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路地裏から生まれた世界最強(旧:路地裏生活から生まれた世界最強)  作者: 蒼たばすこ
3章 始まる冒険者生活
21/22

第20話


「それで?何か言い訳はあるのか?」


「いいえ、申し開きのしようもございません。」


「そうか、潔いのは良いことだ」


「ありがとうございます」


「褒めてないぞ」


「はい」






俺が今何をしているのかというと、まぁ分かるだろう?山をちょっと削り過ぎちゃったやつだよ。怒られてるんですわ。え?リーズベルは何をしてるかって?そこで菓子食ってるよ(笑)・・・・・・ちっ


「おい」


「はい‼︎」


「ほぉ、良い返事だ。随分と元気があるみたいだな」


「ありがとうございます‼︎」


「褒めてないぞ」


「はい」







ハジメがこうなったのも、つい数時間前のこと。


「いやー、最後の最後で追加報酬ゲットだぜ‼︎」


「そうね・・・・・・はぁ」


「何ため息ついてんだよ」


「貴方、クエン火山消滅させたのを忘れたの?」


「っ」


一瞬肩を揺らすハジメ。


「・・・・・・・・いや、消滅してねーし」


「あれはもう消滅っていうのよ」


「ち、ちが・・・・・・なぁリズどうしよう」


途中で言葉を止め、ハジメは頭をうなだれる。


「まずあれね、メンフィスに会ったらすぐに土下座するべきね」


「それはもちろんやるつもりだ‼︎」


「あとは・・・・・・」


「あとは?」


「今回のクエストで手に入るお金を全て寄付することね」


「・・・・・・またまたぁ、冗談キツイんですから〜。あんまり冗談キツイと嫌われますわよ♪」


「こちらの台詞(セリフ)よ」


「・・・・・・・」


「・・・・・・・」


「い、いや〜今日はいい天気だな」


「もう夜よ」


「い、いや〜今日はよくお星様が見えますなぁ」


「私には1つも見えないわ」


「・・・・い、いや〜今日はお月様が元気そうだ」


「貴方、醜いわよ」


「そ、そんなことないもん‼︎」


「そんなに星を見たいなら、貴方がお星様になってみる?」


「・・・・・」


「ちゃんと反省しなさい」


「はい・・・・・」


後ろで引きずっているドラゴンをさらに重く感じながら、街に帰るハジメだった。








街に着き、門の守衛騎士に村のことを報告してギルドへと向かった2人は、冒険者ギルドの扉の前で立ち止まっていた。


「ドラゴンは中に入らないから外に置いたほうが良さそうね」



「・・・・・そうだな」


リーズベルに言葉を返すハジメの声には覇気がない。


「それじゃあ入りましょうか」


「あぁ・・・・・」


ギィッと音を立てて扉を開けると、2人の正面の視線の先に、あの受付嬢がいた。


「あっ‼︎ハジメさん‼︎リーズベルさん‼︎」


受付嬢がギルドに入ってきた2人に気が付いた。


2人はクエストの達成報告と被害状況を報告するために、受付嬢の所へと向かった。


「ハジメさんとリーズベルさんが帰ってきた時は、すぐに部屋に連れて来いと言われています」


そう言う受付嬢の目は、少し怯えているようにも見える。


「そ、そうなのか」


「はい。ではお連れしますね」


受付嬢に連れられて、2階のギルドマスターの部屋の前まで来た2人。


受付嬢が扉をノックする。


「ハジメさんとリーズベルさんをお連れしました」



ーーーーーーー入れ



奥から聞こえてきたメンフィスの声は、前に会った時と変化は無いようだ。


「ふぅ」


少し安堵するハジメ。


「入ります。・・・・・どうか死なないで下さいね」


「え」


部屋に入る前に聞こえた受付嬢の言葉に一瞬固まるハジメ。


部屋に入った2人の目の前には、山のような書類を処理しているメンフィスがいた。


「申し訳ございませんでした‼︎」


「っ⁉︎」


いきなり土下座をしたハジメに驚く受付嬢。メンフィスは手を止めずに、眉をピクッと少し反応を示しただけだ。


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


部屋の中が静けさに包まれる。


「・・・・・自分が何をしでかしたのかは分かっているようだな」


すると、メンフィスが口を開いた。


ハジメは土下座のまま言葉を返す。


「・・・・・・はい」


「あ、私そこでお菓子食べてていいかしら?長くなりそうだし」


いきなりリーズベルがメンフィスにそんなことを言い出した。


「あぁいいぞ」


「ありがとうございます」


リーズベルはメンフィスにお礼を告げながら、お菓子のある机の所へ歩いていく。


「は?」


リーズベルのいきなりの行動に目を張るハジメ。


「何か言いたいことでもありそうだな?ハジメ君?」


メンフィスが手を止め、ハジメの方に顔を向けながら口を開く。


「え、えーそのー」


ハジメの全身から汗が出てくる。


「それで?何か言い訳はあるのか?」


「いいえ、申し開きのしようもございません。」


「そうか、潔いのは良いことだ」


「ありがとうございます」


「褒めてないぞ」


「はい」


「それと、お前はなぜそんな態勢なんだ?」


ハジメはずっと、正座した状態でメンフィスの話を聞いていた。


「あ、これは最上級の反省の表現でして・・・・・・」


「そうか、いい心掛けだ」


「ありがとうございます」


「褒めてないぞ」


「はい」


メンフィスがふぅと息を吐くと、そこから立ち上がりリーズベルのいる方へ歩いていく。


「ハジメ君、君もこっちに来い」


「は、はい」


2人はソファに座った後、話を続けた。


「それで?詳しく話を聞こうか」


メンフィスのその問いに、ハジメとリーズベルは山を消滅させたこと、村を襲っていたドラゴンを倒したこと、帰り道にドラゴンを倒したことを詳細に話した。


「・・・・なるほどな、村のことは私からも礼を言おう。だが、問題はそれだけじゃない。ハジメ君が山を消滅させたことは、国にもすでに知らされている」


「え?」


「当たり前だ。Fランク冒険者があの(・・)クエン火山を消滅させたのだから」


あの(・・)?」


「ん?言ってなかったか?あの山はドラゴンの巣窟とも言われている山だ。ちなみにこの依頼はSランクだ」


「は?聞いてないすけど」


「そうか、それはすまんな」


頭を少し下げて軽く謝るメンフィス。


「まぁ、これで冒険者ランクは間違いなく上がるだろうな・・・・・それでもって、これだけやれば他のギルドマスターからの注目度も上がるだろう。」


「え?・・・・・・・・まじかよ⁉︎俺嵌められた⁉︎」


ハジメは、クエスト前に話していたギルドマスターになる条件を思い出して声を上げる。


「嵌めたなど人聞きの悪いことを言うな。俺はただ君に、周囲の村をドラゴンの危機から救ってもらいたかっただけだ」


「ぐっ」


(それを言われるとなんも言えねぇじゃねーかよ‼︎)


「とにかく、今回の件で君は他のギルドマスターや国に目を付けられた。よって、それに見合った冒険者ランクを付けたいと思っている」


「ほぇ〜、してどのくらい?」


「Sランクだ」


「え?」


「Sランクだ」


「まじかよ・・・Fランクから一気にSランクて」


「当たり前だ。クエン山を消滅させた挙句、村を襲っていたドラゴン10体を瞬殺。こんなことができる奴をSランクにしないでどうするんだ」


「確かにそうだけどさ・・・・」


「ハジメ」


ここで、ずっと黙っていたリーズベルが口を開いた。


「ん?」


「Sランクになったほうがいいわよ?貴方、Sランク以上のクエストしか受けないって言ってたじゃない」


「あ、そうだった。Sランクになれば依頼掲示板からすぐにクエスト行けんじゃん‼︎爺さん‼︎」


「なんだ、Sランクになってくれるのか?」


「SSランクだ‼︎」


「なに?」


「だから‼︎SSランクにしろ‼︎」


「・・・・なぜSが一つ増えている?」


「いやーさ、Sランクにこんなに簡単に上がれるんなら、SSランクもいけんじゃねぇかなと。そうすればさらに金稼げるしな‼︎」


「ハジメ貴方・・・・・」


隣に座るリーズベルは、なに言ってんのこいつ、と言いたそうな目をしている。


「ハジメ君、今の君ではSSランクにはなれんよ」


「え、なして?」


「Sランクまでは無いが、SSランクは上がるための試験があるんだ」


「へぇ、どんな試験?」


「Sランクの依頼達成だ。」


「つまり、今回と同じくらいのクエストをやればいいんだな?」


(以外に余裕っぽいな)


「まぁ、討伐だとそうなるな。護衛とかとなると少し変わってくるが。それでも、まだ君はその試験を受けることはできない。この試験を受けるには、Aランククエストを20回以上達成しなければいけないのでな」


「なるほどな・・・・・」


「ただ、君はSランクのクエストを達成している。SランクはAランクを2回達成したのと同義にすることができるから、あと18回Aランクを達成すればいい」


「はぁ〜、まだ先は長そうだ」


ハジメは、SSランクへの道が思った以上に長いことにため息を吐く。


「そうでもないぞ?」


「え?」


だが、メンフィスの一言に目を光らせる。


「私がSランクのクエストを、君に依頼すれば最短でSSランクになれる」


「確かに‼︎爺さん頼むぜ‼︎」


「依頼はしないがな。ギルドマスターになるならばいいが?」


「卑怯だぞ爺さん‼︎ケチ野郎‼︎」


目がキラキラ光っていたハジメは、すぐにその輝きを失いメンフィスを睨む。


「ふっ、なんとでも言え。・・・・それでは私は仕事があるのでな」


そう言って、メンフィスは席を立ち上がる。


「っとそうだ」


メンフィスは懐から何かを取り出し、ハジメに手渡した。


「受け取れ。これは君のギルドカードだ」


「おう」


ハジメが受け取ったギルドカードの縁は黒色になっていた。


「これからも頑張ってくれたまえ・・・それと、次にこんなことをもう一度やってみろ。お前に次の朝はこないと思え」


ギルドカードを渡し終わったメンフィスは、ドスの効いた声でそう言って話を締めくくった。












「ひえ〜、最後のメンフィス超怖かった‼︎」


「そうね」


2人はギルドマスターの部屋を出て、階段を降りていた。


「そうね、じゃねぇよ‼︎お前は菓子食ってただけだろうが‼︎」


「・・・・・・そんなことよりも」


「んなっ⁉︎てめぇ‼︎」


いきなり話をすり替えたリーズベルにハジメがキレる。だが、次のリーズベルの言葉にすぐに顔を青くすることになる。


「貴方、外にドラゴン置きっ放しにしたままじゃないの?」


「あ・・・・・・・・やべぇっ‼︎メンフィスに言ってなかった‼︎」


「確実に街人からメンフィスさんにクレームがいくでしょうね」


その言葉にさらに顔を青くするハジメ。


「お、俺今すぐ部屋行くわ‼︎」


「えぇ、明日の朝を無事に迎えられることを祈っているわ」


「は?お前も来るんだよ‼︎」


「・・・・・・分かったわ」


「あれ?潔いな」


「早く行くわよ」


「あ、あぁ」


2人はギルドマスターのいる部屋に再び戻るのであった。













え?その後?なんとか大丈夫だったよ。一瞬ペンで刺されそうになっただけで。ん?リズ?あぁ・・・・・・菓子食ってたよ。まぁ、ね?分かってたでしょみんな、あいつはそういう奴だって。



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