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義妹記  作者: 白鳳
義妹編
4/59

登校、そして寄り道


誤字脱字の指摘・要望・感想等々お待ちしております。

今回はあとがきも使っているので前書きに書きました。


家を出てからしばらく進むと・・・


「あ!マナ先輩、おはようございます!」


「おはよう、マナミちゃん。それから守君も」


「うぃっす」


マナだ。俺とは中学校からの付き合いで奇跡的に今までクラスがずっと同じだ。


ちなみに生徒会長をやっている。だが特別有能というわけでもなく、ごくごく『普通』である。


「ちょうどよかった、ちょっと俺用事があるんだけど、マナミと一緒に学校にいってやってくれんか?」


「生徒会の活動で先を急ぐから…ごめんね」


「なら仕方ないな。悪いな、時間とらせちまって」


やはり生徒会活動が入っていたか。能力面は普通なのだが、人を惹き付けるカリスマのようなものが滲み出るほどではないがあるらしく、いろいろと引っ張りだこらしい。


「ホントにごめんね。じゃ、また学校で!」


駆け足で去っていく後姿はどことなく申し訳なさと無念さを醸し出していた。


「ところでお兄ちゃん、用事って?」


「あぁ、それはな……はっ!」


マナミの目を見て気付いた。この目は女の目、中途半端な嘘をつけばたちどこに見破られてしまう!


「時間的には十分ウチに帰る余裕はあるけど、マナミと一緒だと何か困ることでもあるの?」


「まぁ…ちょっと…な。」


どうする?いっそのことマナミを連れて綾さんとこにいくか?でもそれだと込み入った話はできないからいく意味はないよな…。


「あれ?守センパイ!なにやってるんですか?」


助かった、マナミのクラスメイト達だ!…名前わかんないけど。


「いやぁ、ちょっとね。そだ、悪いんだけど、俺は用事あるからマナミと一緒に学校行ってくれない?」


「全然OKですよ!行こ、マナミちゃん!」


「え、ちょ!?え!?」


クラスメイト達が空気を読んでくれたか半ば強制的に連行されていくマナミを見送る。達者でな、学校までの辛抱だから。




なにはともあれ、一人になることができたわけだ。


「それじゃ、寄り道するとしますか」


道を右に曲がり、学校とは違う方向へと歩みを進める。




―――神社―――


神社に着くと、巫女が一人掃除をしていた。


「おはようございます、綾さん。」


「あら、おはよう。朝からなんて珍しいわね、明日は大雨かしら?」


「そういうときだってありますよ。それよりおやっさんから聞きましたか」


「えぇ、なんでも側近の中に八部集の誰かがいるんですって?それが『龍』でないことを祈るわ。」


「龍、か…俺も相手にしたくないですね」


そもそも八部集とは『天』『龍』『夜叉』『阿修羅』『乾闥婆』『迦楼羅』『緊那羅』『摩睺羅伽』の8人からなる超人どもの集まりで、龍といえば天の腹心的存在、言うなればナンバー2である。


それに、よくは知らないが綾さんと龍には浅からぬ因縁があるらしい。


「それで、何か用事があるんじゃないの?」


「いや…綾さんと話して気を楽にしようってのが目的でしたから」


「あら、あなたにしては珍しいわね」


そりゃそうだ、なんてったって今回は必ず生きて帰れるという保証がない。だがそれでも確実に生きて帰らねばならないのだから。


「でも安心しなさい、生きてさえいれば治療してあげるから。それに火事場の馬鹿力って意外と侮れないものよ?」


『死神の妻』と恐れられる綾さんが言うと妙に説得力がある。きっとその火事場の馬鹿力に何度も苦しめられたのだろう。


「それはそうと、まだ時間はあるのかしら。あるんだったら、お茶でも飲んでいかない?いい茶葉が手に入ったんだけど」


「気持ちだけ受け取っときます。あまり時間的余裕がないんで…」


「…そう、残念ね。じゃあおみやげよ、受け取りなさい」


風呂敷に包まれた何かが投げ渡される。


「これは?」


「さっき言ってたお茶の茶葉を小分けにしたものよ。あなた教室に急須やら湯飲みやら置いてるんだから飲んでみなさい、おいしいから。」


ッ!?


今の言葉から、綾さんは教室に急須と湯飲みがあることを知っていた。だが、綾さんが学校に、ましてや俺の教室に来たことはない!


なのになぜ知っていたんだ?


「あら、どうかした?」


「いえ、なんでもないです。」


今深く考えるのはやめておこう、これは何かヤバい気がする。それに今すぐでなくともそのうちわかるだろう。




結局、大きな謎と茶葉を土産にもらい、俺は神社を後にした。






守の姿が見えなくなってから暫くの後――


「アタシの存在を教えてもよかったんじゃないの?彼は問題ないと思うけど」


「時期尚早よ。今はまだそのときじゃないわ」


「前もそんなこと言ってたじゃない、そのときっていつなのよ?」


「いつかしらね、でもそう遠い先のことじゃないわ。」


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