火灯』の詠唱でいえば、「我」の部分になる。次に、魔法を具現化させたい場所を指定する。これは「指先」の部分になる。次に、どのようなものを具現化したいのかを指定する。これは「暖かな火の灯かり」である。最後に、なにをしたいのかを指定する。これは、もう分かると思うが「灯さん」である。よって、「我、指先に暖かな火の灯かりを灯さん」となるのだ。
あ、あと魔法を極めれば無詠唱ができるようになるらしい
●魔法を使うには魔力が必要であり、これはこの世界の全員が必ず持っているもので、魔物を倒すと増えるらしい。魔力を使いすぎると気絶するんだと・・・
●スキルというものがあり、これは魔力を消費することなく発動できるらしい。スキルは、主に身体を強化したり魔法を強化できるもので、しっかりと訓練すれば取得できるらしい。
●ユニークスキルという、超レアスキルも存在する。このユニークスキルは、生まれた時から持っている人と、生活しているうちに取得する人がいる。ユニークスキルを持っている人は、5000万人に1人いるかいないかくらいの確率らしい。
●ステータスがあり、個人の身体能力や持っているスキル、魔法などを示すらしい。これは5歳になった時に教会へ行き、神官伝に神託を受けると見れるようになるらしい。
(とりあえず、このくらいかな)
「ハジメ〜」
扉の向こうから俺を呼ぶアマンダの声が聞こえた。
「なにー」
「ママ、ちょっと買い物に行ってくるからお利口に待ってるのよ〜」
「はーい」
・・・・・バタン
(さて、ほかの初級魔法の練習でもしますか)
日が落ち始め、暖かい夕陽に紅く染められながら、少年は魔法の練習に励むのだった。
2年6ヶ月後。転生してから5年。
陽気な日差しを浴びながら、草木が芽吹こうとしている。まるで、地球の春のような暖かさ。
「あ〜、やっと、やっとだよ」
(つ・い・に‼︎)
両手の握りこぶしを青空へと大きく突き上げる。
ハジメの身長は110cmくらいになり、日差しが反射して見えるほど滑らかな金髪はショートになっている。そして、なによりも、
今年5歳になる。
ここから、少年の人生の歯車が狂い始めるのである。
お父さんなかなか出ません・・・




