四話
別に書き方変わらなかったという・・・
「あの、課長って一体・・・?」
ふよふよと、気が付けばあっちへ行ったりこっちへ行ったりするマロの手を掴み、南原さんの先導でエレベーターに乗り込む。
ちなみに五月雨(刀)は紐を頂いて背に背負った。
『・・・』
「えっとねー、さっき、4つの部署を紹介したでしょ?」
「研究班、調査班、対処班、記録班・・・でしたか?」
「そうそ!
で、班って名前付いているから正しくは班長なのかもしれないんだけど、4人の課長が其々の部署を統括してるわけ!
今回、五月雨目撃の証言があって、僕と東はお互いの課長の指示でバディを組んで現場に向かったんだ。
一応、電話報告したけど、五月雨と五月雨と契約した葵ちゃんを一旦会わせないと駄目なんだよネー」
社会人は面倒だよネー。と小首を傾げて同意を求められ、当たり障りなくへら、と笑っておいた。
『葵ー葵ー』
「なーに、マロ」
くいっと手を引かれ、マロを見れば耳が赤い。
え?刀って熱出すの?
『葵、破廉恥でおじゃー』
「はっ!?え、何で破廉恥?!」
突然マロから思っても見なかったことを言われ、驚いた。
思わず大声を出してしまい、南原さんは目をぱちぱちとしているし、東さんは目を見開いて硬直している。
『婚前の乙女が、男子の手を握るなんて、破廉恥でおじゃる。』
「いや、アンタ刀じゃんっ
大体イマドキ、手を握った位でわーわー騒ぐもんじゃないわよ」
ふん、と鼻を鳴らせば、でも、だのえぇ、だのグダグダと良い募る。
「乙女か!?」
「ぶはっ!!!ちょ、サイコーなんだけどっ!
も、ホント、無能力なのが悔やまれるわー
見たかったなー五月雨と葵ちゃんのコント」
「確かにな」
ゲラゲラと爆笑する南原さんに、東さんもクツリと笑って頷いた。
「何だか複雑・・・」
『麿の方が複雑でおじゃる』
ぷくりと頬を膨らませたマロに、まあまあ、と宥めていれば、チンっという独特の音が響き、エレベーターが目的の階に到着した。
「はーい!とうちゃーく!」
「課長達は既に集まっている。行くか」
「あ、はい!」
『むー。もう手を繋がなくても良いのではないか』
きゅ、と握った手をじいーーっと見つめたマロに良いじゃん。と返し、握った手を引いて南原さんと東さんの後を付いて行った。
廊下の一番奥の扉に促されるまま入れば、長テーブルが置いてあり、4人の人間が立っていた。
「お待ちしておりましたよ、五月雨とその契約者さん」
「はは、ホントに女子高生なんだねぇ」
「・・・」
「やー、是非とも五月雨を解体させて欲しいね!」
「(眼鏡に髭に無口に白衣その2女性ver)」
何だか濃そうな面子だ、と4人を見ていれば眼鏡がブリッジを指でくいっと押し上げた。
「ま、とりあえず席に着いてください。
硬い椅子で申し訳無いですねぇ」
「お構い無く・・・?」
促されるまま席に着けば、お茶持ってきまーす!と南原さんが部屋を出ていき、私の背後には東さんが立つ。
「あの、東さん?」
「?何だ?」
「真後ろじゃなくて、斜め後ろに立っていただいても・・・?」
「構わないが、何故?」
こてん、と首を傾げる東さんに、二の句を中々告げることが出来ない。
だって、圧迫感半端ないんで離れて!なんて、身長気にしている様子だった東さんに面と向かって言えない!
「?」
「!ああ、東、お前の身長が高過ぎて威圧感と圧迫感があるんだろう。」
「(言っちゃったよ!眼鏡サン!)」
「ああ、なるほど・・・。悪かったな、峰岸さん」
「い、いえ!此方こそごめんなさいっ」
「ふーん。イイコだねー!
東に気を使ったんだろ?身長気にしてるから!!」
ケラケラと白衣その2の女性が笑うとなんとも言えない空気が変わりホッと胸を撫で下ろした。
「うふー!イイコは好きだよ!
私は研究班の班長?課長?の鹿島だよ。ヨロシクね!」
あは、と笑う白衣その2、基、鹿島さんに続いて眼鏡が口を開いた。
「茨木です。調査班の課長をしております」
「兵庫と・・・対処班の課長だ」
「オレ、記録班の課長の伊達。よろしく」
眼鏡が茨木さん、無口が兵庫さん、髭が伊達さんね、覚えた覚えた。
「峰岸葵です」
ペコリと頭を下げる。宜しく、は私の平穏の為にしたくないので、名前だけ。