第2話:親友との再会
AM7:55
真はは今、電車に乗って、新しい高校がある大和台駅に着いていた。
ここ、大和台に来たのは、この15年間初めてである。
街並みは平凡で落ち着いた雰囲気がし、大都会と言う感じではないがそれなりの都会の感じはする。でも、どこか懐かしい雰囲気がした。
「久しぶりだな。日本の街に来たのは」
真は日本の街に来たのが4年ぶりなのである。
いままで、この3年間、アメリカにいたから。
懐かしいなあ。と感じた今日この頃。
「……まだ、あいつは来ていないか」
真は待っているかのように呟く。
真の言うあいつとは真の小学生の時の同級生で幼馴染である。彼とはよく、遊んでいて、勝負もそれなりにやってきたものである。小学生の時に真がアメリカに行くことを告げたら寂しいかのように泣いていた。おまけに一緒についていくとも言っていたし。それほど、真と仲が良かったのである。……あのころは本当に楽しかったな。と懐かしく感じてきた。
真が日本にいないい間、彼も彼なりにいろいろと頑張ってきたのだろう。
真が電話で彼と話してきたとき、彼はこう言っていた。
『早く真に逢いたいな』と。そう言われると真も実は彼に会うのがとても楽しみである。真にとって、日本に帰ってきての唯一の楽しみの一つなのである。
(早く来ねえかな)
真は彼が来るのを待ち遠しいようだ。なんだかうきうきした気分だった。早く会いたいと思ったその時だった。
「おーい、真!」
真の名を呼び、後ろを振り向いた真はとても吃驚した表情だった。
オレンジ色の髪に身長が真より少し高めの青年がいた。
おそらく彼の友人らしき人物だった。
「もしかして、圭?」
真が圭と呼んだのはオレンジ色の髪の青年のことである。
彼のは湊圭。そう、彼こそが圭を日本に読んだ張本人なのである。
「ああ、そうだ!それにしても久しぶりだなあ」
圭はうれしさの故、真に抱きついてきた。抱き着いた感覚は少し暑苦しい感じがして真は困った表情をしていた。
「お、おい、いきなり抱きつくなよ」
「悪い、悪い。つい嬉しくてな」
圭は真と再会できたことに顔に出るほど嬉しさを感じている。真もほんの少しだけ顔に出ていたほど、親友との再会を喜んでいた。
「本当に4年ぶりだな」
「嗚呼、俺、めっちゃ寂しかったんだぞ」
圭は真がこの4年間、いない間は一人で寂しかったみたいだった。圭は真と離れるのが嫌だった。実は真も圭と離れるのが嫌だったりしていたりした。
「ふふ、そうか、……ただいま、圭」
「おかえり、真」
お互い微笑み、今度は真が圭を抱きしめた。
この時の町の人の視線は気になるものも、この日に限ってはなんだかんだ、気にせず、ただ、圭だけを見つめていた。
「さて、4年ぶりに二人で歩こうか」
「そうだな、お前と歩くのも久しぶりだしな。いいだろう」
真達は二人そろって並びながら、真たちの通う学校である大和台高校へと向かった。
*
真達は大和台高校へと着いた。
大和大駅から歩いて約15分。学校の周辺はは駅の近くとはまた違い、少し田舎臭い感じがした。
真たちは最初にクラス名簿を見た。そしたら、なんと偶然、圭と同じクラスだったのである。この時、互いに喜び合った。クラスは1-Dだった。
余談だが真と圭は小学校の時も卒業するまで、1年の時から同じクラスだった。
真と圭はクラスに行った。クラスの人数は約40人ぐらいだった。辺りを眺めると圭以外は全く知らない人ばかりであった。
ところが、真はある一人の女子生徒に目がいったのだ。
身長が俺と圭より近く小さく、青髪で青い瞳をした明るそうな雰囲気がした女子生徒だった。この時、真はどこかで見たことがあるなと思った。しかし、その女子生徒が誰なのかが真は思い出せなかった。そんな事は置いといて、真は入学式に参加した。
やがて、入学式が終わり、その後教科書が配られ、HRで簡単な学校の説明や、これからの日程についての話を聞いた事で一日目が終了した。
「……お前、アメリカ行っている間、何してたのか?」
「……え?」
学校が終わり、その帰り道で圭が突然、真に問いかけてきた。突然の問いに真は戸惑い、少し思考が停止した。
「……特別、何かをしたわけではないが普通に中学には通っていたぞ。特に思いではなかったがな。しいて言えばマネジメントの勉強が印象には残っていただけだ」
「ふーん、そうなんだ。まあ、俺は中学で野球部に入って全国大会に出場したことがあった」
真は頭の中を整理しながら、圭に自分のアメリカでの出来事を話した。真はアメリカで過ごしている間、ただ、毎日学校に通うだけの毎日だった。特に友達づきあいもなく、ただ勉強をしに来るだけで後は退屈でしょうもなかった学校生活だったらしい。というより、彼にはアメリカで過ごした思い出が一つもなかった。だが、彼はマネジメントの勉強が印象に残り、とってもためになったらしい……。
圭は真の話を耳に傾けつつも、話を自分の話に切り替えた。
「凄いな!お前、俺より活躍しているじゃないか。もしかして、大会を制覇したとか」
圭は中学の時に野球部に入って全国大会に出場したらしい。真はそのことに吃驚し、「自分よりすごいな」と褒めてやった。真は自分が平凡な学校生活を送っていたからいえる事なのであろう。
真はついでに優勝したのかと思わず聞いてしまった。真は少し期待を持ちながら聞いたがその結果は真の想像を壊すかのようなものだった。
「大会には行けたけど、生憎、準優勝で終わってしまった。―――俺のせいでな」
圭は苦笑しながらも真の質問に答えた。
圭曰く、3年の最後の決勝戦は関西の全国大会の常連と戦ったのだが、惜しくも3-5と惜敗を喰らった。敗因は前半は好調だったのだが、後半は圭のチームのピッチャーのミスピッチングの影響だった。そのピッチャーが四球を与えた後、一気に投球が乱れ、挙句の果てに7回の表に逆転満塁ホームランを打たれてしまった。さらに追い打ちをかけるように味方のエラーでさらに1点を失い、1階に五点を入れられてしまった。9回の裏、ツーアウトの2、3塁でバッターは圭という絶好のチャンスの時にバターボックスに立ったのだが、彼はプレッシャーに負けてしまい、その打席は空振りの三振となり、チームは負けたのである。彼はこの時、ベンチを殴るほど悔しさを味わった。
真は優勝は逃したものの、準優勝だけあって、いい結果じゃないかと思った。
「お前が悪いんじゃない。誰にだってミスはある。運のつきものだ。その時、お前は頑張っていたんだろう」
真はまた圭を褒めた。
圭のこの時の成績は四打数の二安打一打点一三振ととなかなかの好成績である。真の言う通り、彼はこの時、頑張っていた。
「そうか、ありがとうな。こうして、お前としゃべって帰るの何だか久しぶりだな」
真は圭とこんなに楽しくしゃべりながら帰るのは久しぶりと思っていた。真がアメリカにいたころなんて、こんなことはなく、いつも一人で帰っていた。そのせいか、時折、圭の事が恋しくなったこともあった。
「嗚呼、とても楽しいな」
夕焼けが綺麗な帰り道、真と圭の会話がはずんでいく。なんだか、さらに楽しい気分になった。……こんなに楽しい気分、味わったのは久しぶりな気もした。
「ところで、話は変わるがお前の頼みとはなんだ?」
真は急に思い出したかのように圭に頼みごとを訊いた。彼がここに帰った理由は圭の頼みの為だからである。
「嗚呼、それに関してはまた二週間したら話すからな」
圭は2週間したら話すと言っている。だが、この二週間が真にとって妙に引っかかっていた。それはその日になってみないとわからない。
「そうか、わかった。じゃあ、また、明日な」
「嗚呼」
俺と圭は互いに手を振り、その場を去り、自分の家に帰って行った。
圭のこの時の表情は何だかにやにやした表情だった。真に逢えてそれなりに嬉しかったのであろう。
*
真は自分の家に帰った。今日は何もかも、久しぶりな事が多かったな。そのせいか時差に慣れていないため、疲れたが圭に逢えたことはうれしかった。
圭と一緒に過ごすことができる。これからまた、日本での生活での楽しみが増えた。
「さて、今日はもう、休もう」
圭は飯を夕食を簡単に済ませ、その後、風呂に入り、何もせず、直接ベッドに向かい、ゆっくりと眠りに就いた。
彼の寝顔は何だか幸せそうだった――……。
第1話:親友との再会 完